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祭りのしつらい-町家と町並み

2012-03-20 17:34:04 | 社会・経済
9日(金)、大阪市立大学文化交流センターの専門家講座3月「生活科学コース《町家にみる庶民の暮らしと住文化》」の2回目「祭りのしつらい-町家と町並み」を受講しました。講師は、摂南大学外国語学部教授の岩間香さんです。

京都の祇園祭宵山のように、祭りの際に店の間や座敷に屏風を飾る「屏風祭」の風景が各地に残ります。その歴史をひもとき、各地の現状、まちづくりへの応用などを写真や絵画資料などを用いて講義しました。内容は以下の通りです。

はじめに
祇園祭宵山の「屏風祭」・・・京の町家の伝統を感じさせる
 普段は見せない家の中を奥深くまで見せる
 江戸末・明治の祇園祭・・・山鉾巡行を見せるための座敷だった

1、祭り桟敷の発達
桟敷=見るための場所
 例:相撲の桟敷、芝居桟敷(天井桟敷)、祭り桟敷
1)平安時代
祭桟敷に貴族の力を示す立派な建物が造られた
 賀茂祭の桟敷の記録
2)桃山時代
桟敷の屏風飾りが一般に広まった。
 豊国祭礼図 石垣の上に見物桟敷、屏風で囲う
3)江戸時代
町家の開放が進み幕・屏風・毛氈がハレの空間を作るようになる
 賀茂祭競馬図 庶民の桟敷
 祇園祭礼図 通りの桟敷 →町家から見物
◎ハレのしつらい
 屏風、御簾(みす)幔幕(まんまく)緋毛氈(ひもうせん)、提灯

2、各地へ伝搬
1)江戸・・・天下祭 神田祭、山王祭
2)藩の庇護する祭・・・東照宮祭礼:御三家の祭礼
         藩主の祭神:仙台 大崎八幡宮
3)江戸時代後半
 地方都市で曳山や練り物 江戸と上方の交流を通じて祭見物の作法が各地に伝搬
 長崎諏訪明神祭礼 オランダ人の見物
 山形酒田 地方色のある妻入りの町並み
 福井 馬縅祭(うまおどしまつり) 雁木(がんぎ)の町並み

3、近・現代の屏風祭
1)近代
祇園祭では屏風祭がさかんに、新進画家に描かせる、新聞が特集など
明治45年には100軒以上 巡行経路に多い
2)現代
京都 祇園祭、鞍馬火祭、上・下御霊祭、嵯峨野祭
地方に残る屏風祭
 大津、日野、亀岡、三国、城端、八尾、高山、小浜、能登黒島、角館、篠山
復興と消滅の最前線 
 亀岡、岸和田・・・かなり前に復活
 三条、倉敷、村上・・・ここ5、6年間に町おこしのために復活
 天神祭・・・最近
新しい工夫
 京都・・・ビルでの屏風飾りをはじめた例 新進の画家に絵を描かせる
 倉敷・・・モダンアートの参加、美術館の参加

おわりに
都市祭礼は絵画資料が多い=①公的な記録として制作 ②祭りが鑑賞性に富むため
絵師や注文主の存在 地方の経済的・文化的な水準の高さ
屏風祭・桟敷・・・祀られるものを高めるため、あるいは町の繁栄を示すために意図的に行われた。
近代に屏風祭が衰退した原因・・・祭りの庇護者の不在 藩 分限者
祭桟敷は各家で自由に行っていた?
屏風祭は町全体で維持されたもの。
◎祭の研究は風流や曳山中心だったが、「桟敷」や「祭りの町並み」も重要な要素。
◎屏風祭の歴史を振り返ることは、現代の都市や生活を考える上でも、重要な意味をもつ。

コメント
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