青い花

読書感想とか日々思う事、飼っている柴犬と猫について。

金魚絵師 深堀隆介展

2018-07-30 08:01:59 | 日記
日曜に平塚市美術館の『金魚絵師 深堀隆介展』に行ってきました。
深堀隆介の作品展が神奈川県内で開催されるのは、去年、一昨年の横浜スカイビルの『キンギョ イン ザ スカイ』に続いて三年連続です。深堀さんは名古屋生まれですが、現在は横浜在住だそうですので。

観覧料は大人900円、高大生500円、中学生以下は無料ですが、我が家は小学生の子供を連れていたので、親子割が適用され大人二人分の料金から400円引きで入場出来ました。因みに開催期間は9月2日までです。
展示室内は基本的に撮影禁止ですが、新作インスタレーション《平成しんちう屋》のみは撮影することが出来ました。

展示作品は、深堀さん独特の桝や盥などの器に透明樹脂を流し込んで立体的に仕上げたアクリル絵の具の金魚のほか、水彩画やデッサンもありました。
金魚が描かれている素材は、紙、衣類、食器、空き缶、バケツ、箪笥など様々。金魚の持つ庶民的な魅力が存分に生かされていましたよ。ぷっくりと立体的な金魚たちが本物と見紛うくらいリアルでとても可愛らしかったです。
































以上が《平成しんちう屋》内の写真です。
袋に吊るされた金魚が特に可愛かったです。裏から見るとペッタンコなのがなんか可笑しかったですね。




館内廊下に展示されていたライブペインティング作品。


館内の窓には企画に合わせて金魚の絵が描かれていました。
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少年十字軍

2018-07-26 07:00:17 | 日記
皆川博子著『少年十字軍』

“エルサレムへ。
エルサレムへ行けば、何かいいことがあるらしい。
年貢は納めなくていいらしい。
乳と蜜が流れているらしい。
地に這いつくばって働かなくてもいいらしい。
農奴は解放されるらしい。
何か、いいことがあるらしい。
エティエンヌという、神に選ばれた子供が、みんなを連れて行ってくれるらしい。“

十字軍は日本史専攻だった私には馴染みの薄い項目だ。
第四次十字軍(1202-1204)の失敗から約十年後、エルサレム奪還の為に羊飼いの少年に率いられた少年十字軍は、マルセイユから出航した後行方不明になり、奴隷としてアフリカに売られたと伝えられている。
本書を読む前に私が知っていたのはこれくらいである。
しかし、皆川博子は作中で歴史的背景を説明するのが上手い作家なのでついていけなくなる不安はなかった。
本書の中に巧みに織り込まれている十字軍の時代の法律、信仰、風習の中で最も驚いたのは、規律が厳格だと思われた当時の修道院で、下位の助修士が上位の僧院長や修道士を虐げるという事例があったということだ。この事実は本書の中心人物の一人・フルクの行動の動機となっている。

13世紀前半の北フランス。
廃村にある壊れかけた教会をねぐらにしている浮浪児のルーは、エティエンヌという羊飼いの少年を中心とした数人の子どもたちと説教師のフルクからなる集団と出会う。
「エティエンヌがいるから大丈夫」これが子供たちの口癖だった。彼らは、大天使ガブリエルの啓示を受けたエティエンヌに率いられエルサレムに向かうという。神を信じないルーは彼らに共感できなかったが、行き掛り上行動を共にすることになる。

当時の農民の暮らしは過酷だった。
豚税、大麦税、羊税など複数の税の徴収に追われる上に、死ねば死亡税まで取られる。
それでも、農民はめったに不平は言わない。聖職者によって、神の定められた秩序――つまりは身分制度とそれに伴う納税・賦役・貴族や聖職者に対する献身――が徹底的に教え込まれているからだ。

エティエンヌ一行が旅の途中で宿泊したのがサン・レミ僧院である。
修道院には何故か助修士しかおらず、規律は乱れ切っていた。徴税担当の助修士シモンによれば、僧院長を含めた12人の修道士は領主ノワイエ伯の兵に攫われたのだという。この時代、領主が自ら兵を率いて領民を襲うことはよくあることだった。
しかし、サン・レミ僧院を襲ったのはノワイエ伯ではなかった。僧院長たちはシモンを中心とする助修士たちに襲われ、地下の懲罰房に幽閉されていたのだ。
サン・レミ僧院の所属するグランモン修道会の修道士と助修士集団は分裂し、何処の修道院も権限を握った助修士たちが修道士たちを虐待したり放逐したりするのが当たり前になっていた。修道士たちは国王や教皇に訴えているのだが、事態はなかなか好転しない。
それを良いことにシモンたち助修士は、少年助修士のドミニクとジャコブを下僕のように扱い、鯨飲し放埓に振る舞っていた。
それを目の当たりにした子供たちは激しい怒りを抱く。

飽食にふけるシモンたちを一筋の光が襲った。
室内に光の波が満ちた。ジャコブはその光の中に牧杖を持った一人の少年が立っているのを見た。少年が牧杖を助修士の一人に向けると、杖の先端から光が放たれ助修士は倒れた。一人、また一人。ジャコブとドミニク以外のすべての助修士が倒れた。累々と倒れている骸を目にしながらジャコブは喜悦に浸った。神の怒りが形を成したのだ、そう思った。

説教師フルクの正体はこの修院で薬草を管理する修道士だった。
彼は助修士たちに罰を与え、僧院長たちを救うために、大天使ガブリエルの啓示を受けたエティエンヌを連れて来たのだのだと言う。
しかし、ドミニクの見解はまったく違っていた。彼は奇跡の光など見なかった。彼が代わりに見たのはフルクが隠し持っていた毒人参だった。
助修士たちの虐待から逃れたフルクは、不思議な力を持つとされるエティエンヌを利用して、エルサレムへの巡礼という方便を作った。その旅程に修道院宿泊を組み込み、エティエンヌの奇跡に見せかけて助修士たちを毒殺したのだ。それがドミニクの見立てである。
ジャコブとドミニク、どちらが見たものが本当なのだろうか。

フルクは僧院長の密命でこの後もエティエンヌたちの巡礼に付き従うことになった。ジャコブとドミニク、そして何とか死を免れたシモンも巡礼団に入る。
僧院長はエティエンヌへの寄進と子供の巡礼団参加は贖罪になると喧伝して金を集める。巡礼団に参加できるのが子供だけなのは、大人がいなくなると税収が減るからだとドミニクは考えている。エティエンヌへの寄進や、参加する子供の親からの寄付は、旅支度の費用に充ててもなお、その数十倍も余った。当座必要な分を残して、財貨は一枚の手形に替えられた。

少年十字軍はエルサレムに渡るためにマルセイユを目指す。
旅の途中でエティエンヌは様々な奇跡を見せるが、ドミニクに言わせれば、そのすべてにからくりがある。エティエンヌ自身は自分に特殊な力があると信じているようだが、病的に感受性の強い気質を大人たちに良いように利用されているのだと、ドミニクは考える。その一方で、ジャコブはエティエンヌの奇跡を信じ続ける。
エティエンヌは心の内に不安を抱きつつも人々からの期待に応えるように身を削る。彼は旅の中で少しずつ違うに人間になっていくようだった。それを子供たちの一人アンヌは不安をもって見つめ続ける。

“主イエスが大工の子であったことを、アンヌはふと思った。大工の子が神の子になっていくのを、家族はどんな気持ちで見ていたのだろう。神の子は磔になった……。”

この物語は登場人物が多い。
第二章からは、ノワイエ伯の四男でエティエンヌに対抗心を抱き、胸に十字の傷をつけ、自分もガブリエルの啓示を受けたと偽るレイモン。レイモンに従う騎士ベルトランと騎士見習いのロベールとピエール。それから、レイモンの下僕でガブリエルと呼ばれる記憶喪失の男。ベネディクト修道会士で市参事会の書記を務めるカドック。泥棒騎士のクレマーンス。彼らが少年十字軍と関りを持つ。

ドミニクはエティエンヌには特別な力は無いと考えているが、僅かであるがエティエンヌには治癒の力があるらしい。彼は身を削って人々を癒していくが、大人たちが仕組んだ大掛かりな〈奇跡〉によって手形を巡る陰謀に利用され、爆発的に増える子供たちの信仰の対象となることに苦しむ。更にはノワイエ伯の権力に後押しされたレイモンに〈奇跡のエティエンヌ〉の名前と功績を奪われてしまう。
深まっていくエティエンヌの孤独と疲弊。少しずつ取り戻される幻視者ガブリエルの記憶。エティエンヌとガブリエルに絡みつくカドックの虚無。そこに奴隷商人に売り飛ばされたと伝えられる史実の少年十字軍の影が被さり、物語は悲劇に向かうかと思われる。
が、この物語はハッピーエンドなのだ。
ガブリエルとカドックが〈無〉ととらえた空間をエティエンヌは命が満ちている海ととらえた。神はいなかったが救いはあった。エティエンヌはまさしく奇跡の子だったのだ。
物語の終幕でガブリエルは独白する。

“大いなる虚無を満たすものに、だた、ひざまずいていた。この先も続くであろう殺戮、不条理、混沌、それらのすべてを融合したものに向かって、私は両手をひろげた。受諾する、と。受諾はするが、戦う、と。”
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梅ジュースとグリーンカーテン

2018-07-23 07:01:58 | 日記

フウセンカズラのグリーンカーテンが今年も順調に育っています。




外からも撮影。


庭に種がこぼれたフウセンカズラも発芽して育っていたので支柱を立ててみました。


グリーンカーテンのない方の窓は廂に簾をつけています。
桜&蓬&柏はエアコンをつけていてもぐったり。


箱にも入ります。


先月24日に漬け始めた梅ジュースが上手く仕上がりました。
隣のラッキョウもいい感じです。


梅ジュースの炭酸割りがめっちゃ美味しい。
梅酒は自家製も市販のもそれほど差はないように感じましたが、梅ジュースは口に広がる匂いや味わいが全然違いますね。
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一学期の終業式

2018-07-20 07:03:07 | 日記

蝉の声に誘われて窓辺に寄る蓬と柏。
柏葉紫陽花は花穂が枯れたので伐採しました。これからの季節は庭の草刈りがしんどいです。

今日は娘コメガネの通う小学校の終業式。
六年生最初の通信簿は芳しい成績でしょうか…。期待するとガッカリするのでのんびり構えておくことにします。
今年の夏休みは、コメガネは夏期講習と友達付き合いで忙しいので、家族でのお出かけは今のところ横浜美術館の『モネ それからの100年展』と平塚市美術館の『深堀隆介展』の二つしか予定していません。モネ展の帰りにコスモワールドか中華街にでも行こうかと思っています。あと、一つくらいはアウトドアも楽しめる時間があれば良いかと。


暑さでダレる桜。
エアコンに最も近いプリンタ―の上で項垂れています。




我が家の猫ちゃんズは相変わらず空き箱が好きです。
上は桜&蓬。下は柏&蓬。柏、目つき悪いなぁ…。


四角いところは大体好き。
プリントの上に座る桜。
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あかんべー猫

2018-07-17 07:00:53 | 日記

桜は時々舌をしまい忘れます。


ウインク。


何かに驚く。


舌が乾くまで気が付かない模様。


酷い寝相。プリンターから落ちそうです。
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