本シリーズ、行った場所は北アルプスの一部だが、登山ではなく、
リフトやゴンドラに乗って高原の花を見ただけなので、カテゴリーは「信州の高原・花」に含めた。
8月17日は白馬村の八方尾根を歩いた。
ここはゴンドラやリフトを乗り継げば一気に1830mの高みまで行ける。
更に稜線をテクテク歩けば、やがては2696mの唐松岳山頂に至るが、
今回の目的は登山ではなく花巡りなので、山頂は極めていない。
どころか八方池の手前、せいぜい標高2000mくらいのところまでしか行かなかった。これはお散歩の範疇だ。
この稜線の面白いところは、東北ではほとんど見られない珍しい高山植物が多いこと。
北アルプスの高山帯は2500m以上と聞いているが、
この稜線に限っては2000m以下、もしかしたら1000m以下の高さまでそれが降下しているかもしれない。
逆に稜線を高く登り、唐松岳が近くなると、
今度は亜高山帯の低木林が現れて高山植物が少なくなるという珍現象も見られる。
理由は稜線の中ほどより下に蛇紋岩という特殊な岩石が剥き出しになっており、
通常の植物が生えにくくなっているから。
蛇紋岩の山と言えば、岩手の早池峰山や群馬の至仏山、北海道の夕張岳などが有名で、
それぞれ珍しい植物の宝庫になっているが、
八方尾根もそのような場所だと思って欲しい。
ゴンドラ、リフトと乗り継いで行く。
リフト終点間近の草原
今の時期、この尾根のお花畑を特徴づける色彩はピンクと紫だった。
いつもなら山の花を紹介する時は出会った順(低いところから順)に並べることが多いのだが、
この山の植生は逆転、混乱(?)しているので、
どこから始めても同じようなもの。色別に紹介してみる。
まずはマゼンタ(紅紫)やピンクから。
ヤナギランは高原の草花の女王だが、
八方尾根ではあまり多くない。写真はリフト駅の陰に細々と咲いていたもの。
ピンクはシモツケソウとカライトソウ。
ともに東北には無い花。シモツケソウを見るのは2007年の霧ケ峰以来だ。
残念ながら花は最盛期を過ぎていた。
シモツケソウとタテヤマウツボグサ
ハクサンタイゲキ
ハクサンタイゲキの紅葉
ミヤマアズマギク(右下にぼんやりとタテヤマリンドウ)
クガイソウとシモツケソウ(終わった穂花はヤマブキショウマ)
クガイソウ(ピンク花はヤマホタルブクロ)
シモツケソウとクロトウヒレン
クガイソウもヤマホタルブクロもともに小型でスリムだった。他の植物にもその傾向があった。
これは蛇紋岩ゆえに土壌に栄養分が極めて乏しいからだろうか。
クロトウヒレンとシモツケソウ
タムラソウとハクサンシャジン?
何やらピンクと紫が混ざってしまったが、紫は・・・タテヤマウツボグサがよく目立った。
紫と青い花に移行する。
タテヤマウツボグサ
タテヤマウツボグサ。エゾシオガマも少々。
タカネマツムシソウ
タカネマツムシソウ
マツムシソウは東北では珍しい花、私にとっては高嶺の花だ。
タカネセンブリも珍しい。東北では焼石岳で見たきりだ。
萼の脈が不明瞭なことから、変種のハッポウタカネセンブリとするとも聞いた。
タカネセンブリ
タカネセンブリ(ミネウスユキソウもちょろっと)
天候のせいか、時期が遅かったのか、はたまた自分の日頃のおこないのせいか、
今回は総じて花つきが良くなかったように感じた。
イブキジャコウソウとタカネセンブリ。植生復元中箇所にて。
「白馬八方の花2」に続く。
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