盗人宿

いまは、わかる方だけ、おいでいただければ。

酒造り(ビール・1)

2019-02-26 11:04:49 | にゃんころ
いよいよ実践ですが、その前に大切なことを、ふたつ覚えておいてください。

1.清潔、清潔、とにかく清潔

酒は酵母菌が作る、という話はすでにご理解いただけているでしょう。
しかし空気中には膨大な種類の菌やカビの胞子が漂っています。
食べ物を長く置いておくと腐ったりカビが生えるのは、こいつらのせいです。

そもそも「菌や酵素によって物質が変化する現象」のうち、人間に都合のいいものを発酵、悪いものを腐敗といいます。
発酵と腐敗は、同じものなのです。

まずは百均かどこかでスプレーボトルを、そして薬局で消毒用アルコールを買い求めてください。
そして酒造りに使う器具や容器は徹底的に洗剤でよく洗い乾燥させ、作業の直前にアルコールを吹き付けて消毒します。
もちろん手も洗って消毒してから作業してください。

2.大きな器具や大量の容器が必要

市販の酒は、キロリットル単位の大きなタンクや樽で作られます。
自家醸造ではそこまでは必要ない(というより置き場所がない)ですが、いちどに 20~30 リットルは作りますので、そのくらいは余裕で入る器具が必要です。

一番手軽で確実なのは、スーパーやホームセンターで売られている漬物樽です。
ただし発酵の途中に泡が出ますので、ぎりぎりだと噴きこぼれる恐れがあります。
大は小を兼ねる。40~50 リットルくらいの樽が望ましいです。


さて、以上を踏まえて、ビールを作りましょう。

●用意するもの

・ビールキット(東急ハンズや通販で入手)
・家にある一番大きい鍋と玉杓子
・500ml の炭酸飲料の空きペットボトル(50 本以上)
・水
・砂糖

●作り方

1.ビールキットに書かれている手順で作業する

以上です。

……これではあまりに不親切ですね。
ビールキットというのは、ビールの原料である麦芽を砕いて液体にした缶詰に、ビール専用の粉末イーストが添付されたものです。
自家醸造は禁止しているくせに、ビールキットは堂々と合法的に市販されているのです。

これには「からくり」があって、市販のビールのアルコール度数はだいたい5度、つまり全体のうち 5% がアルコールです。
ところが日本の酒税法では 1% 未満、つまり 0.99% であっても酒ではなく「ノンアルコール飲料」扱いになり、作っても合法なのです。

キットの輸入代理店もそこはわかっていて、缶に書かれている作り方(英語やフランス語)を日本語訳した紙を貼ってくれています。
その最後に「この方法のまま作ると日本では罰せられます。原料を5分の1にするか水を5倍にしてください」と書いてあります。
この注意書きを守るかどうかは、自己責任。あなた次第です。


次回はその作り方を具体的に説明します。