ドゥランテ:合奏協奏曲 へ短調/ホ短調/ト短調/ハ長調
指揮:ロルフ・ラインハルト
弦楽合奏:コレギウム・アウレウム合奏団
録音:1962年、南ドイツシュヴァーベン地方のキルヒハイム城「糸杉の間」
LP:テイチク・レコード(ハルモニア・ムンディ) ULS‐3162‐H
バロック時代の著名な作曲家の作品は、これまでも聴いてきたが、今回のLPレコードのフランチェスコ・ドゥランテ(1684年―1755年)の作品は、私自身このLPレコードによって初めて聴くことができた。ドゥランテは、18世紀以前のイタリア音楽界で活躍した人で、ドメニコ・スカルラッティ(1685年―1757年)とともに、名高いナポリ楽派の始祖といわれたアレッサンドロ・スカルラッティ(1660年―1725年)の後継者になるであろうと言われていたほどの作曲家であったという。2人のスカルラッティは、我々にもお馴染みの作曲家になっているが、現在、何故かドゥランテの作品を聴く機会は少ない。それは、そのほとんどがミサ曲をはじめ詩篇、モテット、賛歌、マニフィカトなど、宗教曲に限られているからという理由だからかもしれない。今日では、ドゥランテの名は、むしろ優れた音楽教師として知られているようである。このLPレコードのドゥランテの4つの合奏協奏曲は、弦楽合奏と通奏低音によって演奏されている。現在、合奏協奏曲(コンチェルト・グロッソ)は、コレルリやヘンデルの曲を聴く機会が多いいが、なかなかどうしてドゥランテの曲を聴くと、これらの曲と堂々と渡り合える、その優れた内容に驚かされるのである。何よりも聴いているだけで心が豊かになるような、その曲想の豊かさは、現代人の我々にも訴える力がある。“隠れた名曲”と言ってもいいほどの存在感がある曲だ。演奏しているコレギウム・アウレウム合奏団は、1962年にドイツで結成された古楽器オーケストラの草分け的存在。演奏家や音楽院の教師、フライブルクを拠点とするレコード会社「ハルモニア・ムンディ」との結束から生れた。作曲者が当時耳にしたであろう響きの再現を目標に、歴史的な演奏習慣の復興を当初より使命として、バロック音楽から初期ロマン派音楽までを演奏。古い時代の演奏習慣を慮って指揮者を置かず、コンサートマスターを指導者とした。このLPレコードは、同合奏団の本拠地であった南ドイツシュヴァーベン地方のキルヒハイム城「糸杉の間」で録音されている。ドゥランテは、1684年3月31日、ナポリの北15キロの村フラッタマッジョーレで生まれた。ローマに出て作曲の勉強を行った後、ナポリへ戻り、サントノフリオ音楽院、サンタ・マリヤ・ディ・ロレート音楽院、ジェズ・クリスト音楽院などで死ぬまで教え続けた。このため音楽史の上でのドゥランテの存在は、これらの音楽学校での教育者としての実績によって評価されてきたようである。作曲家としは、宗教曲が圧倒的に多い。このLPレコードに収録されている合奏協奏曲4曲は、いずれも弦楽合奏と通奏低音によって演奏されている。いずれの曲も4つの楽章からなり、ヘ短調の曲以外は緩急緩急の順で演奏される。(LPC)
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