南斗屋のブログ

基本、月曜と木曜に更新します

損害賠償請求における「弁護士費用」

2018年03月05日 | 交通事故民事
 損害賠償請求の訴状や判決では、損害として「弁護士費用」という項目があります。
 ここでいう「弁護士費用」というのは、実際に支払う弁護士費用とは額が異なってきますので、注意が必要です。

【具体例】
具体例をあげてご説明致します。
依頼者の方がA弁護士に損害賠償請求の訴訟を依頼しました。
損害賠償の請求額は300万円です。
A弁護士の弁護士費用は次のとおりでした(消費税は考えないことにします)。
着手金=24万円(請求額300万円の8%)
報酬金=判決又は和解で獲得した金額の16%(例えば、300万円であれば48万円、100万円であれば16万円になります)

裁判をして依頼者の得られた金額が100万円とすると、A弁護士に支払う金額の合計は
24万円+16万円=40万円
になります。

では、この弁護士費用を加害者側に請求できるでしょうか?

【実際に支払った弁護士費用を全額は請求できるわけではないが、請求額の1割は請求できる】
結論は、実際に支払った支払った弁護士費用を全額は請求できるわけではないが、請求額の1割は請求できるということになります。

 交通事故の損害賠償で弁護士がよく使用する「赤い本」というものがあるのですが、ここにはこう書いてあります。
「弁護士費用のうち、認容額の10%程度を事故と相当因果関係のある損害として加害者側に負担させる」

訴状で300万円を請求するとなると、弁護士費用を上乗せして、
300万円+30万円(これが弁護士費用分の上乗せ)=330万円
を請求するということになります。

裁判官は判決の場合は、
100万円+10万円(これが弁護士費用分の上乗せ)=110万円
という判決を出すこととなります。

このように実際に支払う金額と、裁判所が認める「弁護士費用」は異なる金額となります。
訴状や判決で「弁護士費用」と書いてあるものは、弁護士を依頼してあるから10%上乗せするという意味なんだとご理解いただければよいかと思います。

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相続放棄。特に3ヶ月を超えてからする相続放棄で注意べきこと

2018年03月05日 | 相続関係
今回は相続放棄についてお話します。

【相続放棄=相続しないこと】
 まず相続放棄の基本的な事柄について押さえておきましょう。 相続放棄というのは 被相続人の財産を 一切相続しないということです 。
 マイナスの財産が大きいというときには、相続放棄を行うことが多いのですが、マイナスの財産が大きいということは 法律上の要件にはなっていませんか ら、プラスの財産 多くても 相続放棄は 可能です。
相続放棄は 相続の開始を知った時から3か月以内にしなければならないことになっています。相続の開始を知った時というのは、 被相続人がお亡くなりになった時 という意味になります。 相続放棄は 被相続人の住所地の家庭裁判所に申述をすることで行います。

【熟慮期間の原則は3ヶ月】
 相続放棄は 3ヶ月以内に しなければいけないことに なっています(熟慮期間)。 3ヶ月で 被相続人の財産を調査することが基本になりますが なかなかそれでは難しいという時は 家庭裁判所に延長の申請をすることができます。

【相続放棄を行うのであれば単純承認をしてはいけません】
 相続放棄をする際に気をつけなければならないのは、 単純承認をしてしまってはいけません。 単純承認をしますと 相続放棄は法律上できないことになっています。
 単純承認というのは、自分は相続をしますよということを意味しますが、相続人が相続財産の全部又は一部を処分したときも原則として(例外があります)単純承認をしたことになってしまうので、注意が必要です。
 つまり、相続放棄を行う可能性があるのであれば、相続財産を一部でも処分することは避けなければいけないということになります。
 相続財産の一部でも処分しなければならないが、相続放棄も考えているという場合は、慎重にことを運ぶ必要がありますので、専門家への相談をお薦めします。

【被相続人の債務があとからわかった場合に相続放棄ができるか:最高裁判決】
 次のようなケースを考えてみましょう。
 相続人には被相続人には 財産が全くなく 単純承認も 相続放棄もしていなかった 。しかし半年後に 被相続人の債権者を名乗る人から請求書が届き 被相続人には債務があることがわかった。 つまり全体的にはマイナスの財産が多かったということが後でわかった という場合です。
 このような場合相続放棄の期限3ヶ月は過ぎてしまっていることから相続放棄ができるのかが問題になります。
 この点については 最高裁の判例があります(昭和59年4月27日最高裁判決)。
 この最高裁判決は「被相続人に相続財産が全く存在しないと信じた」というような事情及び様々な事情(注)を考慮して相続放棄を認めるとしています。
 このように相続放棄が認められるためには、結構厳しい要件をクリアーしなければなりません。

【熟慮期間を超えて相続放棄をする場合の注意点】
 相続放棄の熟慮期間の3か月を超えて相続放棄をする場合は家庭裁判所はこの最高裁の要件を念頭において審査しますのでしますですので、 申述をする場合もこの要件をクリアーするような 形であることを示さなければなりません。
 そのためには専門家に相談するなどして進めた方がよいかと思います。


(注)
 考慮する事情は、判決文には「被相続人の生活歴、 相続人と相続人との間の交際状態、 その他諸般の状況からみて 当該相続人に対し相続財産の有無の調査を期待することが著しく困難な状況があって相続人において右のように信ずるについて相当な理由があると認められるとき」とされています。


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