第十九段
鳥の声などもことの外に春めきて、のどやかなる日影に、かきねの草もえいづるころより、
やや春ふかく霞みわたりて、花もやうやうけしきだつほどこそあれ、
をりしも雨風うちつづきて、こころあわただしくちり過ぎぬ。