先週 久しぶりにインラック前首相と外国メディアとの会見が テレビ放映されていました。
自宅の庭にある菜園を紹介するという建前で、外国メディアを招待し、記者の質問にも答えています。
2014年5月のクーデター以降、目立った言動を控えてきたインラック氏ですが、お兄さんと同じで
静かにしていられないのかも知れませんネ。 将来の政界復帰に含みを持たせる発言もしていました。
もう少し静かにしていてほしいと思うのは、外国人だけでなくタイの人たちも一緒でしょう ・・・
プラユット暫定軍事政権が、来年夏にも実施したいとしている総選挙について、「どの国も行っていること。
早く正常な状態に戻ってほしい」 と、タクシン元首相のメッセージを引用するかのように語っています。
起草作業が進む新憲法について 「国民が中心であるべきだ」 と述べ、民主主義の原則を維持すべとの
見解も述べました。 自身の政界復帰の意思については 「将来のことは分からない。 国民が決める
々
こと」 と直接的な回答を避けていましたが、「将来どのような立場になっても、国民に仕える用意がある」
と語っています。 <頼みますヨ、せっかく観光事業も回復してきたんだから。もう少し静かにしていて!>
周知の通り、インラック氏は2014年5月、当時陸軍司令官だったプラユット氏が主導するクーデターで
権力を失い、今は、在任中に実施したコメ買い上げ制度をめぐり、国に損害を与えたとして職務怠慢の罪に
問われ公判中です。 政治活動は5年間禁止されており、出国には最高裁の許可が必要です。 これまで
何度も日本や欧州などへの訪問を申請していますが 却下され、悔しい思いをしているようです ・・・
昨年の11月かな、政府はタクシン氏に対しても、これまで保持していた 「警察中佐」 の階級を
剥奪しています。 タクシン氏は、実業家や政治家になる前は警察官でしたが、タイでは警察や軍の
階級は退職後も保持でき給与は出ませんが、「名誉」 という箔がつきプライドが保持できるわけです。
それが警察中佐階級を剥奪され、これまで授与された勲章なども全て無効になりますから、これは重大な
犯罪に関与した場合の処罰として行われるものであり、タイでは大変不名誉なことと受けとめますネ。
さらに 国民和解を推進するため、政治的騒乱に関係し有罪となった者に対して、プラユット首相は
恩赦を検討中だといいますが、国外逃亡中の者は恩赦対象から外すということが噂されています。
「絶対にタクシン氏だけは 許さない」 というメッセージだとも言われています。
この反動でインラック前首相が外国メディの前に 現れたんだ、というマスコミもいますが、
さてさて どうなんでしょう? タクシン氏はこれまで 「忍」 の姿勢できましたが、いよいよ
我慢が限界に達してきているのかも知れません ・・・ ちょっと心配です。
その代表がタイ国である。1人当たりのGDPが5000ドルを超えて、発展途上国から中進国にステージが上がり、先進国の目安となる1万ドルまで、あと一歩というところに来た。開発途上国の優等生である。
しかし、真に先進国になるためには「中進国の罠」を乗り越えなければならない。
アジアにおける「中進国の罠」とは、経済発展に伴い農工間格差が広がり、政治が不安定化することである。
経済発展とは、ごく簡単に要約すると、農業が主な産業であった社会から工業やサービスが主体となる社会に変わることに他ならない。その初期においては、サービス業よりも工業の発展が著しい。
工業やサービス業は都市部で発展する。
そのために、経済が発展すると都市と農村間の経済格差が広がる。これは必然的に生じる現象である。農村が貧しくなることは政策の失敗ではない。
そして、この道理が分かれば、農業は成長産業にはなれないことは自明だろう。今になっても「農業を成長産業に!」など馬鹿げたことを言い出す輩がいるが、そのような輩は経済発展の意味が全く分かっていない。
ここで、アジアがコメを作ってきたことが重要になる。コメは小麦など他の穀物に比べて人口扶養能力が高い。それゆえに人口密度が高くなり、結果として人口が多くなる。それは農民の人口が多いことを意味する。
経済を発展させるためには、政情不安を改めて、しっかりした政権をつくることだ(軍人による開発独裁もOK)。
次は外資と技術の導入。それと同時に、教育の普及も重要である。教育の目的は豊かな人間性を育てることではなく、勤勉な労働者をつくることだ。
タイ国では労働人口の40%が農業に従事している。先進国の日本は4%に過ぎない。
日本並みとは言わないが、少なくとも、現在の40%を半減させるような政策(農業から工業への労働シフト)を取らないかぎり、「中進国の罠」からの脱出は不可能である。
これからも、どうぞ宜しくお願いします。