読んで衝撃を受けた。フィリピンの事例はほとんど知らなかった。沖縄の具体的な虐殺内容も。読みながら吐き気を覚えたし、活字なのに目を逸らしたくなるほどの凄惨さが伝わってきた。でもこれは読まなければいけない本だ。知らなければいけない歴史だ。
感情的ではなくあくまでなぜ虐殺が起こったのかの分析を行なっている。虐殺に至るまでに道筋がよく分かる。虐殺は悪魔の所業ではないということ。ごく普通の人間が悪魔となる道筋が確かにあるということ。
いまこの本を読むことは大いに意味がある。なぜなら似たような心理状態に陥るかもしれない事態がすぐそこまで差し迫ってきているから。
時代に流されて悪魔にならなためには知ることが必要だ。戦後日本が怠ってきたのは、その「知る」という作業だ。ドイツは現在進行形で知る作業、忘れない作業を進めている。日本は現在進行形で知ることを避ける、隠蔽する、拒否する作業を進めている。危うい。
絶対に忘れてはいけないことだ。誰もが。