(本頁は「秋田駒ヶ岳の花図鑑(1)」の続きです。)
本頁では、初夏の秋田駒ヶ岳でも比較的高所に咲くものを集めてみた。
場所的には新道コースならば、片倉岳展望台から先の
男女岳(おなめだけ)山麓から阿弥陀池周辺、
男岳、馬ノ背稜線、横岳などが該当するが、
大焼砂上部、馬場ノ小路(通称:ムーミン谷)も含めた。
ミネズオウは新道コースの終点近く、阿弥陀池手前の平坦地に多いが、
開花時期が早いせいか、花を見逃すことが多い。
ミネズオウ Loiseleuria procumbens 2021/06/17
参考マップ
コメバツガザクラ Arcterica nana 2015/06/21
(右上)コケモモ Vaccinium vitis-idaea、混生している細かい葉はガンコウラン。2015/06/21
秋田駒ヶ岳にはコケモモが多い。横岳ではガンコウランとの混生が多かった。
ナガバツガザクラ Phyllodoce nipponica subsp. tsugifolia 2023/06/26
秋田駒ではナガバツガザクラの生育地が限られている。
私は男岳分岐からムーミン谷に下りる急斜面でしか見ていない。
ハナヒリノキ Leucothoe grayana 2015/06/21
(右上)ハイマツ Pinus pumila 2015/06/21
ハイマツは新道コースでは片倉岳展望台の先で多くなる。
この付近でも標高は1450~1500m程度だ。
イワウメは高山の岩場を代表する花。
秋田駒では馬ノ背稜線の岩場には比較的多い。
イワウメ Diapensia lapponica var. obovata 2021/06/17
右上に咲くのは、ミヤマダイコンソウ。手前下にエゾツツジやホソバイワベンケイも見られる。
イワウメ 2015/06/21
イワカガミの仲間。
イワカガミ Schizocodon soldanelloides 2023/06/26
秋田駒にはヒメイワカガミ Schizocodon ilicifolius も生えているが、イワカガミとの識別が難しい。
下写真の株は、ヒメイワカガミかと思ったが、葉の鋸歯が不明確だ。
イワカガミとの雑種だろうか。
ヒメイワカガミ? 2015/06/21
ミヤマウスユキソウ(ヒナウスユキソウ) Leontopodium fauriei 2015/06/21
ミヤマウスユキソウは朝日連峰や月山、鳥海山など日本海側の高山には多いが、奥羽山系には少ない。
私は秋田駒と笊森山の一部でしか見ていない。悲しいことにいまだに盗掘が横行しているようで、
上写真のような大株はもはや登山道から見ることは出来ない。
黄色いスミレの仲間。
キバナノコマノツメ Viola biflora 2015/06/21
キバナノコマノツメは、秋田駒に咲く黄色スミレでは、最も広域に分布している。
草地(風衝草原)だけでなく、低木の下にも多い。阿弥陀池付近の群生はみごとだ。
キバナコマノツメの群生 2021/06/17
ホソバイワベンケイ Rhodiola ishidae 2015/06/21
(右上)タカネスミレとコマクサ。この時期、コマクサは開花の準備中だ。2015/06/21
大焼砂の斜面は、コマクサの群生地として有名だが、六月中はタカネスミレが凄い。
タカネスミレは岩手山にも有るが、これだけ密に大量に咲く場所は秋田駒以外に知らない。
2015/06/21
タカネスミレの群生 2023/06/26
タカネスミレ Viola crassa 2015/06/21
同時期、ミヤマキンバイも群生し、大焼砂は黄一色に染まる。
ミヤマキンバイ Potentilla matsumurae 2015/06/21
古い写真で恐縮。ミヤマキンバイをもう一枚。
1980年代、撮影年月日は不明。バックは男岳。手前にミヤマキンバイ。
ミヤマキンバイは大焼砂以外の場所にも多い。
秋田駒にはあちこちにチングルマが群生している。
場所により、開花時期が異なっており、阿弥陀池の男女岳(おなめだけ)側では
比較的早くから咲き出していた。
阿弥陀池付近のチングルマ群生 2021/06/17
この時期、他には、
八合目から片倉岳展望台付近ではミネザクラやイソツツジ、ミヤマダイコンソウ(後出)、
阿弥陀池周辺でムシトリスミレ、ヒナザクラ(いずれも後出)なども見かけた。
なお鳥海山や焼石岳で初夏、一斉に咲くハクサンイチゲは秋田駒には自生しない。
「・・・花図鑑(3)盛夏1」に続く。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます