今日は渋谷で義父が出演するコンサートを聴いてきました。
たくさんの人が、いろいろなクラシックの曲を歌うコンサートで、リートあり、オペラあり、中には、プロの方々の本格的な舞台もありました。
舞台に花が咲いたような美しい衣装と美しい容貌の方々・・・。
そのなかで、特に印象に残ったのが、椿姫のひと幕です。
「椿姫」について少しご紹介しますね。
そもそも、ヴェルディの椿姫は、フランスの文豪、小デュマの小説をもとにオペラにしたものです。
小説の背景は1840年代であり、この時期のフランスはルイ・フィリップの七月王政の末期です。
つまり、ブルジョワの台頭と貴族階級の凋落が表面化した時期に当たり、古い価値観から新しい価値観への変革の時期でもあります。
この時代背景は作品に大きな影響を与えており、それはブルジョワ階級のつまりアルマン(アルフレード)の父に代表される堅実さと疲弊退廃した貴族階級の放蕩した浪費生活の描写に見られます。
そしてこの二つの階級の狭間に咲いた花が、ドウミ・モンドと呼ばれる裏社交界です。
この仇花は浪費と享楽に身を任せながらも、そこで生きる女性達はしたたかに生き、自らの性を売り物にして表の社交界に引けをとらない豪奢な生活を送っていました。
この世界に収税官の息子であるブルジョワのアルマン(アルフレード)が現れ、ドウミ・モンドの花形であるマルグリット(ヴィオレッタ)と恋におちるこの小説は、ある意味悲劇を予め決められています。
二つの相反した金銭感覚をお互いに相手の感覚に自分を合わせようとする虚しい努力は上手くいきません。
また、この小説は後に小デュマ自身の手によって、出版の翌年には5幕の脚本に書き換えられました。
しかし、この戯曲は当時のフランスに於ける2月革命によって成立した第二共和制政府の検閲にあって上演を禁止されてしまいます。
実際に上演が許可されたのは、ルイ・ナポレオンのクーデターによって第二帝政が成立する直前の1852年のことです。
このスキャンダラスな作品の初演は大成功に終わり、この後のフランス戯曲に大きな影響を及ぼすことになります。
こちらを参照しました。
いろいろと好みがあると思いますが、僕は、コトルバスの声がヴィオレッタのちょっとか弱い感じとぴったりだと思うのです。
そこで、CDはクライバー指揮のバイエルン・シュターツオーパーを出してきました。
小デュマの戯曲では、第5幕まであったのですが、ヴェルディのオペラは、3幕構成です。
ここで、あらすじをご紹介しましょう。
こちらから引用させていただきました。
【第1幕】
時は19世紀半ば、舞台はパリ。社交界一人気のある高級娼婦ヴィオレッタの館では華やかな宴が催されています。
この宴にやって来た青年アルフレードは、「乾杯の歌」を歌って場を盛り上げます。彼は以前からヴィオレッタに恋をしていて、二人きりになると、彼女にその気持ちを告白しました。
ヴィオレッタは、娼婦である自分は本当の恋愛などに縁はないと思っていましたが、アルフレードの純粋な愛の前にとまどうのでした。
【第2幕】
ヴィオレッタは社交界を離れ、パリ郊外の家でアルフレードと静かに、そして幸せに暮らしていました。
ある日、アルフレードの留守中に、彼の父ジェルモンが訪ねてきます。
ジェルモンは、ヴィオレッタの娼婦という過去が、娘(つまりアルフレードの妹)の縁談に差し障りとなるので、息子と別れるよう彼女に迫りました。
ヴィオレッタは自分の真実の愛を必死で訴えますが、受け入れられず、悲しみの中で別れを決意。家を出ていきます。
別れの置き手紙を読んだ何も知らないアルフレードは、彼女の裏切りに激怒したのでした。
その夜、ヴィオレッタはパリの社交界に戻り、かつてパトロンだった男爵に手を引かれて現れます。
彼女を追ってきたアルフレードは、ヴィオレッタが男爵を愛していると苦しまぎれに言うのを聞いて逆上します。
彼は社交界の大勢の人前で彼女をひどく侮辱して悲しませるのでした。
【第3幕】
数か月後、ヴィオレッタは自宅のベッドで横になっています。
実は難病におかされていて、自分の最期が近づいていたことを彼女は知っていました。
そして、今や死を目前にしています。
そこへアルフレードが駆け込んできました。
全ての事情を父から聞いた彼は、彼女に許しを請います。
二人はまたいっしょに暮らすことを誓いますが、時はすでに遅く、ヴィオレッタは過ぎ去った幸せな日々を思い出しながら、息を引き取ったのでした。
ざっと、こんな感じです。
では、こちらで、第1幕のフィナーレの有名なシーンをご覧ください。
客が皆帰って、独りになったヴィオレッタが歌う、この『そはかの人か~花から花へ』は1幕のフィナーレかつ最大の聴き所です。
ヴィオレッタは殆ど突然に自分の恋に気付き、この後のカヴァティーナはゆっくりと優しく、ヴィオレッタが単に享楽のみ身をませる女性ではない事を教えてくれます。
そして、ヴィオレッタはふっと自分の置かれた立場に思い当たり甘い恋への憧れを打ち消すカヴァレッタへと入っていきます。
ここのPovera Donnaは切なさ爆発!
そして、一転して華やかなトリルを用いたカヴァレッタは、もう自虐的でさえあるのですが、途中でアルフレードの愛の旋律が聴こえてくるに及んで、ヴィオレッタの心は散々に乱れ狂おしさに襲われ、第1幕が閉じられます。
やっぱりオペラは、劇中に感情移入して観るのが一番楽しいですね!!!
たくさんの人が、いろいろなクラシックの曲を歌うコンサートで、リートあり、オペラあり、中には、プロの方々の本格的な舞台もありました。
舞台に花が咲いたような美しい衣装と美しい容貌の方々・・・。
そのなかで、特に印象に残ったのが、椿姫のひと幕です。
「椿姫」について少しご紹介しますね。
そもそも、ヴェルディの椿姫は、フランスの文豪、小デュマの小説をもとにオペラにしたものです。
小説の背景は1840年代であり、この時期のフランスはルイ・フィリップの七月王政の末期です。
つまり、ブルジョワの台頭と貴族階級の凋落が表面化した時期に当たり、古い価値観から新しい価値観への変革の時期でもあります。
この時代背景は作品に大きな影響を与えており、それはブルジョワ階級のつまりアルマン(アルフレード)の父に代表される堅実さと疲弊退廃した貴族階級の放蕩した浪費生活の描写に見られます。
そしてこの二つの階級の狭間に咲いた花が、ドウミ・モンドと呼ばれる裏社交界です。
この仇花は浪費と享楽に身を任せながらも、そこで生きる女性達はしたたかに生き、自らの性を売り物にして表の社交界に引けをとらない豪奢な生活を送っていました。
この世界に収税官の息子であるブルジョワのアルマン(アルフレード)が現れ、ドウミ・モンドの花形であるマルグリット(ヴィオレッタ)と恋におちるこの小説は、ある意味悲劇を予め決められています。
二つの相反した金銭感覚をお互いに相手の感覚に自分を合わせようとする虚しい努力は上手くいきません。
また、この小説は後に小デュマ自身の手によって、出版の翌年には5幕の脚本に書き換えられました。
しかし、この戯曲は当時のフランスに於ける2月革命によって成立した第二共和制政府の検閲にあって上演を禁止されてしまいます。
実際に上演が許可されたのは、ルイ・ナポレオンのクーデターによって第二帝政が成立する直前の1852年のことです。
このスキャンダラスな作品の初演は大成功に終わり、この後のフランス戯曲に大きな影響を及ぼすことになります。
こちらを参照しました。
ヴェルディ:椿姫 全曲 | |
コトルバス(イレアナ),バイエルン国立歌劇場合唱団,マラグー(ステファニア),ミルンズ(シェリル),バイエルン国立管弦楽団,ドミンゴ(プラシド),ミルンズ(ジェリル) | |
ポリドール |
いろいろと好みがあると思いますが、僕は、コトルバスの声がヴィオレッタのちょっとか弱い感じとぴったりだと思うのです。
そこで、CDはクライバー指揮のバイエルン・シュターツオーパーを出してきました。
小デュマの戯曲では、第5幕まであったのですが、ヴェルディのオペラは、3幕構成です。
ここで、あらすじをご紹介しましょう。
こちらから引用させていただきました。
【第1幕】
時は19世紀半ば、舞台はパリ。社交界一人気のある高級娼婦ヴィオレッタの館では華やかな宴が催されています。
この宴にやって来た青年アルフレードは、「乾杯の歌」を歌って場を盛り上げます。彼は以前からヴィオレッタに恋をしていて、二人きりになると、彼女にその気持ちを告白しました。
ヴィオレッタは、娼婦である自分は本当の恋愛などに縁はないと思っていましたが、アルフレードの純粋な愛の前にとまどうのでした。
【第2幕】
ヴィオレッタは社交界を離れ、パリ郊外の家でアルフレードと静かに、そして幸せに暮らしていました。
ある日、アルフレードの留守中に、彼の父ジェルモンが訪ねてきます。
ジェルモンは、ヴィオレッタの娼婦という過去が、娘(つまりアルフレードの妹)の縁談に差し障りとなるので、息子と別れるよう彼女に迫りました。
ヴィオレッタは自分の真実の愛を必死で訴えますが、受け入れられず、悲しみの中で別れを決意。家を出ていきます。
別れの置き手紙を読んだ何も知らないアルフレードは、彼女の裏切りに激怒したのでした。
その夜、ヴィオレッタはパリの社交界に戻り、かつてパトロンだった男爵に手を引かれて現れます。
彼女を追ってきたアルフレードは、ヴィオレッタが男爵を愛していると苦しまぎれに言うのを聞いて逆上します。
彼は社交界の大勢の人前で彼女をひどく侮辱して悲しませるのでした。
【第3幕】
数か月後、ヴィオレッタは自宅のベッドで横になっています。
実は難病におかされていて、自分の最期が近づいていたことを彼女は知っていました。
そして、今や死を目前にしています。
そこへアルフレードが駆け込んできました。
全ての事情を父から聞いた彼は、彼女に許しを請います。
二人はまたいっしょに暮らすことを誓いますが、時はすでに遅く、ヴィオレッタは過ぎ去った幸せな日々を思い出しながら、息を引き取ったのでした。
ざっと、こんな感じです。
では、こちらで、第1幕のフィナーレの有名なシーンをご覧ください。
客が皆帰って、独りになったヴィオレッタが歌う、この『そはかの人か~花から花へ』は1幕のフィナーレかつ最大の聴き所です。
ヴィオレッタは殆ど突然に自分の恋に気付き、この後のカヴァティーナはゆっくりと優しく、ヴィオレッタが単に享楽のみ身をませる女性ではない事を教えてくれます。
そして、ヴィオレッタはふっと自分の置かれた立場に思い当たり甘い恋への憧れを打ち消すカヴァレッタへと入っていきます。
ここのPovera Donnaは切なさ爆発!
そして、一転して華やかなトリルを用いたカヴァレッタは、もう自虐的でさえあるのですが、途中でアルフレードの愛の旋律が聴こえてくるに及んで、ヴィオレッタの心は散々に乱れ狂おしさに襲われ、第1幕が閉じられます。
やっぱりオペラは、劇中に感情移入して観るのが一番楽しいですね!!!