みなさん、こんにちは。ミタス一級建築士事務所の清水です。
メールでの建築トラブル相談から、一般的な部分を抜き出して解説しましょう。
「中古で購入した鉄骨造2階建ての建物ですが、
建築確認申請の書類と検査済が無い場合、これから作成して提出すると
OKが出るでしょうか? 新築の数年後、3階を一部増築しています。」
という、ご質問です。
まず、建築確認申請は、着工までに提出しないといけません。
また、完了検査は、入居前に受けなければなりません。
これらが原則ですから、原則としては今からは無理なのです。
ですが、事情があればOKしてくれる場合があります。
例えば、増築を行いたいが既存の確認申請関係の書類が無い場合などです。
既存状況の図面と一緒に提出すれば、OKが出ます。
といっても、問題のある既存箇所はすべて、正しく手直しすることが前提です。
厳密にしなくても良い救済の措置がありますが、
ややこしくなるので説明はカットします。
もし、庇が道路にはみ出ているならカットしないといけません。
建ペイ率や容積率、道路斜線、北側斜線なども当然守られていなければ
正さないといけません。
同時に構造的にも正しいもので無ければなりません。
ということは、現在の工事が正しいものか正しくないものかが
わからなければなりません。
この構造面でいえば、一般的な木造2階建住宅では、現在がどうなっていて、
どこをどうすれば正しくなります、と証明することは、比較的簡単です。
鉄筋コンクリート造や鉄骨造の場合が、難しいのです。
仮に図面や構造計算書があったとしても、その通り工事しているかどうかの
証明が、検査済証が無いと難しいのです。
鉄筋コンクリート造や鉄骨造の場合、現場確認の中間検査や
写真提出での承認が必要となる場合が多いのです。
例えば、既存の建物で基礎の配筋(鉄筋)が正しく行われていることを、
何の証拠もないのに、後から証明するのは難しいということはわかりますね。
地面をすべて掘って、鉄筋レーダー器で、鉄筋が何本どのような間隔で入っている
か程度の証明は可能かもしれませんが、その程度では本来はOKになりません。
他にもいろいろありますが、
仮に何とかクリアーできるか、細かいことは目をつぶってもらうことができて、
OKをもらえたとしましょう。
今回の場合は、3階を一部載せています。
このことを予定して、構造計算をし、工事していたならともかく、
そんな余分なお金の掛かることをしない場合が多いです。
それであれば最初から3階を載せていたと思います。
ということは、多分構造的な強度の面で、問題がでるでしょう。
または、斜線やその他で違法になるのかもしれません。
この鉄骨造3階建ての建物をOKにもっていく方法が
無いとは言いませんが、いくつかの面でかなり難しいと思います。
補足ですが、建築確認申請が出されていたのか、
出されていなかったのかは、役所で調べればわかることが多いです。
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