前回(5)の続きですが、前回は、ミタス一級建築士事務所のホームページのブログに詳細はアップしています。
今回は、長くなり写真も多いので、こちらで詳細を述べます。
同じUA値でも、使用する材料によって快適性は異なる、例えば床材によって
全く異なる、と申し上げました。この床材の差は、熱伝導の違いで説明しましたが
床材が異なることによって、実は変わるのは熱伝導だけではありませんが、
もう少し先にまとめてお話しします。
今回は、熱輻射についてのお話しです。
どの季節でも、外にいて日陰と日向では、体感温度が全然変わりますよね。
でも、同じ隣接した空気で気温は同じなのです。
これは、太陽からの熱線を浴びているためですが、輻射熱といわれるもので
熱源が太陽以外でも感じます。
住宅においては、夏の太陽の日射を反射して遮熱し、
室温の上昇を抑えようという考え方が広まってきました。
外壁の中空層の中で遮熱材を使用する、
▲タイベックシルバーは、商品名ですが遮熱材を兼ねた外壁防水防風透湿シートです。
他メーカーと異なり、価格は高いですが、性能とその耐久性がかなり良い材料です。
また、窓ガラスでも遮熱用のガラスを使い、
LOW-Eガラスと呼ばれるものがそうです。
▲▼遮熱と断熱の両方を求めて、この窓は、トリプルガラス、
アルゴンガス入り、LOw-Eガラス を採用しています。
屋根にも遮熱材を使用しています。
▲これが屋根用遮熱材です。
もっとも、価格があがるので、どれも全く使用していない住宅もまだ多いです。
さらには、冬の寒い時、窓ガラスから冷気を感じます。
これは、冷輻射です。
ミタス一級建築士事務所の事務所でも、
冬になると窓側のスタッフは、いくら暖房を付けて室温を上げても
大きな窓が全面にあるので、寒がっています。
これは、冷輻射が冷えた窓ガラスや外壁から出ているからです。
室内の温度をいくら上げても、これらをカットしないと快適にはなりません。
ミタス一級建築士事務所では、
真空断熱材(薄くて性能が大変良いのですが、価格が高い)
をスタッフの窓ガラスの内側に立てたり
開閉できるように簡単な細工を私がして、しのいでもらっています。
この輻射をどう防ぐかだけでなく、室内に置いては
どう利用するかも考えます。
例えば、冬は陽射し、すなわち日射を入れたいので遮熱したくないわけです。
これは、蓄熱とも関係してきます。
最初に述べた4つの熱貫流、熱伝導、熱輻射、対流は、
大学の熱環境の教科書には載っていますが、
蓄熱に関しては、まだ載っていないかもしれません。
この蓄熱に関しては、最後の方での説明です。
手法についてはいろいろありますが、
輻射については、単にカットだけでなく利用も考える必要がある、
と今回は覚えておいてください。
ミタス一級建築士事務所では、外壁、屋根、窓、内壁、床ともにこの方法を
考慮していますが、外壁や内壁が漆喰の場合も、遮熱に効果があるようです。
費用の面で、すべて漆喰というわけにはいきませんが素材を
考える上で、参考にしてください。
室内で、天然石などを使う手法は、単に意匠的な面ではなく
この蓄熱を利用するためにも使っています。
床暖が無くても床暖があるように感じてしまう、
室内壁が天然石の部屋が温かく感じる
というのも、蓄熱による作用です。
▲玄関の床が大理石ですが、地下のエアコンをつけると1階、2階と階段を上がり
家全体はもちろん、玄関の床は、真冬の夜にエアコンを止めて1時間たっても、床暖のように
温かいです。これが蓄熱です。
エアコンなどで室内の空気を温めても、窓の開閉で一気に寒くなったり
暑くなったりしますね。
ですが、室温をこの天然石などが蓄熱すると
冬は簡単に冷えないということになります。
全く暖房を入れていないと、天然石が温かくなるまで
逆に冷たくて歩けないということにもなります。
▲▼室内の壁、ダイニングやリビングなど人がいる部屋で使います。
蓄熱させるためでもあります。
こういった、輻射や蓄熱を利用するように内装材も考えていきますが
通常、良く使われている合板フローリング、ビニルクロスだけの使用では
対応できません。
次回に続きます。
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