【はじめに】
この記事では控訴審について説明致します。
扱うのは民事事件や人事訴訟(例えば離婚訴訟)の控訴審についてです(刑事事件の控訴審は 手続きはかなり違いますので、この記事では扱いません)。
【控訴とは】
一審の判決への異議申立てを「控訴」といい、控訴は14日以内にしなければなりません。
一審の判決が出ると、数日のうちに控訴をするのか否かの決断を迫られることになります。
控訴審がどのようものか知っておくことも必要かと思います。
【控訴審の手続きの流れ】
控訴審の手続きの流れをおさえておきましょう。
ア 控訴の申立て
一審判決をした裁判所に控訴状を提出します(判決受領から14日以内)。この控訴状には控訴の詳しい理由を書かなくても大丈夫です。
イ 控訴理由書の提出
控訴の申立てをした日から50日以内に控訴理由書を提出します。
ウ 控訴審の審理期日
東京高裁ですと控訴理由書提出から1~2カ月以内という扱いのようです。
多くの事件は審理は1回で終了となってしまいます。ここが一審との大きな違いです。
審理終了と同時に判決期日が指定されます。
東京高裁ですと、審理期日から2ヶ月程度となることが多いです。
エ 和解又は判決
多くの案件では裁判官により和解が試みられます。判決期日までに和解の成立の見込みがないと和解協議は打切られ、判決となります。
【控訴審はどのくらい時間がかかるか】
判決から控訴理由書提出までは約2ヶ月です。
細かくみると
ア 判決から控訴状提出まで14日
イ 控訴状提出から理由書提出まで50日
正確には64日ですが、約2ヶ月として覚えておいてください。
理由書提出から審理期日判決までが3ヶ月から4ヶ月です。
細かくみると
ウ 理由書提出から審理期日まで1ヶ月〜2ヶ月
エ 審理期日から判決まで2ヶ月
これを合計しますと、一審判決から控訴審の判決までは5ヶ月〜6ヶ月となります。
これはあくまでも通常多く見られるケースの最速の日程であり、裁判所からみて重大な案件や複雑とみられる案件はこれよりも遅くなります。
【控訴審では裁判官は3名の合議】
一審の裁判官は1名が担当するということが多いのですが、控訴審の審理は3名の裁判官で行われます。
これは一審の判決が妥当かどうかを3名で慎重に検討するためです。
実際には、3名の裁判官でも役割分担があります。
裁判長は事件の統括役、他の2名の裁判官のうち1名が担当となり、記録を細かく見る役割となります。
あとの1名は合議で妥当性をみる係りということになりましょうか。
実質的には、担当裁判官と裁判長で流れが決まるといっても良いのかなと思います。