物造庵 ものつくりあん ナラ(楢崎賢)

ものつくり人「ナラ(楢崎賢)」による
絵や作品の制作過程、自作詩の発表、その他徒然…

詩3702「チリン」

2022年07月30日 09時59分33秒 | 自作詩
白いカーテンにつかまるバッタはこの広い世界でただひとり緑
真夜中よりずっと静かな真昼の光の中でとにかくひとりただ緑
世界とつながるというこの箱はやはり幻だったから
バッタの他に誰もいない部屋で僕はただひとり 緑

胸も背中も締め付けられたあの想いはもう何年前だったかな
心も枯れ果てて10年 いや20年はたったかな
今でもまだ指先に残るあなたの頬の熱
夜の暗がりに浮かび上がっては消えていくだけ

もういない
あなたに
届かない
言葉
探せない

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詩3701「からみつく」

2022年07月30日 09時58分09秒 | 自作詩
磯の匂いが鼻につく港の淵から上がってきた蛸の身体のような粘性の強い指が
絡みついてくる 身体の隙間まで

くねくねと曲がりくねるアマゾン川の流れに似た蛇の身体のようなざらついた肌のその腕が
絡みついてくる 心の隙間まで

ぐるぐると渦巻き続ける世界の絶望の陰 殻を打ち破ったかたつむりのような身体で僕に
絡みついてくれ 全て忘れさせてくれ

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詩3700「行進マーチ」

2022年07月30日 09時56分43秒 | 自作詩
いつの間にか生まれていつの間にか食べたり飲んだり歩いたり
いつの間にか歳をとっていつの間にか死んじゃうなんてつまらない

行進だほら行進だ 世界の果てまで見に行こう
行進だほら行進だ 今すぐ

僕の命 僕にあげる

君のために誰かのために世界のためにお金を稼いでも
お金はただの幻だから世界の誰一人も救えない

行進だほら行進だ 地獄に行くときゃみな手ぶら
行進だほら行進だ 今すぐ

僕の物は どぶに捨てる

歌いながら踊りながらお酒を飲みながら僕は歩いてる
藪の中もどぶの中も嵐の真っただ中でも笑ってる

行進だほら行進だ 死ぬまでどこまで行けるかな
行進だほら行進だ 今すぐ

僕の歌を きみにあげる

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詩3699「線路」

2022年07月30日 09時55分03秒 | 自作詩
晴れた空 光る星屑 歩く片手に缶ビール
空に昇る鉄道列車の 線路を今日も見上げてる

闇にまぎれた黒猫の 眼だけ走ってる

あの人に会いたいよ あの人に会えないよ
レコードが歌う歌に 僕は涙を流す

朝が来て仕事に出かけ 夕方には仕事終わって
ドア開けて缶ビール開けて レコードに針を落とす

この星のこの島国の この部屋にいる

あの人に会いたいよ あの人に会えないよ
レコードが歌う歌に 僕は涙を流す

薄青い夕雲りにも 線路は見える

この星に生まれたから あの星には行けないよ
あの人の声を聴いて 僕は涙をふく

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詩3698「美しい国」

2022年07月30日 09時53分44秒 | 自作詩
戦争だ 戦争だ 戦争がほら始まった
皆殺し 皆殺し こんな人たちは皆殺し

強いんだ 強いんだ 僕らはとっても強いんだ
弱いやつらをやっつけて 言うことをきかせるぜ

王様だ 王様だ 僕はみんなの王様だ
やり放題 やり放題 お酒も女もやり放題

ああ この国は
ああ 美しい

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詩3697「セブンスター」

2022年07月30日 09時51分53秒 | 自作詩
その煙草をのんでるおっさんの弟子の弟子のそのまた弟子のおっさんももうだいぶおっさん
煙草をのむ姿も板についてるね
いつか世界を救ったそのおっさんも今じゃ公園のベンチで煙草をのんで人生を浪費するだけ
昨日のことなんかもう忘れちゃったよね

本当のことは何一つ残されちゃいないから
あかっぱちのうそっぱちを アナーキー この世界にたたきつけてやるぜ

セブンスター セブンスの響き
幸せかい 不幸ではないね

その煙草をのんでるおばさんがおばさんと呼ばれ憤慨している
その憤慨はとても美しい
自信をもっておくれあんたは確かにおばさんだ
かつて恋したあの人は今いずこでおっさんになったのだろうか
煙草をのみながら美しい憤慨を持つおばさんは考える
明日なんかこなけりゃいいのに

本当のことはこの胸の中にしかいないから
赤裸々にさらけ出し アナーキー この世界にたたきつけてくれ

セブンスター セブンスの響き
幸せかい 不幸ではないね

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詩3696「夜のサナギ」

2022年07月30日 09時50分19秒 | 自作詩
あの子の声が気になって僕は気になって夜も眠れない
あの子の声が気になって僕は気になって眠れない

あの子の歌が気になって僕は気になって夜も眠れない
あの子の歌が気になって僕は気になって眠れない

夜のサナギが今羽化する

あの子の顔が気になって僕は気になって夜も眠れない
あの子の顔が気になって僕は気になって眠れない

あの子の音が気になって僕は気になって夜も眠れない
あの子の音が気になって僕は気になって眠れない

夜のサナギが今羽化する

ロックの声が気になって僕は気になって夜も眠れない
ロックの歌が気になって僕は気になって眠れない

ロックの顔が気になって僕は気になって夜も眠れない
ロックの音が気になって僕は気になって眠れない

夜のサナギが今羽化する

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詩3695「夏とロック」

2022年07月30日 09時48分37秒 | 自作詩
夏の風にあふれる汗 こぼれては地面が吸った
歩いてもたどり着けない 空を飛ぶ風をつかんだ

校庭のバスケットリング 華氏200度の熱

僕をつらぬいた

海の風と混ざり合った その音が僕をつかんだ
見えるものは何もないけど ただここに全てがあった

植えられた花ではなく アスファルトに咲く

僕をつらぬいた
あなたの声だけが

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詩3694「ひろいもの」

2022年07月30日 09時47分12秒 | 自作詩
このドアを開けて旅に行こう 僕の靴下を知らないか
僕の靴下がないのなら ただ裸足で行くだけさ

荷物をまとめて旅に出よう 僕のお財布を知らないか
僕のお財布がないのなら ただ歩いていくだけさ

あの海越えて あの雲越えて あの人がいるところへ

人生なんて 拾い物だから 僕がしたいのは 今生きること

あの虹に向けて旅に行こう 僕の恋人を知らないか
僕の恋人がいないなら ただ一人で行くだけさ

空の彼方まで旅に出よう 僕の身体を知らないか
僕の身体がないのなら ただ心で行くだけさ

昔に知った 大好きな歌さ 最悪でもただ死ぬだけ

人生なんて たまたまだから 僕の夢は 今生きること
人生なんて 拾い物だから 僕がしたいのは 今生きること

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詩3693「サケボーグ」

2022年07月30日 09時45分47秒 | 自作詩
ロックンロールと叫びたい ロックンロールで叫びたい ロックンロールを叫びたい
ロックで叫びたい

ファックユーと叫びたい ファックユーで叫びたい ファックユーを叫びたい
ファックと叫びたい

僕の夢を聞いておくれ 僕の夢はロック

僕を貫くのはいつも壊れた歌だけさ 僕を救うのはこの壊れた歌だけさ

大好きだと叫びたい 大好きだと叫びたい 大好きだと叫びたい
あなたに叫びたい

抱いてくれと叫びたい 撃ってくれと叫びたい 壊しておくれと叫びたい
ロックに叫びたい

僕の夢を聞いておくれ 僕の夢はロック

僕をやさしく包むのはいつも壊れた歌だけさ 僕を粉々に砕くのはこの壊れた歌だけさ
僕を貫くのはいつも壊れた歌だけさ 僕を救うのはこの壊れた歌だけさ

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