新婚さん。

友人と久々に会ってきた。

新婚ほやほやの友人の薬指が、きらきら光ってた。

コートのポケットに手を突っ込んで歩く彼女の後姿は、
いつもと変わらないのに。

そこはかとない幸せ感が漂ってた。


新居の近所まで迎えに行ったら、
「アパート見てく？」
と言ってくれて。

アパートの前まで車を動かしたら、「上がってく？」と言われて。

そのつもりしてなかったから、ドギマギしてしまった。


くつろぎ中のご主人が頭かきながら出迎えてくれて、
なんだか申し訳ない気持ちで。

照れくさいものだから顔も、まじまじとも見れずに。

部屋に上がらせてもらって干しあがった洗濯物と見上げて。
台所を、ちらっと覗いて。

「それじゃ、ごゆっくり。」

なんて変な切り返しで部屋を後にした。


ご主人も、すっかりご主人らしくて。

すごく幸せそうだった。


ランチをしに、パスタ屋へ出掛け。
大急ぎで食べるだけ食べて。

お店を替えて、お茶をすする。



二人が、それぞれに懐かしい味を思い出せる場所。


他愛もない、おしゃべりから。

少し深刻に人生を語らったり。

パソコンの話も、ちょっとした。

珈琲を、お代わりして。まだ話し足りなかったけど、

それから共通の友人の筝曲を聴きに連れ立って。


滅多ないことだから。

だから二人ともスカート穿いてたんだよね。


真剣で清々しい友人の舞台姿を目にして背筋が少し伸びた。

高校生の演奏に身内のようにハラハラした。


後、残り時間が１時間を切るような頃。

そのまま帰るのも惜しくて、もう一軒。


彼女のリクエストで１００円ショップへ。


何も用事のなかったはずの私だったけど、
ついつい趣味のものに目が奪われて。

二人それぞれ、がさっと買い込んだつもりなのに。

こんなに買っても千円だよって、きゃっきゃ言いながら帰ってきた。


アパートの前で彼女を下ろしたら、
ちょっと別れがたかったけど。

でも手を振る彼女が可愛くて、
そしてここが帰る場所なんだなってしみじみ思えたから。

私も軽く手を挙げて家路を急いだ。


幸せそうで良かった。

本当に良かった。

心より結婚おめでとう。


これからも仲良くしてよ、ね。