まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

就職活動に向けて実証的データ

2009-06-30 16:01:32 | お仕事のオキテ
4年生の皆さん、
教員採用試験とかを受ける人たちはこれからが本番でしょうが、
就職活動組は一段落した頃だと思います。
未曾有(「みぞうゆう」ではない)の不景気のなかですが、
なんとか内定をもらえたでしょうか?
そして3年生の皆さん、
そんな先輩たちの様子を見ながら、もう就活に本腰を入れていますか?

一昨年の京都で行われた学会で仕入れてきたデータを提供します。
これは学会で実験心理学系の実証科学者によって報告された研究データです。
倫理学者が語る精神論や、マスコミで流布されるような怪しい情報とはちがいます。
とはいえ全部を鵜呑みにするのではなく、
参考にできるところは参考にしながら、
大学生活を送り就活に臨んでほしいと思います。
ランダムに列記していきます。

・大学における学業成績は、所得や昇進、転職状況に確かな影響を与えている。
 学業成績が優秀な学生は、卒業後のキャリア形成を有利に進めている。

・大学時代の課外活動(部活やバイト)の経験や実績などは、
 所得や昇進、転職状況に影響を及ぼしていない。

・早く内定をもらえるか、いつまでたっても内定をもらえないか
 (いわゆる就活勝ち組か負け組か)は、
 就活中の行動量(エントリーシートの提出数、説明会出席数、OB・OG訪問数、
 筆記試験数、面接回数等々)に左右され、
 もちろん行動の多い人の方が勝ち組になっている。

・インターネット上での情報収集(企業HPや就職情報サイト)に熱心であった人が
 勝ち組になっている。

・ただし就職情報サイトだけ利用していて次の活動に踏み出せていない人は
 負け組になっている。
 IT時代はいろいろな情報が誰でも入手できるようになったが、それだけにいっそう、
 OB・OG訪問等によって得た自分しか知らない情報での差別化が重要となっている。

・勝ち組の学生が就活中に意識していたのは、「プレゼンテーション能力を高める」
 「人間的な魅力を高める」「情報収集」「人脈を広げる」などであった。

・同じく勝ち組の学生が大学時代に身につけたと思う能力も、
 「人脈形成力」「自己表現力」「人間関係能力」などであった。

・勝ち組の学生は「友人からどう見られていると思うか」という質問に対して、
 自己評価が高い。

等々。

まあどれも当たり前っちゃ当たり前の気がしますが、
1番目と2番目に関してはどちらかというと逆のことが一般に信じられていましたので、
そうではないということが実証的に証明されたというのはありがたいことです。
これらは主に就活に関わる話ですが、
大学生活の送り方そのものに関係する話ですので、
すべての大学生や大学の先生方、キャリアカウンセラーの皆さんにとっても
有益な情報ではないでしょうか。

「就活勝ち組・負け組」ということばはこの学会のときに初めて耳にしました。
その後あまり流布していないみたいですが、
ひとりで内定を何社ももらってしまう子がいる一方で、
どれだけがんばっても一社も決まらない子がいる状況を言い得てはいるなと思いました。
とはいえ、勝ち組・負け組というのは
いくら聞いてもあまり気分のいいことばではありません。
勝ち組・負け組に両極化してしまうことなく、
みんながよりよいキャリア形成をしていけることを願っています。
みんな

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2 コメント

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Unknown (人事部員)
2009-07-05 07:51:46
不景気なのに正社員を採用するのはなぜでしょう?今の時代、事務や販売職は派遣でまかなえます。わざわざ人件費の高い正規雇用にしてくれるからには理由があります。ずばり派遣やARでは無理な時間的ノルマ的な労働を正社員にもとめているからです、残業当たり前、ノルマがこなせなきゃ徹夜、休まない宣言等のガッツ一色でいくと正社員で内定もらえます。それが無理な(嫌な)人はやっぱり時給で有期雇用で派遣という生き方を選ぶべき…というのがわれわれ人事の基本スタンスです。どちらを選ぶかは個人の選択ですね
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新自由主義の軛 (まさおさま)
2009-07-07 15:36:50
人事部員さま、コメントありがとうございました。
完全に労働基準法に抵触してしまっている話もあって、
マズイんじゃないのと心配になってしまう面もないわけではありませんが、
今の時代の採用側の本音をお聞かせいただきとても参考になりました。
学生のみんなにはそれぐらいの心構えで就活に臨んでほしいと思います。
ただし「どちらを選ぶかは個人の選択」という部分に関しては、
私は別の意見をもっております。
長い時間をかけて何とか保障されるようになってきた、
労働三権をはじめとする社会権が、
新自由主義の時代になってなし崩し的に破壊されつつあります。
働いてお金を稼ぐというのが、
人間が生存していく上での基本的なライフラインであることを考えると、
それを現在のように「何でもかんでも自己責任」という不安定な状態に追い込むより、
みんながある程度安心して健康に働き続けられるように、
セーフティネットをかけておくことが必要だと私は思います。
それは政府(あるいは国家)の選択であり、
現政権はセーフティネットのない非正規雇用を増やすという道を選択したわけで、
本来はその選択を問題にすべきなのに、
あたかも個人の選択の問題であるかのようにしてしまうのは、
これからの日本を支えてくれるべき若者たちに対してむごい仕打ちだなあと思っております。
もちろんこれは、人事部員さんに対して申し上げているのではなく、
日本政府に対して言っているのですが…。
今年は選挙がありそうですが、
そういう基本的な選択がきちんと争点となり、
国民が自らのライフラインについて選択できるようになることを心から望みます。
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