MOBU'S MUSIC MAZE

音楽のこと好きなことなどよしなにほどほどに・・・

「ミッシング・パーソン」

2019-01-25 09:20:22 | 音楽夜話(音楽一般)
片岡義男 著
「道順は彼女に訊く」

「ミッシングパーソン」という言葉が浮かぶ。
ある日突然いなくなる。風景からかき消される。
それも当人は周到な用意をしていなくなる。
探そうにも手掛かりは限りなく少ない。
いきずまってしまう。

5年前、ある女性が失踪した記事のスクラップから
物語は始まる。
失踪した女性がどのような女性であるか、次々と関係者や
残された物たちから明らかになっていく。糸が繋がって
一人の女性が浮かびあがる。事件性はないか、単独なのか、
各視点から語られる。それは簡潔である意味饒舌。

しかしながら、その女性を探し出すまで物語は語られず。

片岡さんの小節作法としては、ミステリー仕立てというのは
珍しいのではないか。それも長編だし。

図書館の書棚から選んで借りて読んだ。
ハードカバーも単行本も絶版になっているのかわからないけど、
店頭では見ない。

作者が今後続編を書くかは限りなく不透明だけれど、解決をみて
いない推理小説はある意味始末に負えない。未完の行為となり、
読者に読後感として残ることもあり、そして片岡さんは
読者の中に残っていく。出来れば書いてほしいと思うが、
いかがだろうか。

ミッシングパーソン(行方不明者・訪ね人)。
また、この物語には音楽らしい音楽が使われていない。