※宝塚歌劇団を批判する記事です
コロナ対応で、同じ少女歌劇をルーツとする
OSK日本歌劇団と宝塚歌劇団で
対応が割れています。
宝塚歌劇団は、80名前後の団員による
大劇場での華やかな舞台がウリです。
コロナウイルスの感染が拡大する中、
(対策したものの)大劇場での公演を再開し
あろうことか「劇団員の感染者」を出しました。
一方、OSK日本歌劇団は、
最大でも40名前後の団員によるレビューで、
5~15名程度の少人数での公演も多数行っています。
先日、大阪の繁華街に、
無観客生ライブ配信が可能な拠点を開場し
「無観客での少人数公演」を再開しました。
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この対応の違いを見て
私はかつて宝塚・OSKとともに
三大少女歌劇の一角だったSKDのことを思い出しました。
(1990年レビュー廃止、1996年解散)
チェルノブイリ原発事故の直後、
SKDはソ連での海外公演を中止しています。
それは、「未婚の女性」、つまり近い将来、
結婚し子供を産む可能性が高い若い女性たち
だけで構成されている以上
劇団は劇団員たちの将来に責任を持たなければなりません。
末期の経営は苦しく、貴重な海外公演を捨てても
SKDは放射線被害のリスクから彼女たちを守りました。
(花魁のように、華やかな衣装や生活と引き換えに
女性を借金漬けにして心身を搾取するのではなく)
少女たちにきちんと教育をする
「花嫁学校」としての側面を持つ
少女歌劇のあり方です。
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翻って現在の宝塚歌劇団…
コロナウイルスに感染したタカラジェンヌの方々は
本当に気の毒ですし、ご回復を願っています。
ただ、様々な未知の後遺症が残るとされる
コロナウイルスのことです。
髪が抜けるとか、息苦しいとか、
命が助かっても、二度と舞台に立てない体に
なってしまうかも知れません。
劇団は、何よりも彼女たちを守らなければならなかった。
なぜ、それができないのか?
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現在の宝塚歌劇団は、96期事件の頃に書いた
私の批判にも関わらず(苦笑)、
一般向けのPRにも力を入れ、
2014年の百周年以降、過去最高の観客動員を更新しています。
年100万人が観劇する宝塚が
地元経済にとって、観光業界にとって
その他、衣装屋さん・大道具屋さん等
ステージを支える業界にとって
そして(創設の経緯から)阪急電鉄にとっても
貴重な金づる…じゃなくて孝行娘なのは分かります。
が、劇団員の命や健康とどちらが大切ですか?
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そして、OSKとの決定的な違いは
劇団そのものの規模や影響を及ぼす範囲が
大きくなりすぎたこと…
OSKは2003年には一時解散の憂き目に遭い、
衣装や音源の使いまわしも多く、
松竹座・南座・新橋演舞場等の大劇場だけでなく、
競艇場や地域イベントまで、
振り付けや、照明・演出を工夫しながら
本当に必死にレビューの灯を守って来たのです。
しかし、OSKは結果的に
「少人数のレビュー公演」が得意で
IT企業の傘下に入ったことで、
「ライブ配信の新技術」にも対応できました。
苦しい環境で公演を続けてきたことが、
強みになる時が来たのです。
現状、OSKはコロナウイルス感染者を出していませんが
宝塚の状況を踏まえ、当面の公演は
本当に最小限の規模で良いと思います。
一方、宝塚は
「少人数のレビュー公演」ができず、
ライブ配信自体は、映画館で行っていた実績がありますが
ステージの規模が大きすぎて、
劇団員を含むスタッフ間の感染を防ぐことが出来ませんでした。
OSKと宝塚を双方を見ると
宝塚が人海戦術で迫力のあるシーンを作る一方
OSKは早変わりや照明・演出の工夫で
人数が多く見せているんだなと思います。
それが、それぞれの劇団の条件であり、魅力なので
優劣を付けることではありません。
しかし、現在のように、
公演条件が極めて限られる中
宝塚がその魅力を最大限に発揮することは
不可能になってしまいました。
OSKと同等の規模となると、
宝塚では「ディナーショー」「リサイタル」
位しか実績がありません。
(一般非公開のイベントはあります)
第二次世界大戦や平成の大不況と同様に
少女歌劇の苦難の時期が来ましたが
真の強さは、やはり実力です。
実力があれば、人海戦術や派手な衣装・装置に頼らなくとも
公演を成立させることができます。
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OSK、そして特に宝塚は、
かつてのSKDがそうしたように
「花嫁学校」として
劇団員を守ってください。