健康診断、日本では珍しくない事だが、今回はベトナムでの「健康診断の重要性」を述べたい。
さかのぼること5年前、社員の一人が深刻な顔で「話が有ると」
故郷(ハノイから200km)のお父さんが「病気になり、お金を貸してほしい」との事だった。
会社でも初めてのケースだったが「人道的見地で会社として融資」した。
その後お父さんは「ハノイの病院に転院し、手術を受けたが、おなかを開いてみると
手の施しようがなくそのまま閉じてしまったそうである。末期の胃がんだった」
ハノイに来てから、そして落ち着くまで「そのころ社宅として使っていた1室を提供しハノイでの居場所として
提供もし、様子も見に行った」しかし残念な結果だった。原因は、ベトナムでは「集団検診」などなく、病気になって発見するときには
既に「悪くなってからしか発見できない事情」があった。このお父さんんも田舎で体調悪かったのに
薬や設備の無い町医者で我慢に我慢を重ね、いよいよ耐えられなくなりハノイの病院に来たが「手遅れだったのである」
そしてその2年後、その社員をまた悲劇が襲う。今度はお母さんの体調が悪くなり「ハノイの病院に来ることになった」
父の死後その社員は「父の借金返しをまじめに行っていたが、今度は母親のことで同じ融資を受けなければならなくなった」
そして今回も「手術をしたが、やはり発見が遅かったためその後故郷でなくなってしまった。末期の乳がんであった」
原因は同じであった。「健康診断」を行ったことさえなかった。
「本当に悲しく大変な出来事が繰り返された」
その後も社員の中で「同じような悲劇が複数回あり、会社としてもその都度融資を行った」
会社も楽ではなかった時期には「大変だったこともある」
(ベトナムでは日本で言う健康保険は有っても実用的でなく、その範囲で治療をしてもらちが明かないような
状況なのである)
こんな状況があったため、会社では「自分の親御さんの健康状況を把握し、少しおかしい場合には
ハノイへきて健康診断を受けるようお達しを出した」
そして社員自身もベトナム労働法で決められている年1回の「健康診断」は必ず行っている。
(お金の問題から結構大手の会社でも健康診断を行っていない会社もあるが、何度も悲劇を見てきた
弊社では、必ず受けさせる)
そういう自分も健康診断(人間ドック)で3年ほど前に病気が発見され、とりあえず命拾いをした経験者なのだ。
大手メーカに居るときは「会社の健康診断があったが、ベトナムで起業してからは、5年間全く健康診断を受けていなかった」
そして6年目、会社も少し安定し「人間ドック」を受けられる余裕ができて、「何とはなしに人間ドックを予約」し、父が肺がんで
亡くなっているせいもあり「肺ドック」をオプションで付けたことで「初期の肺がんが発見でき、手術を受けて現在2年と5か月が
経ったのである」(自覚症状など全くなかった)身をもって「健康診断の重要性を分かっているがゆえに、社員の家族や社員自身は健康診断を怠らず
病気になっても早期発見、早期治療ができる社風を作りたいと思う」
自分は日々「爆弾を抱えて生きているようなものだ」若い社員たちにはこんな思いはさせたくないし、
そして「ちょうど自分と近い社員の親御さんにもこれ以上の悲劇を起こしたくない」
確かに「健康診断」はベトナムではないがしろになっている、だからこそ少なくとも社員とその家族には
是非健康診断を受けられる環境を提供したい。
社員のコロナワクチンの最新接種状況の報告を見ながら、そんなことを考えた。