歴史作家 智本光隆「雪欠片―ユキノカケラ―」

歴史作家 智本光隆のブログです。

祈念―がんばろう東北―

桜の花に癒され、地震の爪あとに涙し・・・しかしながら確実に仙台の街は復興しております。1歩づつではございますが、前進していきたいと思っております―8年前、被災地からこの言葉をいただきました。今年もまた、春がめぐって来ました。今も苦しい生活を送られている方々に、お見舞いを申し上げます。本当に1日も早い復旧、復興がなされますよう、尽力して行きたいと思っております。

「天下人の血」 その宿命!

2013-04-27 22:11:27 | 桃山乱戦奇譚
さて、それでは公式あらすじ、帯にない内容を少し作者的に紹介して見ますと、、、


今回、物語のひとつの軸はあらすじにもある、群雄たちの秀吉打倒です。
そしてもうひとつは、、、タイトルにある通り「天下人の血」です。
応仁の乱以来の戦国乱世を治めた者・・・それは弓馬の家に生まれ育った武者ではなく、
尾張中村の百姓の家に生まれた、豊臣秀吉というひとりの男でした。


その秀吉の「家族」は?
関白となるまで、秀吉を支えた身内は弟の羽柴秀長を中心として、
姉の智子、妹の朝日姫、そして母親である大政所なか・・・
すべて、百姓の家に生を受けた人々です。


秀吉が子に恵まれなかったのは周知の事実ですが、
この兄弟姉妹の中で、三人の男子を産んだのが秀吉の姉・智子です。
長男は秀吉から関白職を譲られ、のちに非業の最期を遂げた豊臣秀次。
三男は叔父・秀長の養子となりながら、やはり死に不審な点のある豊臣秀保。
そして今回、主人公としたのは次男であり、文禄の役にて陣没した豊臣秀勝です。


この豊臣秀勝・・・若くして死んだこともあり、記録にはいたって乏しい人間です。
まず、よく言われていますが、秀吉には「秀勝」を名乗った「子」が3人いました。
長浜城主時代の実子と言われた初代・秀勝(石松丸)
(ただし、石松丸が本当に秀勝を名乗ったのかは、疑問の残る点ですが)
そして、信長の子であり羽柴家の養子となった2代目・秀勝(於次)


そして3代目・・・幼名は小吉。
秀吉にとっと思い入れのあるであろう「秀勝」の名を継ぎ、養子入りは兄の秀次よりも早い。
九州征伐の恩賞に不満を口にして追放処分・・・以後、一時的に記録は途絶え・・・
小田原攻めと前後して帰参し、甲斐で積極的な領国経営を行うも、
すぐに岐阜へ移され、翌年には第九軍・・・これは朝鮮遠征軍の総大将ポジションとして渡海し、、、
その地にて24歳の若さにて没しました。


この「3代目秀勝」の死をどう見るか?
天下を取った豊臣秀吉・・・しかし、関白就任、天下統一を境にするように、
その周辺の人物は大きく「入れ替わって」行きます?
これは偶然か、それとも・・・?


過去の3作品で智本光隆はまだ、このパターンをやったことがありませんでしたが、
豊臣秀勝の「存在しなかった24歳から先の未来」です。
本作は「秀勝隻眼説」を採用したと前に書きましたが、
実は物語の開始時点では、隻眼ではありません。
片目を失い・・・そして代わりに得た「未来」の物語です。


兄に関白秀次、そして妻に信長の姪・お江の方を持つ男が、
もしも生存し続けていたとしたら、果たして「秀次事件」へと向かう道でどのような行動をしたのか。
それは同時に、悲劇の最期を迎えることになった兄・秀次の運命を変えることができるのか?
そして、物語のキーパーソンとして「あの女性」が登場します!

天下人・豊臣秀吉と「血」を同じくする運命を背負った者達。その宿命の戦いをご覧下さい。


・・・そんな感じになるかな(w
そんなわけで登場人物は秀次、秀勝兄弟です。帯にあるとおり蒲生、細川、
そして、謎の男・真砂五右衛門!
過去の作品において、主役サイドだった人が、意外なポジションで出ていたりします。
5月3日まであとわずか!よろしくお願いします。


さて・・・それでは作者は、その前にそびえ立つ締め切りに挑む(w




智本光隆