この事件の背景に、フランス政府および社会のムスリム差別と
中東でのテロ支援と空爆があることを前の記事で指摘した。
その後、「容疑者」は人質を取りたてこもり、その場で銃殺された。
新聞やテレビはもちろんのこと、国連の潘基文もこの結果について
「安堵している」と肯定的にコメントしている。
しかし、テロはいかんと言っている人間が、裁判もなく「容疑者」が
銃殺されるのを喜ぶというのは、冷静に考えれば不思議な話だ。
民主主義国家というのは、いかなる犯罪に対しても
裁判という手順を踏み、しかるべき罰を与えるものではないだろうか?
その原則を無視した行為を見て喜び、他方で同じく非民主的な行為に対して
怒りを露わにするというのは全くもって不可解だ。
ましてや、言論の自由を守るというのを異常に強調しているのだから、
なおさら、テロは良くないが銃殺はやりすぎだと一言でも言うべきだろう。
どのメディアを見ても、これをきっかけにフランスだけでなく
ヨーロッパ各地の政治参加や雇用、結婚、生活におけるムスリム差別に対して
反省を迫るような主張は一切見られなかった。これは実に残念なことだ。
一方、フランスではムスリムに国が支配された近未来小説がバカ売れしているらしい。
(http://rt.com/news/220447-houellebecq-controversy-france-islamist/)
著者は「私は中立だ!」と言っているが、
極右に喜ばれる内容の時点でそんな言葉に意味はない。
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事件後に自然発生するであろうイスラム差別を風刺する絵画
(http://rt.com/news/220711-charlie-hebdo-massacre-social-media/)
-------------------------------------------------------------------
オランド大統領はフランスの人々に対して、11日日曜、
このテロ事件を非難する大規模なデモ行進に参加し、
この事件の犠牲者の遺族に哀悼の意を示すよう呼びかけました。
これまで、イギリスやイタリア、ドイツの首相など、
EU諸国の多くの首脳が、このデモへの参加を表明しています。
~(中略)~
残念ながら西側諸国は、よいテロと悪いテロがあるとしています。
西側諸国やその同盟国の人々の生命や、
これらの国々の利益を危険にさらすテロは、悪いテロです。
しかしテログループが西側政府の政策に従って行動し、
イスラム諸国にいる西側以外の人々数千人を殺害するテロに対しては
反応を示さず、それをイスラム世界における暴力や過激主義として、
イスラム教に結び付けています。
西側政府はこれだけに満足せず、多くのケースにおいて、
自分たちの政策を推進するために、このようなテログループを利用します。
その例として、イラクやシリア、レバノンにおけるテロ組織ISISや
そのほかのタクフィール主義団体への対応をあげることができます。
フランスをはじめとする西側政府がISISなどの
テロ組織の強化に大きな役割を果たしているのは、周知の事実です。
彼らはシリアのアサド政権の転覆や、シリアの自由を求める人々の防衛を口実として、
テログループやタクフィール主義者など、あらゆる手段の行使が合法的だとしています。
ISISは西側政府や、サウジアラビア、トルコなどの同盟国の支援を受けて、
世界各地に広い経済的、人的ネットワークをもつ世界最大のテロ組織に成長しました。
公式統計は、これまでにフランス出身者数千人以上が、イラクやシリアを訪れ、
そのうち200人以上がフランスに帰還したとしています。
このため、一部のフランス人アナリストは
これらの人物をフランス社会における時限爆弾だとしています。
フランス政府のこの事件に対する反応は、
9.11同時多発テロに対するアメリカ政府の対応を連想させます。
アメリカ政府もすぐにこの事件を西側の自由民主主義世界への攻撃と解釈し、
西側諸国に対して、このテロ事件の犯人に対する連帯を呼びかけました。
西側の諜報機関の資料によると、アメリカ、イギリス、パキスタンの諜報機関と
サウジアラビアのオイルマネーが、アフガニスタンでの西側の政策を推進する目的で、
テロ組織アルカイダの形成に最も重要な役割を果たしたとしています。
フランス政府とヨーロッパ諸国の同盟国は、
パリのテロ事件の根源を突き止める中で、人々に対して真実のすべてを述べず、
イスラム諸国における最大限の扇動と拡張主義的な政策を正当化する中で、
テロ行為を非難し、フランスにおける恐怖感と連帯の雰囲気を利用しようとしています。
忘れてはならないのは、拡張主義的な国は、
テロに対するダブルスタンダードの結果を突きつけられるということです。
http://japanese.irib.ir/news/commentaries/item/51184-%E
3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%81%AE%E3%83%86%E3%83
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----------------------------------------------------------
上のような批判記事と同じ見解を持つ日本や欧米のメディアを私は知らない。
今回の報道で感じるのは徹頭徹尾、フランスを正義の国として描き、
対してテロを徹底的に非難する善悪二元論、勧善懲悪に基づくストーリーである。
フランス国内での極右政党の台頭にふれる記事もあるにはあるが、
肝心のオランドやメルケルのような国の指導者が全力で中東のテロを支援し、
国内のムスリム差別について消極的な姿勢しか示していないことは誰も書かない。
しかも、朝日などの記事ではオランドを良識人として描くことで、
結果的に、その良識ある人々がムスリムへの差別政策について無関心、
あるいは肯定的であることを隠匿してしまっている。
上の風刺画が描くように、今後はフランスやドイツでのイスラモフォビアは
いっそう勢いを増すだろう。私としては、メディアが取り上げようとすらしない
差別のほうが、よほど重要であり、かつ心配なことである。
中東でのテロ支援と空爆があることを前の記事で指摘した。
その後、「容疑者」は人質を取りたてこもり、その場で銃殺された。
新聞やテレビはもちろんのこと、国連の潘基文もこの結果について
「安堵している」と肯定的にコメントしている。
しかし、テロはいかんと言っている人間が、裁判もなく「容疑者」が
銃殺されるのを喜ぶというのは、冷静に考えれば不思議な話だ。
民主主義国家というのは、いかなる犯罪に対しても
裁判という手順を踏み、しかるべき罰を与えるものではないだろうか?
その原則を無視した行為を見て喜び、他方で同じく非民主的な行為に対して
怒りを露わにするというのは全くもって不可解だ。
ましてや、言論の自由を守るというのを異常に強調しているのだから、
なおさら、テロは良くないが銃殺はやりすぎだと一言でも言うべきだろう。
どのメディアを見ても、これをきっかけにフランスだけでなく
ヨーロッパ各地の政治参加や雇用、結婚、生活におけるムスリム差別に対して
反省を迫るような主張は一切見られなかった。これは実に残念なことだ。
一方、フランスではムスリムに国が支配された近未来小説がバカ売れしているらしい。
(http://rt.com/news/220447-houellebecq-controversy-france-islamist/)
著者は「私は中立だ!」と言っているが、
極右に喜ばれる内容の時点でそんな言葉に意味はない。
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事件後に自然発生するであろうイスラム差別を風刺する絵画
(http://rt.com/news/220711-charlie-hebdo-massacre-social-media/)
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オランド大統領はフランスの人々に対して、11日日曜、
このテロ事件を非難する大規模なデモ行進に参加し、
この事件の犠牲者の遺族に哀悼の意を示すよう呼びかけました。
これまで、イギリスやイタリア、ドイツの首相など、
EU諸国の多くの首脳が、このデモへの参加を表明しています。
~(中略)~
残念ながら西側諸国は、よいテロと悪いテロがあるとしています。
西側諸国やその同盟国の人々の生命や、
これらの国々の利益を危険にさらすテロは、悪いテロです。
しかしテログループが西側政府の政策に従って行動し、
イスラム諸国にいる西側以外の人々数千人を殺害するテロに対しては
反応を示さず、それをイスラム世界における暴力や過激主義として、
イスラム教に結び付けています。
西側政府はこれだけに満足せず、多くのケースにおいて、
自分たちの政策を推進するために、このようなテログループを利用します。
その例として、イラクやシリア、レバノンにおけるテロ組織ISISや
そのほかのタクフィール主義団体への対応をあげることができます。
フランスをはじめとする西側政府がISISなどの
テロ組織の強化に大きな役割を果たしているのは、周知の事実です。
彼らはシリアのアサド政権の転覆や、シリアの自由を求める人々の防衛を口実として、
テログループやタクフィール主義者など、あらゆる手段の行使が合法的だとしています。
ISISは西側政府や、サウジアラビア、トルコなどの同盟国の支援を受けて、
世界各地に広い経済的、人的ネットワークをもつ世界最大のテロ組織に成長しました。
公式統計は、これまでにフランス出身者数千人以上が、イラクやシリアを訪れ、
そのうち200人以上がフランスに帰還したとしています。
このため、一部のフランス人アナリストは
これらの人物をフランス社会における時限爆弾だとしています。
フランス政府のこの事件に対する反応は、
9.11同時多発テロに対するアメリカ政府の対応を連想させます。
アメリカ政府もすぐにこの事件を西側の自由民主主義世界への攻撃と解釈し、
西側諸国に対して、このテロ事件の犯人に対する連帯を呼びかけました。
西側の諜報機関の資料によると、アメリカ、イギリス、パキスタンの諜報機関と
サウジアラビアのオイルマネーが、アフガニスタンでの西側の政策を推進する目的で、
テロ組織アルカイダの形成に最も重要な役割を果たしたとしています。
フランス政府とヨーロッパ諸国の同盟国は、
パリのテロ事件の根源を突き止める中で、人々に対して真実のすべてを述べず、
イスラム諸国における最大限の扇動と拡張主義的な政策を正当化する中で、
テロ行為を非難し、フランスにおける恐怖感と連帯の雰囲気を利用しようとしています。
忘れてはならないのは、拡張主義的な国は、
テロに対するダブルスタンダードの結果を突きつけられるということです。
http://japanese.irib.ir/news/commentaries/item/51184-%E
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上のような批判記事と同じ見解を持つ日本や欧米のメディアを私は知らない。
今回の報道で感じるのは徹頭徹尾、フランスを正義の国として描き、
対してテロを徹底的に非難する善悪二元論、勧善懲悪に基づくストーリーである。
フランス国内での極右政党の台頭にふれる記事もあるにはあるが、
肝心のオランドやメルケルのような国の指導者が全力で中東のテロを支援し、
国内のムスリム差別について消極的な姿勢しか示していないことは誰も書かない。
しかも、朝日などの記事ではオランドを良識人として描くことで、
結果的に、その良識ある人々がムスリムへの差別政策について無関心、
あるいは肯定的であることを隠匿してしまっている。
上の風刺画が描くように、今後はフランスやドイツでのイスラモフォビアは
いっそう勢いを増すだろう。私としては、メディアが取り上げようとすらしない
差別のほうが、よほど重要であり、かつ心配なことである。