
今日は今月の分の取材の日で、
とある「お食事処」に16時のお約束で伺いました。
閑静な住宅街の一角にある、
ひっそりとした佇まいの隠れ家的な場所。
お店の名前は知っていました(場所も)、でも初めての場所。
「ごめんくださーい」「はいはい、どうもご苦労さま。」
カラカラカラ。
我が家と同じ戸を開けて、
割烹着の母さんがひょいっと顔を出して招いてくださいました。
母さんって。初対面です、ごめんなさい。
でも顔から身体から滲み出る、お人柄。
この方を母さんと呼ばずして、誰を母さんと呼ぶのか。
ニッコニコの笑みで、
「座って休んでー」「はーい♪」ってついつい。
おっとっと、ついつい取材に伺ったってこと忘れてしまいそう。
カウンターに座らせていただくと、
母さんが「コーヒー?お茶??それとも、お酒飲む??」って。
飲みてーのは、やまやまなれど。
取材ですし、その前に車なんです(ぐっすん)。
「お茶を、いただきたいです♪」「はいはい日本茶ね」
美味しい熱湯玉露を入れてくださいました。
お定まりの、取材前のご挨拶と通り一遍の質問内容。
そこを突破口に、
お店紹介の文章のアウトラインを描きながらお話聞き出していきます。
どんな、こだわりを持っているのか。
どんな、お店なのか。何を提供されているのか。
たくさんあるお店(病院のこともあります)の中で、
『ここはこれ』というこれ探しが私の仕事。
時に本筋とは、ずれた話もしながらただいま発掘中。
さくさく、さくさくと掘り進んでいきます。
とか何とか言いながら、そんなに簡単じゃありません。
初対面の方から、
トーシローが小一時間で引き出せることなんて微細です。
なんで、私なんかに書かせ続けてるんでしょうね。社長。
どんなご紹介文が書けるかわかりませんが、
と前置きして「私が感じたように、そのまま書かせていただきます。」
と言うと。
「上手に書く人だから、ってこの前来られた方が言ってたわよ。」
(ちっ、上司め余計なことを言いやがって。)←心の声。
思わず笑みも凍りつきます。
いずれにせよ。
素人ですから。上手に書けるわけもなく、
たぶんそれは求められていないから続いているのでしょう。
一般の方が読んで、
読みやすくてわかりやすくて。
少しでも、足を運んでみようと思われる方のあるように。
私に求められているのは美辞麗句や立派な文章を並べるのじゃなく、
(求められても無理よ)
私が感じたままを素直に書くことなんだから。
って、それも難しいんだけど。
母さんは私の、たどたどした質問に答えてくださりながら。
お茶のお代わり、お茶請けのお菓子。
その上、ルビーのグレープフルーツに蜂蜜かけてくださって。
「食べて~♪」と。
私も私で、わあ美味しそうとばかりに。はぐはぐ。
グレープフルーツをジュルジュル。
取材先で、お茶やお菓子やお食事をいただいたこともあるけど。
手も口もベロベロにしながら、
フルーツまで頂戴したのは初めてです。
お話聞いていたら、
母の年齢の一つ下だと知ったり。
膝の痛みに悩まされていることで、
思わず自分の手術体験をお話したり。
そして、
今の時代に欠けていること。忘れかけている何か。
古きよき時代の、人と人とのつながり。
当たり前だった日常的な事柄、
今は当たり前に失われてしまったことについて。
人肌の温もりや、人間の豊かさの象徴。
母さんと話していたら、
自分の子供時代に味わっていた他所の人との関わりについて思い出しました。
こんな母さん、
近所や町内や友達の母さんにいたよね。
他人なんだけど、なんかどこかで繋がっているって思えた感覚が、
久し振りに甦ってきました。
私が今回、
書けるのはこんなことかな。
私のつたない文章で、
どこまで母さんの店の味わいが書き出せるか自信ないんだけど。
心込めて、丁寧に綴ろうと思います。
帰りに、
「持って帰りィ~♪」ってお菓子を両手に乗っけてくれました。
また来よう♪
家に戻ったら、
嬢が不思議そうに「だあさん?何しに行ってきたの??」って。
取材ですよ(笑)
今度は嬢連れて、ご飯食べに行こうって思いました。