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日経エコロミー「知の構造化」で温暖化懐疑論に終止符を 小宮山宏氏

2009-04-25 09:02:37 | 嬉しい!楽しい!面白い!ワクワク!
日経エコロミー「知の構造化」で温暖化懐疑論に終止符を 小宮山宏・三菱総研理事長(前東大総長)

を読みました。

小宮山宏(こみやま・ひろし)氏は、東大総長の時代、講演を聴きました。難しいことをわかりやすく説明してくださり、そのお話には釘付けになりました。
東京大学の総長として4年間大学改革の陣頭指揮を執ったのち、2009年4月に三菱総研理事長に就任されました。

今回は、「地球温暖化のような複雑な問題に立ち向かうには『知の構造化』が欠かせないという主張を書いておられます。

小宮山氏は「知識が爆発的に増えた結果、逆にその知をうまく使いこなせなくなっている」ことを指摘しています。
確かに、インターネットの普及により、私たちは膨大な情報を得られるようになりました。しかし「グーグルが便利といっても、パズルを組み立ててはくれない」ということを仰っています。(本当にその通りですね)

「ジグソーパズルのピース(知識の断片)を集めて全体像を描く作業を誰かがしなきゃいけない。それを「知の構造化」と呼んでいます」(小宮山氏)

さて、本題です。
●「温暖化はウソだ」といった懐疑論について
(小宮山氏のコラムより引用)

確かに、「5%の懐疑論」があることは事実です。IPCCも温暖化の人為的影響について「Very Likely」という表現を使っているわけで、温暖化を100%確証されたとしているわけじゃない。でも、人間活動による温暖化を認めているのが95%と大勢を占めているということは、早く認めないといけないと思います。

懐疑論者は「温度の補正が不十分」とか「温暖化の原因は水蒸気」とか「太陽の活動が活発になれば温暖化する」などと指摘しています。しかしそういったことを科学者たちが考えていないはずがないじゃないですか。全部わかった上での話をしているわけです。

すべてについて反論は用意されているので、彼らがIPCCの報告書をちゃんと読んでないのは明確ですよ。少なくとも識者の間では、温暖化の認識は一致していると思っています。

(ここまで引用)

これは繰り返し、述べてきたことですが、温暖化懐疑論者の言うことは、いっけん、カッコよく、それに賛同することが「知的なこと」であるかのような、錯覚を起こさせます。また「ぜんぶわかっています」みたいに「断定」しているのも特徴?
一方で、IPCCの報告書などは、科学者さんたちがつくっているのですから、断定を避けます。あたりまえですが、100%正しいことなど、世の中にはありえないからです。でも「断定しない」=「自信がない」ということではない。正確さを期すためにあえて「断定しない」のです。

温暖化懐疑論者の主張は、私ごときが聴いていても「滅茶苦茶」なものが多いです。元の主張そのものが滅茶苦茶ですから、それをちょっと読んで、鵜呑みにした人の言うことは、もっと滅茶苦茶。反論する気もなくなるような、非論理的で狭量な意見がほとんどです。「偏りなく」情報を読み、自分の頭で考えれば、答えは明白。でも、みんな読んでいない。決め付けて考えようとしない。そして、断片的な情報をもとに、平気で「断定」する。

複雑な問題に対して「わかりやすい答え」が用意されたら、そこに飛びつくのが、人間の習性です。でも、わかりやすかったり、自分に都合の良い答えに飛びついたり、決め付けたりする前に「ちょっと冷静になって、自分の頭で考えてみたら?」と思っています。

また、これは、枝廣さんの「システム思考」や、小宮山先生の「知の構造化」とも関係するのですが、私たちのような、一般の人間でも、こうした知恵を学ぶ意義は大きいです。

地球環境問題から、政策決定、はては、職場の人間関係、夫婦仲まで、「複雑な問題」は「決め付けてはいけない」ということです。

決め付けずに、背景を考え、構造を考える、仕組みを考えることが、めんどくさいようで、実はあとから、らくちんになることだと、これは今の自分の仕事上の立場などもふまえて思っています。

●小宮山先生の本。賢い人って、一般人にもわかるように、本を書いてくれるから有難いです。

知識の構造化
小宮山 宏
オープンナレッジ

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●第一人者がすべてを注ぎこんだ、温暖化本の決定版。
こちらも、専門的なことを、噛み砕いて、丁寧に説明してくれている、とてもわかりやすい本です。
わかりやすいと同時に「温暖化懐疑論」に事実上、終止符をうったと言える、エポックメイキングな本。

「地球温暖化の予測は『正しい』か?―不確かな未来に科学が挑む(江守 正多氏)

地球温暖化の予測は「正しい」か?―不確かな未来に科学が挑む(DOJIN選書20)
江守 正多
化学同人

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