以心伝心

書・旅・本などのメモ。

高野切

2012年04月11日 | 高野切

 

 羇旅歌(きりょのうた)

 

       唐土(もろこし)にて月を見て、よみける              安 倍 仲 麿

 あまの原ふりさけ見れば春日(かすが)なる三笠(みかさ)の山にいでし月かも

        この歌は、昔(むかし)、仲麿(なかまろ)を、唐土(もろこし)に物習(ものなら)はしに 
        遣(つか)はしたりけるに、数多(あまた)の年を経(へ)て、え帰(かへ)りまうで来(こ)
        ざりけるを、この国(くに)より又使(つかひ)まかり至(いた)りけるにたぐひて、
        まうで来(き)ならむとて出(い)で立(た)ちけるに、明州(めいしう)と言(い)ふ所
          (ところ)の海辺(うみべ)にて、かの国(くに)の人、餞別(むまのはなむけ)しけり。
        夜(よる)に成(な)りて、月のいと面白(おもしろ)くさし出(い)でたりけるを見て、よ 
        めるとなむ語(かた)り伝(つた)ふる

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