「安全確認された原発は再稼働」!
衆院本会議で施政方針演説をする安倍晋三首相=国会内で2013年2月28日午後1時27分。
安倍晋三首相は28日午後の衆院本会議で、第2次安倍内閣発足後初めての施政方針演説を行った。首相は「原子力規制委員会の下で、新たな安全文化を創り上げ、安全が確認された原発は再稼働する」と明言して「原発の再稼働は、原子力規制委の専門的知見の判断による」との自公連立政権合意から一歩踏み込んだが、福島第一原発の現状を無視した暴挙であるといわねばならない!
また環太平洋パートナーシップ協定(TPP)については、日米共同声明を踏まえ「政府の責任で交渉参加について判断する」と交渉参加への意欲をしめしているが、これも民意に沿ったものではない!
安倍首相は冒頭で、福沢諭吉の「一身独立して一国独立する」という言葉を引用し、演説全体を通じて「自立」を強く訴えたが、実質アメリカの支配下にある日本国の首相としての発言としては、失笑ものである!
外交・安全保障分野では、「在日米軍再編を日米合意に従って進める」と述べ、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設を早期に進める考えを表明し、日米安保体制の抑止力を高めるため、日本として「さらなる役割を果たす」と述べ、集団的自衛権の行使を禁じた憲法解釈の見直しなどを進める意向を示したが、この裏には自衛隊の国軍化という思惑が見える!
中国海軍の艦船が海上自衛隊の護衛艦などに射撃用の火器管制レーダーを照射した問題を挙げ、沖縄県・尖閣諸島周辺での中国側の行動に自制を強く要求し、「(日中が)戦略的互恵関係の原点に立ち戻るよう求めていく」と述べ、習近平総書記との首脳会談にも意欲を示したが、持論ではない!
愚かにもTPP交渉参加を見据えて「攻めの農業政策」を提唱し、「未来に希望を持てる強い農業を創っていく」とトンチンカンな主張をし、「税制で、利益を従業員に還元する企業を応援する」と賃金引き上げも要請した。
また、被災地訪問を踏まえ、「復興を加速する。復興庁が、地域ごとに異なる課題を具体的に整理して解決する」と強調したが、福島の現場の実情が把握できていない馬鹿者の主張である。
福島県については「除染、風評被害の防止、早期帰還に全力を尽くす」と述べたるという厚顔さである!
隠蔽、隠蔽尽くしの原発問題を透明化する重要性を全く認識していない!
教育分野では「6・3・3・4制」の見直しなどに取り組むほか、政府の教育再生実行会議が26日に提言した「いじめと体罰対策」を進める考えを表明。
いつに成ったら国民に税金の本当の使途を伝えるのかと思えば、14年4月からの消費増税を念頭に、「安定財源を確保し、受益と負担の均衡がとれた社会保障制度を構築する」と出来もしないことを述べた。
首相は「建設的に議論し、結果を出すことが国会議員の使命」だとして、「憲法審査会の議論を促進し、憲法改正に向けた国民的な議論を深めよう」と訴えたが、日本国民の戦場への派遣を意味する国軍化への布石的発言である!
2030年代の原発稼働ゼロを目指す民主党政権の原発ゼロ戦略を「無責任」「根拠がない」と安倍晋三首相はこき下ろしたが、本音は本当にそうなのかというと安倍晋三は、原発推進派であり再稼働に向けてチームすら作っている。
多くの国民が求めた脱原発への道のりは、自由民主党の復権により潰えたといわねばならない。
安倍首相は表向きは、「原発ゼロベースで見直す」と強硬だが本音は原発再稼働ですから具体策は示さず、なし崩しの原発復権への道筋を残した!
「『30年代の稼働ゼロを可能とするよう政策資源を投入する』というのが『革新的エネルギー・環境戦略』、つまり原発ゼロ戦略ですが、安倍首相は原発依存度は減らしていくが、今夏に原子力規制委員会が定める新安全基準の下で当面の再稼働は図るとしてうまく逃げている。
原発推進派と、原発ゼロ派の両者の大きな違いは『30年代』『ゼロ』という数値目標を掲げるかどうかにあると言えるでしょう。
つまり「30年代にゼロ」と掲げること自体を戦略実現の「根拠」としている。数値目標が狙いの達成に重要なことは、安倍首相こそが熟知しているはずである!
出だし好調の経済政策・アベノミクスの試金石としてこだわったのは、デフレ克服のための物価目標(インフレターゲット)を「2%」に設定することだったが、同じ数値目標を掲げる原発ゼロ戦略は「根拠なし」と切り捨てようというのだが、アメリカへの配慮でもあろう。
民主党が数値目標を掲げてまで「原発ゼロ」を志向せざるを得なかったのは事故の真実と大きさに恐れおののき、うろたえてしまったからでしょう。
安倍晋三も、原発問題には神経を尖らせており、戦略を立てた原点は、言うまでもなく福島第1原発事故です。
過去の反省に基づいた原発政策の見直しの中で避けて通れなかったものの一つが、原子力発電から生じる使用済み核燃料をどうするかという問題です。
私は特にこの問題が重要だと考えています!
何故か?
原子力発電から生じる使用済み核燃料の処理に困った電力会社は、無謀にも工事業者たちに使用済み核燃料の保管を依頼したのです。
そして、依頼された三井、三菱、住友、東芝等の業者は、全国にある200ヶ所の自社工場の地下倉庫に安全施設を造らずに秘かに隠したのです!
現状の使用済み核燃料の取り扱い方法は、
(1)核燃料サイクル計画で再処理する。
(2)地中に埋設処分する。
(3)数十年程度、格納容器などに暫定保管し再度(1)〜(3)の方法を検討する−−の3種類に大別している。
だが、使用済み核燃料の再処理も地中処分も実現にほど遠く、暫定保管は、その場しのぎに過ぎない。
だから全国にある200ヶ所の核廃棄物保管施設は、後世に負の遺産を残すという事になる。
今のところは、使用済み核燃料をできるだけ外出さないようにするしかありません。
つまり、原発ゼロに向けて最大限の努力をするほかないのですが、安倍晋三自由民主党は、「原発再稼働」へと舵を切っています!
安倍首相は、使用済み核燃料の後始末をどうするつもりなのかというと、全く展望がありません!
展望がないにも関わらず「原発再稼働」へと向かうのは、「暴挙」であり「無責任」と言わなければなりません!
民主党政権の原発ゼロ戦略は
(1)運転開始後、40年で廃炉にする。
(2)再稼働は原子力規制委員会が安全確認をしたものに限る。
(3)新増設は認めない−−を3原則としている。
これによって順に廃炉となり、増えもしないから原発はゼロになっていくシナリオだが、安倍首相は全面的に見直すと言う!
40年廃炉には20年の延長措置が1度認められる例外があるものの、再稼働の認可とともに原子力規制委が審査・決定する。
規制委は世界一厳しい安全基準を作り、審査すると明言しているが、原発の活断層調査に見る通り、確かに厳しい姿勢を貫いているもののそもそも規制委の独立性は政権政党により、いかようにもされてしまいます。
安倍首相は、新設に含みを持たせた発言もありますが、どれほど世論の反発を招くかを推測すれば、本当にできるとは思いません。
かといって政治の力は侮れないでしょう。
物価目標設定の要求は日銀の独立性に対する介入との批判を受けたが、安倍首相は押し切った。
安倍首相の根本には経済的メリットの追求を優先する考えがあるのでしょう。しかし、国民の安全に勝るものはないはずであるから、福島の事故を経て原発
のない社会を目指さなければならないはずである。
ですから、政治がその障害になってはいけません!
安倍首相や自民党も福島第1原発事故以来、原発政策の新たなあり方を考えてきたはずです。
原発ゼロ戦略は脱原発に傾き過ぎていると、安倍首相が考えているのは言外に明らかだが、実は国民の多くは原発ゼロ戦略の目標設定にさえ「まやかしだ」と納得しなかったのだ。
昨夏、政府は2030年のエネルギーに占める原発比率について国民の意見を聞くパブリックコメントを行ったが、集まった約8万9000件のうち「ゼロ」を求める声は87%に達した。
最終的に原発ゼロ戦略が目標時期を30年代とした際、「30年が30年代とは」と怒りが渦巻いた。
原発を動かせば必ず事故のリスクがあり、パブコメでは即時廃止を求める声が一番多かった。かろうじて30年代にゼロとなったのに、安倍首相はそれさえ否定する。
安倍晋三は、民意を無視しています!
全国各地で60件以上の脱原発集会が相次ぐ。安倍政権の原発政策への批判が本格化する様相を見せているので、安倍首相はアベノミクスによる人気を盾に、国民の目をそらし続けることはできない!
当面の電力需要にどう対応していくかは、国民も不安だろうが、だから簡単に脱原発とか、卒原発と言ってのける人たちは信用されない。
新たに造っていく原発は、事故を起こした福島第1原発の古いものとは全然違う。
国民的な理解を得ながら、新規に造っていくことになる。
前政権が掲げた「2030年代に原発稼働ゼロ」の方針は具体的根拠を伴わず、ゼロベースで見直される。
エネルギーの安定供給、エネルギーコスト軽減の観点を含め、責任あるエネルギー政策を構築していくことが、国民の生活に責任を持つ立場として、当然の責務であろう。
安全性に欠ける原発産業は、必ず人類を滅ぼす!
政府はも国民の安全わ最優先にして、事業を進めることが大切である!