時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

池上彰大先生のニュース番組について

2014-04-28 21:17:03 | マスコミ批判
前の記事で、
アメリカに有利な形でTPPが結ばれそうになっている
という非常に危機的な状況であることを
どうしてメディアは報道しないんだ
といったことを書きました。


書き終わり、投稿して、テレビをつけてみると、日本の誇る名ジャーナリスト、
池上彰大先生が韓国での沈没事故のご解説をされていました。


ここのブログも、時事ネタを扱うと目に見えてアクセス数が増えるので、
流行の話題に飛び乗って解説するのは、この手の人間が食っていくのに
必要なスキルなのかもしれません。


けれども、それでも、あえて言いたいのですが、
それほどまで他所の国の事故にここまで執拗にこだわるのならば、

なぜ今年の1月に民間人を死亡させた
軍艦おおすみの事故を深く追及しないのでしょう?



1月17日付の赤旗の社説を抜粋します。


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海上自衛隊の大型輸送艦「おおすみ」と釣り船「とびうお」が、
広島県大竹市の阿多田(あたた)島沖で衝突した事故は、
海に投げ出された釣り船の船長と乗客、合わせて2人がなくなる
痛ましい事態となりました。

海上保安庁などによる事故原因の究明が始まっていますが、
見過ごせないのは海上自衛隊の艦船によるこうした事故があとを絶たないことです。

直接の事故原因にとどまらず、なぜ艦船による衝突事故が繰り返されるのか、
その背景にまで踏み込んだ徹底した究明が不可欠です。



海上自衛隊の艦船による主な衝突事故は、
1988年7月の神奈川県横須賀市沖での潜水艦
「なだしお」と遊漁船「第1富士丸」の衝突で
遊漁船の乗客・乗員30人が死亡したのをはじめ、

2006年11月の宮崎県沖での練習潜水艦「あさしお」と
パナマ籍のタンカーとの接触、08年2月の千葉県房総半島沖での
イージス艦「あたご」と漁船「清徳丸」の衝突(2人死亡)、
同年12月の横須賀港内での護衛艦「しらね」と作業船「第6本栄丸」の衝突、
09年10月の関門海峡での護衛艦「くらま」と韓国籍のコンテナ船の衝突と、
繰り返し発生しています。

国民の生命や財産を守るたてまえの自衛隊の艦船と民間の船舶との衝突で
人命が損なわれるのは許されるものではありません。


http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-01-17/2014011701_05_1.html
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あの時、私はもっと大々的に連日にわたって
精力的に事故の原因と自衛隊の責任が追及されるものだと思っていました。


ところが今では、「そんなこともあったなぁ」といった扱いです。


この件で非常に重要なことは、
最近の自衛隊の事故では、自衛隊ではなく、
その被害者(死亡者)に責任がなすりつけられている
ことです。

自衛隊のやることなら、どんなことでも黙認される、
自衛隊なら責任を問われないという恐ろしいことが
現在進行形で行われているのですが、
なぜ誰も言及しないのでしょうか?


当時において、一応社説で言及はされましたが、今の韓国での事故と比べれば、
とりあえずコメントしたといった程度以上のものではなかったと思います。


当り前の話ですが、あの事故で最も亡くなったのは韓国人なのですが、
日本では、なぜか日韓の友好関係に支障をきたす大事故とみなしています。


この論法が通るなら、当然、2011年3月に東北で暮らしていた
全体でいえば被災者の数パーセントにも満たないだろう韓国系外国人の死亡を口実に、
確かな防災対策を行ってこなかった日本政府や東北の各自治体に対して
韓国が喧嘩を売っても文句は言えなくなるはずです。


安倍政権の政策のメインとも言える軍事に直接関係のある自衛隊が有する
軍艦の衝突事故が、他所の国の沈没事故よりも扱いの比重が小さい。


これこそ、メディアがなんだかんだで
私たちに考えるための情報を提供するのではなく、
考えを妨げるためのネタをばらまいている

何よりの証左と言っても過言ではないと思えてなりません。


最近のNHKの報道はおかしい

2014-04-28 21:00:34 | マスコミ批判
この間の記事の続き。


NHKは、以前から安倍首相とつながりが深く、
同氏が介入して慰安婦を取り扱った番組を改変させたりと、
体制協力の色が濃い情報機関でしたが、ここ最近のHNKを見ると、
「こんなに安倍礼賛をやっていていいのだろうか」と不安になります。


たとえば、日米首脳会談で領土問題を日米安保に関連する問題だと
明言したことを、鬼の首を取ったかのように得意げに報道していましたが、
その一方で、実はアメリカの見解は少しも変わっていないこと、
交渉が滞っているTPP問題でかなり強硬な姿勢をとられたことは
指摘されていません
でした。


しんぶん赤旗の記事より。


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最大の焦点だった環太平洋連携協定(TPP)では、
断続的協議で米側の強圧姿勢が際立ち、

共同声明で「前進する道筋を特定した」
「TPP協定を達成するために必要な大胆な措置をとる」と明記しました。


一方で、「TPPの妥結にはまだなされるべき作業が残されている」としており、
矛盾が深まっていることを示しました。


昨年末の靖国参拝で米政府から「失望」を表明された安倍首相は、
今回の首脳会談で安全保障問題を中心に「日米協調」を演出し、
対中国で強いメッセージを出そうとしました。

その結果、共同声明では日米安保条約が
「尖閣諸島を含め、日本の施政の下にある全ての領域に及ぶ」
ことが改めて明記され、安倍首相は「日米同盟は力強く復活した」と胸を張りました。


しかし、共同声明では北朝鮮問題をはじめ国際的な脅威で
「中国は重要な役割を果たし得る」
「中国との間で生産的かつ建設的な関係を築くこと」もあわせて確認されました。


英紙ガーディアン(電子版)はこの問題で
彼(オバマ氏)は主権問題で一方の立場を支持しないという
 米政府の立場を再確認し、中国と日本が対話を通じて違いを
 解決するよう呼び掛けた
」と報じました。


24日の記者会見でも、オバマ氏が尖閣問題で
「事態がエスカレートし続けるのは正しくない」とくぎをさすと同時に、
中国の「平和的台頭を米国も支持する」と語りました。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-04-26/2014042601_01_1.html
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ガーディアン紙が報じた内容を、NHKは全く触れていません。
これは意図的な隠ぺいと受け取られかねない行為です。


よその国は、アメリカの尖閣問題に対する態度は変わりないものとして見ているのに、
日本だけアメリカが味方になってくれたと勘違いしている
わけです。
(もっとも、中国がアメリカにこの件で抗議の言葉を送りはしましたが)

これでは、国民をだましたまま、国民が実態をつかめないまま
領土問題が混乱していくのを促しているようなものです。

臭いものにふたをしているようなものです。

非常に問題ある行為だと思います。



また、日本に対して領土問題で歩み寄った見返りとして
TPPに対して譲歩せよと暗に強調されたことも
本来なら、もっと中心的に扱うべき事項でした。


TPPをアメリカの要求に応じて受け入れてしまうと、
米をはじめとした農作物に関税をかけることができなくなり、
国内の農業労働者を保護することができなくなります。


簡単に言えば、
国内の農家が減り、食料自給率がますます減ります。



事実、TPPと同様の条約を締結した途上国では、
国内の農家が安価な輸入作物に勝つことができず、
結果的に商品作物の栽培に勤しむようになっています。

自分が食べるものは不足しているのに、
外国国へ捧げる作物は安価で買い取られるという悲惨な状態です。

これは安定して国民に食料を供給することを考えれば、
大変危険なことなのですが、NHKは無視しています。


TPPは農作物に留まらず、医療や保健、金融、人材派遣といった
多岐にわたる条約であり、日本経済に大きな影響を及ぼすものです。

もっと本格的な議論と批判がなされてもおかしくないのです。



NHKをはじめとしたメディアは
韓国での沈没事故ばかりクローズアップして、
肝心の私たちの毎日に関わる話をしてくれません。



後になって気がついてももう遅いのです。

NHKをはじめとした御用メディアには、
少しでも早く、議論に掲げるべき内容を報道してくれるように望みます。