ぐうたら里山記

兵庫の西の端でただのほんと田舎暮らしをしています。ぐうたらです。のん兵衛です。

モリエール全集~再読の楽しみ

2017年05月29日 18時35分47秒 | 本の中から
モリエール全集を読んでいる。
9巻と8巻を読んで後ろから順に読んでいこうと思っていた。
後期の方がいい作品が多いだろうし、もし途中で嫌になっても、前期の作品だけで止めたら損した気分になる。
それで逆に読んでいこうと思ったのだけど、9と8を読んで、これならみんな読めそうだと、やっぱり最初から読むことにしたのだった。
それで今、1巻を読み終えて2巻目を読んでいる。
昔、読んだ本も再読した。
「町人貴族」と「病は気から」
「病は気から」はモリエール最後の作品。
確か昔読んだ本は「気で病む男」という題だったと思う。
この舞台の4日目にモリエールは倒れそのまま亡くなった。

気で病む男に扮するモリエールは舞台の中で倒れた。
それを迫真の演技だと思った観客はやんやの喝采!
そしてそのまま死んだ・・・と昔読んだ本の解説にそんなことが書かれていた。
これを悲劇と見るか、喜劇と見るか、役者として最高の死に方と見るか・・・
きっと最高の死に方だろうなぁ~なんて昔思っていたけど、
いま全集で読むとモリエールは4日目の舞台を終わってその夜突然倒れてそのまま亡くなったらしい。
きっとこの全集の方が正しいだろう。

「町人貴族」、昔はとっても好きな作品だったけど、今読むと後味の悪さを感じる。
お人よしの町人貴族が周りの人間から騙されっぱなしなのだ。
「気で病む男」は最後はウソがばれて救いはあるのだけど、町人貴族は騙されっぱなしで終わる。
でも当時の観客は後味の悪さは感じなかっただろう。
最後はバレーや歌で終わる。
それで楽しんで帰ることができただろう。

プシシェを読んで今まで思っていたモリエールのイメージはずいぶん変わった。
このギリシャ神話を舞台にした大掛かりな仕掛けと音楽・バレー。
モリエールはこれをプロデュースした。
台本もコルネイユなどとの共作。
内容も喜劇ではない。
仕掛けや歌や踊りのつなぎのための筋、台本。
これを成功させたモリエールのプロデュースの手腕を感じたのは以外だった。

昔読んだ町人貴族も気で病む男も幕間のダンスや音楽をちょっとした解説だけで詳細は略していた。
本として読む分にはそれでいいけど、モリエールの全貌を知るためにはやっぱり必要だと思う。
その点この全集は、モリエール作品全集というよりもモリエールの研究書という感じの実にしっかりした内容。
これからはモリエールを勉強しようと思っている人はこの全集は避けて通ることはできないだろう。
といってもこの全集(臨川書店)2000年4月発行。
えっ、17年前?!
たまたま同じ市の別の図書館で見つけて、取り寄せて読んでいるのだ。
ところがとってもきれい!
誰も読んでた気配がない。
17年もだれも読まなかったのだろうか?



コメント
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