活字になった川柳など

日常と川柳
各種公募入選句
川柳についての個人的意見

’老人は’の句が嫌いにならない理由

2004-08-12 07:36:55 | Weblog
老人は死んでください国のため 宮内可静
1997年春から夏にかけて話題になった句である。

この句に対し賛否が真っ二つに分かれた。
反対意見は戦時中の ’若人は死んでください国のため’
のパロデイーで川柳の格が低い、あるいは老人に対する差別的な句だ。
賛成意見は世間の風潮を批判する時事川柳と解釈すべきだ。
このように評価が対立した。

私は後者の意見に賛成した。
作者の名前から年鑑を調べ住所がわかったのではがきを出した。
’痛切な世の中への批判ですね’と書いた。
返事をいただいたら思ったとおり
戦時下を生き抜いてきた
人生の先輩であることがわかった。

川柳作品は作家と離れず解釈すべきと考えるようになった。
選者の柏原幻四郎先生の態度もまた毅然としていた。
作者、選者そして読者の三者の共同作業が句に命を与える。
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福祉川柳(続き)

2004-08-11 20:20:40 | Weblog
’福祉川柳’で検索をかけると
いくつかのコンテスト告知、結果発表がヒットする。
いわゆる前述の’福祉川柳’の検証や出版案内を
除いてのことである。

見させて貰った範囲では多くはまじめな福祉に
視点を置く川柳だ。
しかし内容には問題なくても
作者名を書かず
句境を補足するようなペンネーム
(あえて雅号と書かない意味を推察して!)
を書くものが目に付いた。

1998年4月21日に朝日新聞夕刊に織田 正吉氏が
’川柳の現在’と題したコラムの内容に書かれた
’飲み屋で駄洒落を言い合うような’ものや
世に出るべき秀作が数の中に埋没するという現象は
あまり見受けられない印象だった。

影響力が大きい’サラリーマン川柳’が作者名を本名や自分の愛着のある号にしないことの弊害の方をより感じた。

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福祉川柳

2004-08-11 12:36:25 | Weblog
大友信勝著 福祉川柳事件の検証 筒井書房 ISBN4-88720-433-7
を読了しました。

このことについては川柳家では大木俊秀先生が
別のところで論評されたことがあると思います。

大木先生は川柳の基本は
’人間の生命、死、病気、セックスなどを侮辱しない’ことと
’おもしろさだけの駄洒落’を句にしないこと
でそれ以外はない
と言い切っている方です。

川柳のなんたるかを理解していない方が
宴席でのうっぷんばらしの575を
川柳と称して特集を組んだことが
発端と考えました。

私は川柳の作者は
川柳の本質を常に考え発信していく必要があると
思うのです。
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豆川柳

2004-08-10 18:32:56 | Weblog
阿達義雄著 鑑賞江戸川柳 潮文社 昭和43年4月刊 ISBNはなし
という古い本を手に入れました。
その中に豆川柳 世界の最短詩という言葉を見つけました。
昭和24年ころ 新潟県柏崎市の松田政秀氏から著者に送られてきたもので例を挙げると
○下戸の知らない水貰う
○詫びいう頼み後にある
という75のもので一部には冠句が付いているものもある
が独立している句とすると世界最短と記載されています。

ここで世界最短詩というのは定型という意味で
あることに注意が必要でしょう。

雑俳の作法で冠(笠)附けが紹介されているので参考までにお示しします。雑俳作法
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お好み焼き川柳

2004-08-10 08:00:23 | Weblog
平成九年7月から9月に
お好み焼きの日10月10日(じゅうじゅう)にちなみ
川柳が募集された。主催は有名なソースメーカー。
二次選者は三浦宏氏とのことだった。

初心者の私は
焼き方に国振りが出て内輪もめ
を投句して入選した。賞品は調味料一年分であった。

その後企業の募集する川柳に何度も応募したが
これほどの賞はいただいたことはない。
ビギナーズラックというものであろう。
この川柳は縦書きなので本名で応募した。
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時事吟について

2004-08-09 07:53:58 | Weblog
昭和25年11月号 きやりの村田周魚(本名の一字泰から?鯛坊、鯛を偏と旁に分けたのが号・・・趣がある!)の記事を紹介します。

(前略) 生活に即した時事を読んだものすべてが非文芸だとは云い切れない。 ・・・・意識すると、しないにかかわらず、その句の中には多分に社会性、政治性が織り込まれてある。それが、内在的より外面的のほうが時事吟として強みを発揮するわけであるが、これを一歩誤ると一般からはたんなる落首としてしか迎えられないことになる。
 特に時事吟としての狂句が一般に面白いと受け入れられている今日時事吟、落首、雑俳視されることの無いようにしたいものである。(川柳きやり 平成16年6月号 65)

この矜持!しかし川柳を巡る状況は時代を超えて同じということなのだろうか?






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反戦作家 鶴彬

2004-08-06 16:16:40 | Weblog
8月15日が近づく
川柳作家で特高の取調べを受け獄死に近い状態で
若く死亡した川柳作家をご存知だろうか。
本名 喜多一ニ
(小林多喜二と偶然にも似た字面!)

一叩人、深井一郎、澤地久枝、田辺聖子など
多くの方々の労作で彼の生涯は広く知られる
ようになってきている。

ただその果たした役割は知らないが鶴逮捕のきっかけが
森某による’三味線草’中の告発記事
というのが気にかかる。
文学報国体制下での文学者の良心のあり方
を問わねばならないのだろう。

あえて彼の反戦句は引用せず
検索のキーワードになりそうな
単語を書き綴る。
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新聞川柳欄

2004-08-05 16:55:21 | Weblog
’川柳マガジン’8月号のアンケート
 地元の新聞に川柳欄はあるかという質問
の回答を紹介する。

朝日新聞
全国版は 時事川柳’声’欄 選者 大伴閑人
地方版は なし(俳句・短歌はあり)

毎日新聞 
全国版は 万柳
地方版は 日曜日 題詠選者:葛西未明(あきあじ)

読売新聞 
全国版は 時事川柳 選者 尾藤三柳(川柳公論)
地方版は 水曜日 雑詠選者 佐藤正(札幌)

北海道新聞(最大の地方紙) 
雑詠選者 三浦強一(道産子)
以前は時事川柳であったが数年前から現状に

廃刊になった’北海タイムス’という新聞では
雑詠選者 斎藤大雄(札幌)

上記のように新聞では時事川柳が特徴的で
俳句・短歌より発表の機会が少ない印象である。
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タイトルに川柳が付く小説(文庫)

2004-08-04 18:00:53 | Weblog
私の知る限りでは2作あります。

まず推理小説では

日美子の花嫁川柳殺人事件
斎藤栄(さいとう・さかえ)著
中央公論新社 (ISBN:4-12-204034-5)
発行年月 : 2002年06月
サイズ :16cm 333p  (中公文庫)
販売価格 : 720円(税込)
花嫁川柳殺人事件」(光文社 1988年刊)の改題


そして時代小説では

『川柳侍』
小松 重男著
こまつ・しげお
2003年8月7日(木)発売
光文社文庫
定価(本体533円+税)
ISBN4-334-73538-X
これは新潮文庫で平成4年9月に発刊されたものと同じ


川柳を書くものとしては前者の川柳はむしろ雑俳系統の謎解き
の句が多く作中の川柳を楽しむことは期待しない方がよいと考える。後者は古川柳のファンでなくとも句自体を楽しむことができる作品と評価。



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川柳データベース

2004-08-03 17:53:36 | Weblog
おかじょうき川柳社では川柳データベースをウエッブ上に公開している。
おかじょうきデータベース

これは暗合や類句といった短詩系文芸の宿命のひとつの解決策を目指すものであろう。(剽窃の可能性は考えないのが性善説にたつ私である)
ところで平成16年の’きやり’6月号で70年以上も前の昭和6年11月号に北村白眼子が書いた「名句登録・・・附選者問題・・・」
という投稿記事があることを知り温故知新という言葉を反芻している。(白眼子は別に選者の資格について論考しているのだがそのことはここでは触れずにおきたい。)

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川柳とかわやなぎ

2004-08-02 14:37:23 | Weblog
川柳を 読ませてみれば かわやなぎ

句主のかたのお名前はわからないのですが
おかしな日記?+五七五
の作者の投稿句です。
第二回 48時間川柳:大発表会~~!!

川柳翁の辞世の句とされている

こがらしやあとで芽をふけ川柳(かわやなぎ)

を本歌取りしている句と鑑賞しました。
(ただし柄井川柳は’無作の指導者’といわれるほどその作品は
少ないようですしこの句も誰か別の作者が作ったのではとも・・・)

これは岩橋邦枝の誹風柳多留
集英社文庫 わたしの古典
出版社名 : 集英社 (ISBN:4-08-748436-X)
発行年月 : 1996年03月
サイズ : 295P 16cm
販売価格 : 700円(税込)

の後ろの鑑賞に荻野 アンナさんが作った

川柳は作者がジャンルに大出世

という句と組み合わせると面白いです。
ただし後者は中8ですから’点者ジャンルに’
と改変した方が前句付けの選は立机した’てんじゃ’に
よったということもわかっていいかもしれませんが・・・・

この大会でも私は’遊び’を示すことができませんでした。

ご無沙汰をわびてメールで時季見舞い
川柳の決まり頑固に主張する
休眠のブロッグ刺激する誘い
かわやなぎ川柳翁の辞世の句



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