歌うようにゆるやかに(andante cantabile)

マイペースで歌を歌い続けようっと☆

残された左手

2015-05-27 09:14:35 | ボランティア
Izumi Tateno Scriabin Nocturne for left hand


食堂に杖をついて新しい方が入っていらっしゃました。

コーヒーをお出しすると
左手でスティックシュガーを入れられ
ミルクを入れるのに困っていらっしゃいました。

「お入れしますね~」とお手伝いしながら
お話させていただきました。
70代のかたで今回の病気とは別に30代のときに
脳出血で右半身マヒになられたそうです。
ちょうど働き盛りだったので待ったなしの状態。
ベッドの上で「よし、右がだめなら左でやるしかない!」と
気持ちを切り替えてすぐに左手で字を書いたり
左足でワープロを打ったりする訓練をはじめられたそうです。

「今まで使わなかった脳を使うようになったら
 感受性が高まって世界がひろがったんですよ。」

前向きな姿勢で失ったものより得たものが多かったと
いろんなところで講演もされたそうです。

今もとてもとても輝いていらして
大変な病気と闘っていらっしゃるとは思えません。

「お医者さんをぎゃふんといわせようと思ってるんだよ。」
「せっかくだからおもしろおかしく病棟日記でもつけてみようかな。」
とてもポジティブでいらっしゃいます。



先日ちょうど左手のピアニスト舘野泉さんの番組をみたところでした。
残られた左手が開いてくれた新しい世界に
私もつれていってもらったような素敵な演奏でした。

音楽って追いかけても追いかけても手の届かないような気持ちも
するけれど、そうやって常にそばにいてくれるだけで
幸せなことなんだなあとあらためて感じました。



お二人の陰の努力に胸がしめつけられる思いですが、
人間ってすごいんだなあと勇気をいただきました。
コメント
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