観に行ったのは6日で、相変わらずブログの更新が遅いのですが(汗)、この時点ではまだ劇場でパンフレットは売っていませんでした。11日かららしいですね。
アニメ映画らしからぬ古めかしいタイトルは、宮崎駿が少年時代に読んで感銘を受けた、吉野源三郎の著書『君たちはどう生きるか』から借りたもので、作中でも主人公の眞人が亡き母が遺したこの本を手に取り号泣する場面があります。
公式が公開前に作品の内容について一切情報を流していなかったので、まっさらな状態で見て欲しいという意思なのだと思いました。なので、もうネット上に、観に行った人たちのネタバレが転がっている時期でしたが、そういうのを踏まないようにして、予備知識無しで臨みました。
というわけで、普段は読書でも映画鑑賞でもネタバレ配慮しない私ですが、今回は謎が分かってしまう点については触れません。
前作『風立ちぬ』同様、戦中が舞台です。
物語が開始して早々に、眞人の母親ヒサコが空襲で焼け死にます。そこから物語には炎のイメージが付きまとい続け、眞人は母が焼け死ぬ姿を何度も幻視します。
父親の職場は軍需産業なのでしょうか。眞人を疎開させているヒサコの実家に戦闘機の風防を持ち込む場面がありました。戦争によって眞人の母は死んだのですが、父は戦争を仕事にしているのですね。
それと、この時代では当たり前のことなんでしょうが、父の再婚が早い。再婚相手のナツコは、ヒサコの妹で姉妹の容姿はとても良く似ています。
ヒロインのヒミは、ジブリヒロインの集大成みたいな女性でした。
このキャラは炎の使い手で、この物語の最重要人物です。彼女の炎が、空襲の炎で母を失った眞人のピンチを救うのです。彼女の正体がはっきりするのは、物語の終盤になってからですが、登場したところから多分そうなんだろうなとは思っていましたし、観た人の殆どがそういう感想になると思います。
その他の登場人物もキリコやアオサギなんかは、あぁジブリのキャラだなあという安心感。
身重のナツコが姿を消した塔には、ずいぶん昔に発狂して失踪したと言われている大叔父が、主のように住んでいます。
物語の舞台がこの塔に移ってからは筋を掴みにくくなるので、そのあたりが賛否両論と言われて仕舞う所以なのかもしれません。今もってほかの人の感想などを読んでいないので、あくまでも私がそう思うというだけのことですが。
ちなみに私たちが観に行った回の客層は中高年が多く、子供の姿は少なかったです。
私自身は元々ラテンアメリカの幻想文学なんかが好きで、物語の整合性に特にこだわらないたちなので、作中に説明のつかない現象が描かれていても気にはならないのです(面白ければ)。が、明確な説明を欲しがる人には、この作品はあまり印象が良くないのかもしれないと思いました。
それと、宮崎駿の作品では、母なる存在が主人公に大きな影響を与えてきましたが、この作品の母とヒロインの描き方には抵抗感を抱く人もいるかもしれません。
最後のヒミの決意には心を打たれましたよ。
結果が分かっていてもその選択をする。その結果に至るまでの過程が彼女にとっては最良の道だから。選択・過程・結果については、ここのところ個人的に色々考えさせることが続いていたので、それもあって、この映画を観た後の気持ちは随分と良かったのでした。
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