昔、深夜の番組だったと記憶しているのだけれど、アメリカの番組で、視聴者参加型の無人島サバイバルゲームを見たことがある。最初は男女含め十数名が参加しているのだけれど、1日過ごすごとに、その日の夜にミーティングを開き、サバイバルゲームに【不要】な人を多数決で一人ずつ外していく、というような番組だった。
無人島のサバイバルなんて、体力的にもキツイわけだし、早々と退散するのが一番じゃん?とベッドの中でまったりと深夜テレビを眺めている方からすればそう思うのだけれど、サバイバルゲームに参加している本人たちからすれば、『おまえは不要だ』と最後通告を突きつけられるほうが、正直、精神的にキツイのだろう、誰もが自分自身が【不要な一人】に選ばれないことを願っている。
最初にハズされるのは大抵、動きの鈍い人だったりする。どう見てもサバイバルには不向きに見える人。体力的にも乗り越えられないように見える人。でも、そういう人の場合、ちょっと気の毒に思うのです。もしかしたら潜在的な能力を持っているかもしれないのに。やっぱり見た目の印象って強烈なんだなと。
その次に選ばれやすいのは、我がままな人。自己主張ばかりで、肝心な時は大して力にならない、そして自分のミスを他人のせいにするような人。これは、別にサバイバルの世界に限らず、会社でも学校でもこういう人は周囲の人から白い目で見られ、【嫌な人】というレッテルを貼られる。
それにしても、アメリカってこういう番組が好きなんだなあとつくづく思う。さすがは能力主義の先端をきってきただけのことはある。日本じゃ、同じトーシロ男女の番組ならラブワゴンであいのり♪だけどね。あ、これもある種の【サバイバル】か・・・
Musical Academy(MA)の舞台『サバイバル☆アイランド』は、原題「Neville's Island」、英国を代表する作家であり、英国最高の演劇賞のオリヴィエ賞でベストミュージカル部門を受賞したティム・ファースの作品。1992年に初演され、オリヴィエ賞のベストコメディ部門にもノミネートされたこともある傑作コメディ。
会社の研修のために訪れた湖でボートが転覆、湖の中にある小さな無人島に流れ着いた4人の中年ビジネスマンが体験する2日間・・・なのですが、日本版を上演するにあたって、4人の中年ビジネスマンは、イギリスの大手企業に買収された日本の証券会社に勤める若手サラリーマン4人に変更されて、MA4人だけの主演舞台となっています。
MAにとっては、初のストレートプレイということもあって、Johnny's Webの「禁断のMAん華鏡」でも、個々の役柄と芝居の流れをつかむのに相当苦労している様子が彼らの日記からもヒシヒシと伝わってきてました。無事に幕が開けられるのかと、こちらが心配してしまうほどに。でも、さすがは舞台経験の多いMAだけあって、公演日が近づくにつれ、日記の内容も少しずつ自信にあふれてきてましたけどね。
私が観劇した17日は、東京公演のほぼ折り返し地点。この日、うっかり使い捨てコンタクトを忘れてきてしまって、でも3列目だったら大丈夫かな~と思っていたら、舞台の構造上、ぬわんと一番前というめっちゃ贅沢な席!予想外のラッキーに感激しながら観劇!(ベタだな~)
若干の設定の変更はあれど、もともとの作品が傑作なだけに笑い所は満載。ストーリー展開も笑いだけに留まらず、さりげないメッセージ性もある。役の設定がイギリス人の中年リーマンから日本の若手リーマンに変わっていても違和感なし。あえて言えば、わざわざ日本からイギリスの湖水地方に来てまでの研修という設定にムリがあるくらいで、そこはそれ、さらっと流してしまえば、あとは4人のお芝居を楽しむだけですから。
芝居中、時折挟まれるアドリブやムチャ振りも、かなりこなれてきた感があって、予想していた以上に面白くてめっちゃ笑わせてもらいました。途中、町田君のアドリブに屋良君が思いきりツボにハマったらしく、そろそろシリアスな話題に入るというのに、なかなか笑いが止まらなくて、衣裳のフードと手で笑い顔を隠そうとしてるところを、秋山君から「いつまで笑ってんだよ!」とツッコまれてたのが、私的にツボでした。
屋良君、可愛い。
4人だけの芝居というのは、正直、全員がほぼ出ずっぱりであるがゆえに最後まで気が抜けない。4人のあ・うんの呼吸が芝居の流れを作り出していくので、誰か一人が呼吸を乱せば芝居はそこから崩れていく。
ベテランの役者であれば、三谷幸喜の傑作コメディ「笑の大学」のような二人芝居でも、集中力が途切れることなく芝居を続けることが出来るだろうけれど、MAのような若手がたった4人で、1時間50分もの間、集中力とテンションを維持していくのはどれだけ大変だったろうと想像させられる。
特に後半、『笑い』から『闇』の部分へ切り替わるシーンがあるが、この芝居のクライマックスとも言えるこのシーンへ観客を引っ張っていくためには、時間の進行とともに演じるほうのパワーもマックスに持っていかなくてはならないので、相当にキツイと思う。
それだけに、MA4人がわたしたち観客を、湖水地方の無人島の世界に、幕が下りるエンディングまで引き寄せ続けたことを評価したい。
もちろん、よく出来た脚本に恵まれたこともあるかもしれない。でも、4人のアンサンブルは、いままで経験してきたステージで培った成果が開花したものだろうし、MAならではの魅力も存分に発揮されていたと思うのです。暗転時のパフォーマンスとかね。
これから10年、20年・・・MAのメンバーが世間一般でいう【中年】にさしかかったときに、もう一度この芝居を再演で観てみたい、スタンディングオベーションに応える4人を見ながら、そんなことをふと思いました。
無人島のサバイバルなんて、体力的にもキツイわけだし、早々と退散するのが一番じゃん?とベッドの中でまったりと深夜テレビを眺めている方からすればそう思うのだけれど、サバイバルゲームに参加している本人たちからすれば、『おまえは不要だ』と最後通告を突きつけられるほうが、正直、精神的にキツイのだろう、誰もが自分自身が【不要な一人】に選ばれないことを願っている。
最初にハズされるのは大抵、動きの鈍い人だったりする。どう見てもサバイバルには不向きに見える人。体力的にも乗り越えられないように見える人。でも、そういう人の場合、ちょっと気の毒に思うのです。もしかしたら潜在的な能力を持っているかもしれないのに。やっぱり見た目の印象って強烈なんだなと。
その次に選ばれやすいのは、我がままな人。自己主張ばかりで、肝心な時は大して力にならない、そして自分のミスを他人のせいにするような人。これは、別にサバイバルの世界に限らず、会社でも学校でもこういう人は周囲の人から白い目で見られ、【嫌な人】というレッテルを貼られる。
それにしても、アメリカってこういう番組が好きなんだなあとつくづく思う。さすがは能力主義の先端をきってきただけのことはある。日本じゃ、同じトーシロ男女の番組ならラブワゴンであいのり♪だけどね。あ、これもある種の【サバイバル】か・・・
Musical Academy(MA)の舞台『サバイバル☆アイランド』は、原題「Neville's Island」、英国を代表する作家であり、英国最高の演劇賞のオリヴィエ賞でベストミュージカル部門を受賞したティム・ファースの作品。1992年に初演され、オリヴィエ賞のベストコメディ部門にもノミネートされたこともある傑作コメディ。
会社の研修のために訪れた湖でボートが転覆、湖の中にある小さな無人島に流れ着いた4人の中年ビジネスマンが体験する2日間・・・なのですが、日本版を上演するにあたって、4人の中年ビジネスマンは、イギリスの大手企業に買収された日本の証券会社に勤める若手サラリーマン4人に変更されて、MA4人だけの主演舞台となっています。
MAにとっては、初のストレートプレイということもあって、Johnny's Webの「禁断のMAん華鏡」でも、個々の役柄と芝居の流れをつかむのに相当苦労している様子が彼らの日記からもヒシヒシと伝わってきてました。無事に幕が開けられるのかと、こちらが心配してしまうほどに。でも、さすがは舞台経験の多いMAだけあって、公演日が近づくにつれ、日記の内容も少しずつ自信にあふれてきてましたけどね。
私が観劇した17日は、東京公演のほぼ折り返し地点。この日、うっかり使い捨てコンタクトを忘れてきてしまって、でも3列目だったら大丈夫かな~と思っていたら、舞台の構造上、ぬわんと一番前というめっちゃ贅沢な席!予想外のラッキーに感激しながら観劇!(ベタだな~)
若干の設定の変更はあれど、もともとの作品が傑作なだけに笑い所は満載。ストーリー展開も笑いだけに留まらず、さりげないメッセージ性もある。役の設定がイギリス人の中年リーマンから日本の若手リーマンに変わっていても違和感なし。あえて言えば、わざわざ日本からイギリスの湖水地方に来てまでの研修という設定にムリがあるくらいで、そこはそれ、さらっと流してしまえば、あとは4人のお芝居を楽しむだけですから。
芝居中、時折挟まれるアドリブやムチャ振りも、かなりこなれてきた感があって、予想していた以上に面白くてめっちゃ笑わせてもらいました。途中、町田君のアドリブに屋良君が思いきりツボにハマったらしく、そろそろシリアスな話題に入るというのに、なかなか笑いが止まらなくて、衣裳のフードと手で笑い顔を隠そうとしてるところを、秋山君から「いつまで笑ってんだよ!」とツッコまれてたのが、私的にツボでした。
屋良君、可愛い。
4人だけの芝居というのは、正直、全員がほぼ出ずっぱりであるがゆえに最後まで気が抜けない。4人のあ・うんの呼吸が芝居の流れを作り出していくので、誰か一人が呼吸を乱せば芝居はそこから崩れていく。
ベテランの役者であれば、三谷幸喜の傑作コメディ「笑の大学」のような二人芝居でも、集中力が途切れることなく芝居を続けることが出来るだろうけれど、MAのような若手がたった4人で、1時間50分もの間、集中力とテンションを維持していくのはどれだけ大変だったろうと想像させられる。
特に後半、『笑い』から『闇』の部分へ切り替わるシーンがあるが、この芝居のクライマックスとも言えるこのシーンへ観客を引っ張っていくためには、時間の進行とともに演じるほうのパワーもマックスに持っていかなくてはならないので、相当にキツイと思う。
それだけに、MA4人がわたしたち観客を、湖水地方の無人島の世界に、幕が下りるエンディングまで引き寄せ続けたことを評価したい。
もちろん、よく出来た脚本に恵まれたこともあるかもしれない。でも、4人のアンサンブルは、いままで経験してきたステージで培った成果が開花したものだろうし、MAならではの魅力も存分に発揮されていたと思うのです。暗転時のパフォーマンスとかね。
これから10年、20年・・・MAのメンバーが世間一般でいう【中年】にさしかかったときに、もう一度この芝居を再演で観てみたい、スタンディングオベーションに応える4人を見ながら、そんなことをふと思いました。