風吹くままに

温泉県に暮らすマリの日常

挽歌

2013-09-22 11:50:01 | 
桜木柴乃さんの「無垢の領域」は、書道や図書館がモチーフとして使われているらしい。
読んでみたい・・・そんな時、新聞記事で、彼女の根底には原田康子さんの作品があるということを知った。
原田康子・・・微弱なアンテナに引っかかる。
確か私が幼いころにベストセラー作家となった人だ。
二人を読み比べるのも悪くない。
図書館でサーチすると、無垢の領域は4人、直木賞受賞作ホテルローヤルは14人待ちという、田舎の図書館では、めったにない現象が起きていた。
昭和31年出版、原田のベストセラー作品「挽歌」はある。
ならばそれを先に。

紹介文には・・・
北海道の霧の街に生い立ち、ロマンに憧れる兵藤怜子は、知り合った中年
建築家・桂木の落着きと、かすかな陰影に好奇心を抱く。美貌の桂木夫人と
未知の青年との密会を、偶然目撃した彼女は、急速に夫妻の心の深みに踏み
込んでゆく。阿寒の温泉で二夜を過ごし、出張した彼を追って札幌に会いに
ゆく怜子、そして悲劇的な破局-若さの持つ脆さ、奔放さ、残酷さを描いた。
とあった。

「桂木の落着きと、かすかな陰影」昭和の恋の対象になる男性像って、絶対にと言っていいほどこの陰影はつきものだったなぁなどと思いながら読み進む。

う~~~ん、これは恋だったのか?
いや恋ではあるが・・・・・。
小説は、全編、兵藤怜子の視点である。
いつも相手の仕草や表情から心のその意味、深淵を探り、それほどまでもしなくとも…と言いたくなるほど突き詰めてしまう。その丁寧に書かれた彼女の心の動きを読んでいると、結局一人相撲、そして自己完結してしまったと言えなくもない気がする。

コメント
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