📖頭脳明晰で剣の達人。将来を嘱望された男がなぜ不遇の死を遂げたのか。下級武士から筆頭家老にまで上り詰めた勘一は竹馬の友、彦四郎の行方を追っていた。二人の運命を変えた二十年前の事件。確かな腕を持つ彼が「卑怯傷」を負った理由とは。その真相が男の生き様を映し出す。
ラストに点と線が繋がる勘一。
なのだが、私としては、腑に落ちないラスト。
「彦四郎それだけじゃないだろ?」
でも、私の「それだけ」は、がっかりする読者が多いのかもしれない。
だからか「小説現代」連載最終回にあった「終章」は、単行本では未収録だったとか。
文庫本で読んだ私は、巻末の袋閉じを開ける前までは、先に書いたように不満足。
だったけれど、
袋閉じを読んで「でしょう!」
ここからネタバレに繋がります。
タイトル「影法師」。
私はね、真の影法師は、勘一だったのではないかと思うのですよ。
少なくとも彦四郎とみねにとっては。
勘一がその事に気づきませんようにと、願ってしまう。