旅してマドモアゼル

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ときどき旅、いつでも変わらぬジャニーズ愛

「姿三四郎」レビュー【後編】 

2007-12-11 | ジャニーズ雑記
さて後編いきまーす。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

檜垣との死闘の後、三四郎は道場の掟を破ったからと自ら絋道館を立ち去ってしまうのですが、お仙から、店の借金を工面するために、乙美が芸者に身を売ろうとしていることを聞かされるんですね。口入屋が提示している額面は千円。
当時の千円いうたら、そりゃすごい額ですよ?
ほお、どれくらい?と聞かれても、いまの金額に換算してどれくらいになるのか分かりませんけども、とにかく当時は1円より下の「銭」が闊歩している時代です。
なので、お仙から「乙美ちゃんに思いとどまるよう説得して」と頼まれても、三四郎にも肩代わりしてあげられるようなあぶく銭は、どこをどう叩いても出てくるわけがない。
またまた一人部屋で悩んでおりますと、ご近所の興行師がやってきて・・


アメリカからスパアラ(今で言うボクシング)のチャンピオンが来日していて、格闘技の興行を開いているので、「ご近所の誼で」ぜひその対戦相手として出て欲しいと頼まれます。

興行師役は宇梶さんですね。
このドラマ、竹脇無我が出ていたり、なにげに脇役が豪華です。
もったいない。DVD化しないんでしょうかね。
舞台裏を番宣でバンバン流しちゃったりしてるから、ハナから作る気ないのかもしれませんが。

最初、異種格闘技戦にまったく乗り気がなかった三四郎ですけども、「勝ったら千円出す!」と言われて、気持ちが180度転換。
分かりやすい展開ですけども、これで乙美と牛鍋屋を救えるわけです。


そして、いったいどこで聞きつけてきたのか、対戦会場の新富座にやってきた高子お嬢様。
相手が強すぎるから試合をやめて、と懇願する高子に向かって、「負けるわけにはいかないんです」と三四郎。
その言葉に、高子は女のカンでもって「あの町娘のためなのね」と、敵役丸出し状態で問い詰めるのですが、三四郎はそれに答える代わりに、村井から預かった乙美の御守袋を高子に見せると、彼女と乙美が異母姉妹であることを告げて
「自分が負けたら、乙美さんを守れるのは貴女しかいないのです」
と、自分に惚れてる女に自分が惚れてる女の世話を堂々と頼んじゃったりするわけですよ。ある意味すごいよ、三四郎。

ところで、リング上で戦ってるシゲの姿ってなんだか新鮮。
シゲだと思うと、ぜったい勝てないやろ?と思うのですが、三四郎の姿だとこれがまた勝てそうに見えるのがすごいな。映像のマジックか?
でもって、試合には、パンチを繰り出すだけの相手に、頭脳プレー(?)で勝つわけですけども。


試合後のシゲ・・・じゃなかった三四郎の表情。
勝って嬉しいという表情じゃないですね。
愛する乙美を助けるためとはいえ、興行に出たことで道場の掟をさらに破ってしまったことを悔やんでいるのか。
それとも戦う意義を見失い始めて迷っているのか。
何か「戦う」ということに対して、三四郎の心が大きく揺れ動いているのが分かるシーン。
てか、シゲの表情があまりにも切ないです。胸が痛むー


義理の妹、乙美を自宅に招いた高子。
「欲しいものがあったら、全部さしあげますわよ」といきなり上から目線だよ高子。
二人は腹違いの姉妹だと突然聞かされてビックリしている乙美に向かって、「お話したいことがいろいろあるのよ」と優しい声をかけながら、「ところで、姿さんとは(結婚の)約束をしてるの?」と、いきなり本題かよ!な高子。
「いえ、別に・・・」と答える乙美。
「それでは、ただの同情だったのね」と勝ち誇る高子。
高子、めちゃめちゃ悪役やん。
ちなみに、このシチュエーションなんですけども、何度も見ているうちに、なんだか韓ドラっぽく見えてきました。
薄幸だけど一生懸命で健気なヒロイン、乙美。
ヒロインをいじめるお金持ちのライバル、高子。

さて。女性二人が火花をバチバチ交わしている一方・・・


こちらのお二人。
興行のチラシを見た大三郎が、ようやく三四郎を見つけて・・・

大三郎「・・・で、あれは?どこ?」
三四郎「何が?」
大三郎「何がって・・・ほら、あれだよ・・・・・千円?」
三四郎「ああ、もう使った」
大三郎「えええーーっ!」

あてがはずれて残念な大三郎さん。
「千円?」の風ぽんの言い方と表情が最高です。
てか、『徳川風雲録』の字幕テロップが邪魔です!テレ東さん!

そこへ、新富座の興行でチャンピオンに賭けて大金をすってしまったアメリカ人の男達が二人の前に現れて、「俺たちの金を返せ」といきなりピストルを取り出し、問答無用のバーン!!
大三郎をかばった三四郎が撃たれてしまうのですー

乙美さんのいる牛鍋屋さんに、そのことを知らせに走った大三郎。
でも、そこには女将のお仙と、乙美を引き取りたいと申し出にやってきた高子の二人しかいなかったんですね。
こういうときは、早い者勝ち。馬車を持ってる高子のほうが断然有利なわけで、乙美が病院に駆けつけた時には、「先ほどお身内のかたがお見えになって・・・南小路高子様とおっしゃる方が」
・・・って連れて帰っちゃったんですか?!高子様!!


「あの子にだけは負けたくないの」
と自分の屋敷に三四郎を運び込んで、寝食を惜しんで看病する高子。
うーん、なんか・・・その気持ち分からなくもない。
この歪んだ心になんとなく共感を感じなくもない。


「一目だけでも三四郎さんに会わせてください」
必死にお願いする乙美ですけども、高子お嬢様の気持ちを知る執事に「重体のため面会謝絶です。お引取りください」と冷ややかに追い返されてしまうのです。
雨の中、門の外で、三四郎の無事を必死に祈る乙美。
いじらしくて健気な乙美ちゃん、いいですね。

で、結局。三四郎は息を吹き返すのですが、まだ朦朧とした意識の中で「ありがとう・・・乙美さん・・・」と高子に向かって言っちゃうのですよ。
三四郎さあ・・・ちょっとひどくね?
だって、この三四郎の一言が、高子の運命を変えてしまうわけですよ。
「お父様、この前のお見合いの話、お受けしようと思うの」
病人の看護など辛気臭いことは自分には似合わないとか言っちゃって、お嬢様、やけっぱち。
やがて、銃創も癒えた三四郎は、矢野師範の迎えで道場に戻ることに。


ところが、京都で行われる武術大会に道場の代表として出るよう薦めると、試合には出ないと断る三四郎。
ここは、師範自ら「なぜ出ないのか」とたずねているシーン。
ここ、撮影場所もいいし、二人の対話もすごくいい。
三四郎曰く、今まで勝ててきたのは、自分の力ではなく運だったのだと。
「運だけでは、大切ななにかを守りきれません」
そうきっぱり言い放ち、師範の前を立ち去る三四郎。
このときのシゲの顔が惚れ惚れするほど素敵。
てか、どれもこれも素敵なんだな。
いちいち「素敵」とか「カッコイイ」とかもう言わなくてもいいか。


私、けっこうシゲの後姿、好きかも。てか、好き。この姿、なんだか萌えです(笑)
何か考え事の最中?のところへ、「三四郎さん」とさわやかな乙美の声が。


この二人、なんか可愛いですー(笑)
毎回着物を綻ばせてしまう三四郎に、乙美が仕立て直した着物をプレゼント。
「何かお礼をしたいんだけど・・・(何もない)」という三四郎に、「それじゃ、今度それを着て一緒に出掛けてくれませんか」と乙美さんから縁日デートにお誘い。乙美ちゃん、やるね!


てか、どんだけ好きなんだ、シゲの後姿が(笑)
初デートに誘われてウキウキ気分の三四郎・・・かどうかは分かりませんが、とある神社の境内に立ち寄った三四郎は、不意に殺気を感じて振り返りますと・・・
「殺気に気がついたのか、大したものだ」どこかから男の声が。


そのどこかは、ここ。いやー劇画チック。
ポーズを決めて屋根の上に立ってますけども、わざわざ屋根に上って登場するところの意味は?と思ってしまうのです、はい。


三四郎の最後の対戦相手となる、九州生々塾の津久井譲介。西日本一強いんだそうで。
三四郎が試合に出ないというので「残念だ」とそのことをわざわざ言いにきたとは思えませんな。
タキシード姿の要さん、カッコエエー なんかね、鋭い刃のきらめきですよ。
でも書生姿のシゲのほうが何倍もカッコいいもん。(←単なる身びいき)


そして、実は、高子のお見合いの相手というのが、この津久井だったという、いかにもよく出来た話なのですが・・・
『可愛さ余って憎さ百倍』をそのまま地で行く高子は、津久井に「姿三四郎と戦うことになったら、お願い、彼を殺して」とまで言ってしまうのです。
うひゃー女の嫉妬って怖いですねー(という私も女だけど)


かつて自分を好きだと言っていた女が、自分を殺してくれと他の男に依頼しているなどとは我知らず~な三四郎は、乙美と縁日デート中。
この二人のテーマ曲にもなっているカーペンターズの「Yesterday Once More」の曲をバックに、おみくじなんかしちゃったりしてさー 楽しそうだねー

三四郎「僕は会津の出身なんだ」

このセリフにひたすら萌えですよ。
この話は、明治20年の話ですから、あの会津での最後の戦いの時は、三四郎はまだ幼い子供だったんでしょうか。
なんかね、心がキュンとするんですよ。ああ、三四郎は会津人なんだ・・・と。
彼の生真面目さ、実直さ、誠実さ、そして不器用さは会津の血を引いているからなんだ・・・と。
こんなところで「組!」に思いを馳せてしまった私です。

でもって、線香花火なんかしちゃってるわけですけども。


「僕が求める強さは、乙美さんを一生守れる強さなんだ」
「僕と一緒になってもらえませんか」


・・・メガトン級の衝撃に気を失いかけました・・・
このときのシゲの声、表情があまりにもパーフェクツ!すぎて、別に自分に向かって言われてるわけじゃないんだけど、なんだか夢見てるみたいな気分になっちゃいました・・・
でも、本人も番宣で言ってたけど、めちゃめちゃクサイ台詞デス。
でも、いいっ!!!


セカチュー?

三四郎のプロポーズに、笑顔で「ええ」と返事をしようとした乙美ですが、突如咳き込んで、その場にバッタリ。一応、この前にも咳き込んで血を吐くシーンがあったので、観ているこっちは、ああ、とうとうきちゃった・・・という感じなのですが、そんなことは知らない三四郎は必死です。「誰か、助けてください!」


こっちはドロドロです。
南小路家の別荘に、二人っきりで訪れた高子と津久井。
「姿三四郎こそ私の敵!」 そこまで言いますか・・・
「私は姿三四郎に手篭めにされたの!」 ひょえー!
「姿三四郎は鬼神よ。あなたみたいな普通の人間に倒せるわけがない」
三四郎さん、散々な言われようですよ・・・
でも、高子の言葉の裏には、三四郎への断ち難い想いがぐるぐる渦巻いてるのが分かるだけに、なんだかこんな風に自分を追い込んでしまう高子がちょっと可哀想。

で、高子にけしかけられた格好の津久井が、三四郎の元へ、果たし状の電報を送ってくるわけです。
果し合いに来なければ絋道館を襲うとまで言ってきているのに、それでも「僕はもう闘わないと決めたんだ」と、頑なまでに果し合いに行くことを拒む三四郎。


大三郎と三四郎の話を耳にした乙美が、「果し合いに行ってください」と三四郎に告げるシーン。
三四郎が戦い続ける限り、自分も病と闘うことができるのだと、説得する乙美。
乙美ちゃん、やっぱり健気です!そして強い!
勝って、戻ってきてください、という乙美を抱きしめ、黙って肯き、最後の戦いの場へと向かう三四郎。
ところが、三四郎が行った後、乙美は大量の血を吐いてしまうのです・・・

決戦の場は、たぶん、伊豆・・・っぽい。

「貴様は女を泣かす外道だ。許さん」と、いきなり問答無用で蹴りを入れてくる津久井。
シゲがものすっごいジャンプ力を発揮してます!!
ワイヤーがあれば何でもできるね!!
容赦なく襲いかかってくる津久井の攻撃に防戦一方の三四郎。


2時間サスペンス? 犯人の告白シーン?
と、突っ込みたくなるような、海を臨むとても眺めのいい場所です。
このときは、水神様のご威光が効かなかったのか、スタッフ渾身のシャワー雨が二人にジャンジャン降り注いでます。
「貴様の得意な柔道の技で倒してやる」
つまり、津久井の柔術は見られないってことっすね・・・

津久井に押さえつけられた三四郎は、乙美も病と必死に闘っていることを思い出し、渾身の力でもってついに逆転!


で、勢い余って、こんな状態に。
「手を離せば貴様だけでも助かる!」という津久井に、「だめだ!」と絶対に手を離さない三四郎。
シゲ・・・カッコイイ・・・(すでに三四郎とシゲが頭の中でゴッチャ)
こんな状態の中、これでもか!と二人に降り注ぐシャワー雨。


シゲ大熱演中。
めっちゃ泥まみれです。でも、どれほど泥水にまみれようが、凛々しくて美しいシゲの顔。
ああ、もうアカンーって所に、高子が二人を止めようと慌てて呼び寄せた檜垣がいきなり登場。
ここでの檜垣さんの登場は、あまりにもトートツでビックリ。ここに繋がる大事なシーンをなにかカットしたな。

津久井を助けたことで、決着は着いたのか、そのあたりもビミョーに曖昧なまま、次のシーンへ。


乙美のもとに駆けつける三四郎。
またしても綻んでしまった着物を見て

乙美「また・・・綻んじゃったのね・・・」
三四郎「うん・・・ごめん」

このシーン、めっちゃ心にくるんですけど!
ゴメンというシゲの表情がいいのですよ・・・切ないよ・・・
そして「世界で一番幸せでした」と言い残し、乙美は息を引き取るのです・・・


自分のしたことを悔いて謝りにきた高子に見送られ、全国に柔道を広めるため、いずこへともなく旅立つ三四郎。
高子「お一人で行かれるのですか」
三四郎「いえ」
と言って、懐から取り出したのは乙美の御守袋。
なんか、甘酸っぱい青春だなあと思ってたら、ナレーションによると、三四郎は生涯、妻を娶らなかったということになってました。
どんだけ一途だったんだ。


去っていくシゲの姿がとっても頼もしくて爽やかなのです。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


とまあ、前編・後編とレビューを分けてまで、しかも、最初から最後まで「シゲ賛歌」みたいなレビューになってて、中身はないに等しいです。
スミマセン。
ここまでおつきあいくださった皆様、どうもありがとうございました。