好評発売中の『グローバル・エシックスを考える 「九・一一」後の世界と倫理』ですが、
『図書新聞』に書評が載りました(評者は久保隆さん)。
たいへん好意的かつ示唆に富んだ書評で、
筆者の1人として(筆者の1人であるにもかかわらず?)興味深く読ませていただきました。
評者は、私たちの論集の中で2人が取り上げていた「ピースフル・トゥモロウズ」の活動に言及しています。
それは、9.11の犠牲者の遺族たちが、ブッシュ政権によるアフガニスタン侵攻やイラク攻撃に反対し、
「テロリズムは、貧困、人種差別、無知、不平等、絶望、怒りなどから生じる兆候であり、
その背景を理解することがテロリズムを防ぐために重要であること」を表明するなど、
最近日本でもはやりの、たんに被害者感情を煽ることによって、
むやみやたらと報復攻撃(日本の場合は死刑)へと駆り立てるのではなく、
「加害者と被害者を往還し架橋」しようとする活動です。
久保氏はその「普遍的な位相」に着目し、
テロリズムの背景を理解することによってテロリズムを防ごうという考え方が、
吉本隆明の「存在倫理」という概念を彷彿とさせると言います。
すなわち「存在していることへの視線」に繋がっていく捉え方だというのです。
「普遍視線のようなものを考えていくならば、
テロと戦争を超える方途へと到達できるような気がしてならない」という結論には、
シセラ・ボクの「共通価値」にも通ずるような、
押しつけがましくない「普遍」への微かな期待が感じ取れました。
ああいう硬派な本に書評を書いてくれる人がいるということ、
そして、こういう時代においても「普遍」への希望を捨てない人がいるということに、
何よりも励まされました。
そういう人たちがわずかでもいるかぎり、
永遠平和への道が潰えてしまうことはないでしょう。
『図書新聞』に書評が載りました(評者は久保隆さん)。
たいへん好意的かつ示唆に富んだ書評で、
筆者の1人として(筆者の1人であるにもかかわらず?)興味深く読ませていただきました。
評者は、私たちの論集の中で2人が取り上げていた「ピースフル・トゥモロウズ」の活動に言及しています。
それは、9.11の犠牲者の遺族たちが、ブッシュ政権によるアフガニスタン侵攻やイラク攻撃に反対し、
「テロリズムは、貧困、人種差別、無知、不平等、絶望、怒りなどから生じる兆候であり、
その背景を理解することがテロリズムを防ぐために重要であること」を表明するなど、
最近日本でもはやりの、たんに被害者感情を煽ることによって、
むやみやたらと報復攻撃(日本の場合は死刑)へと駆り立てるのではなく、
「加害者と被害者を往還し架橋」しようとする活動です。
久保氏はその「普遍的な位相」に着目し、
テロリズムの背景を理解することによってテロリズムを防ごうという考え方が、
吉本隆明の「存在倫理」という概念を彷彿とさせると言います。
すなわち「存在していることへの視線」に繋がっていく捉え方だというのです。
「普遍視線のようなものを考えていくならば、
テロと戦争を超える方途へと到達できるような気がしてならない」という結論には、
シセラ・ボクの「共通価値」にも通ずるような、
押しつけがましくない「普遍」への微かな期待が感じ取れました。
ああいう硬派な本に書評を書いてくれる人がいるということ、
そして、こういう時代においても「普遍」への希望を捨てない人がいるということに、
何よりも励まされました。
そういう人たちがわずかでもいるかぎり、
永遠平和への道が潰えてしまうことはないでしょう。