多くの人がご存知のことだと思うが、三年前に日本で飼われている犬や猫の数が子供の数を抜いた。
現在のペット数は、犬が1310万匹、猫は1374匹で合計2684万匹で、昨年度の調査に比べて130万匹も増加したと言う報告がある。
一方で、15歳未満の子供の数は約1700万人だそうだ。
今や愛玩動物というよりは、家族にとってかけがえのないパートナーとなっている。
なんでも‘犬の幼稚園’‘ペット保険’‘老犬ホーム’‘ペット供養サービス’といったビジネスが提供されて繁盛しているらしい。
なかでも驚くのは‘ペット用酸素カプセル’ビジネスまで登場したという。
体内により多くの酸素を供給し、健康増進を図る‘高気圧酸素療法’のペット版である。
さらに深夜まで診療している動物病院をニュースで紹介していた。
夜中にさまざまな容態のペットが運ばれてくる。
瀕死のペットは隣に併設されている動物高度医療センターに移されて懸命な再生が試みられるのである。
「ここまできたのか」
そこにつれてこられた大きな犬を見ているうちはその程度の印象だったが、生後2週間の子猫を蘇生させる手厚い治療の様子を見ているうちに、複雑な思いにかられた。
実験用の小動物がとても可哀想に思えたのだ。
たいそう大事にされるペットも実験動物も‘命’には変わりない。
それなのに、ある生きものはペットとして高気圧酸素療法サービスまで用意されている。果たしてそれが幸せかどうかはペットに聞いてみなければわからない。
人間だって子供は親を選んで生まれてくるわけではない。
犬も猫もそれぞれの運命としかいいようのない宿命のなかで命を得ているのだ。
家族の一員として可愛がられ、万全の医療まで施されて、10歳以上の高齢まで生き延びることができる一方で、捨てられたペットが、全国で30万匹(19年度)も自治体で処分されたのだという。
我が家の界隈でも餌をもらってはいるものの、人間に絶対に馴染まない野良猫がいる。毅然と野良猫暮らしを貫いている。
しかし、その猫が産んだ子猫が三代目になると、飼い猫に変身してしまうのだ。
清潔な寝床と餌を与えられ、ブラッシングを受けて、母猫やお祖母さん猫を尻目に毛の色艶が素晴らしく輝いてくる。
そうした兄弟・異母兄弟関係の雄猫ばかりが4匹は育っている。
餌の縄張り争いや近親交配を避けるかのように、以前ならいつの間にかいなくなっていた野良猫が少なくなって、地域猫として生き残っているようだ。
命を真実全うすることの意味が複雑になってしまったのは、人間だけではなく現代の生きものたちのすべてに共通することになってしまった。
ここにも、年間、三万人以上の自殺者を出す日本の陰画と陽画が見えてくるようだ。
現在のペット数は、犬が1310万匹、猫は1374匹で合計2684万匹で、昨年度の調査に比べて130万匹も増加したと言う報告がある。
一方で、15歳未満の子供の数は約1700万人だそうだ。
今や愛玩動物というよりは、家族にとってかけがえのないパートナーとなっている。
なんでも‘犬の幼稚園’‘ペット保険’‘老犬ホーム’‘ペット供養サービス’といったビジネスが提供されて繁盛しているらしい。
なかでも驚くのは‘ペット用酸素カプセル’ビジネスまで登場したという。
体内により多くの酸素を供給し、健康増進を図る‘高気圧酸素療法’のペット版である。
さらに深夜まで診療している動物病院をニュースで紹介していた。
夜中にさまざまな容態のペットが運ばれてくる。
瀕死のペットは隣に併設されている動物高度医療センターに移されて懸命な再生が試みられるのである。
「ここまできたのか」
そこにつれてこられた大きな犬を見ているうちはその程度の印象だったが、生後2週間の子猫を蘇生させる手厚い治療の様子を見ているうちに、複雑な思いにかられた。
実験用の小動物がとても可哀想に思えたのだ。
たいそう大事にされるペットも実験動物も‘命’には変わりない。
それなのに、ある生きものはペットとして高気圧酸素療法サービスまで用意されている。果たしてそれが幸せかどうかはペットに聞いてみなければわからない。
人間だって子供は親を選んで生まれてくるわけではない。
犬も猫もそれぞれの運命としかいいようのない宿命のなかで命を得ているのだ。
家族の一員として可愛がられ、万全の医療まで施されて、10歳以上の高齢まで生き延びることができる一方で、捨てられたペットが、全国で30万匹(19年度)も自治体で処分されたのだという。
我が家の界隈でも餌をもらってはいるものの、人間に絶対に馴染まない野良猫がいる。毅然と野良猫暮らしを貫いている。
しかし、その猫が産んだ子猫が三代目になると、飼い猫に変身してしまうのだ。
清潔な寝床と餌を与えられ、ブラッシングを受けて、母猫やお祖母さん猫を尻目に毛の色艶が素晴らしく輝いてくる。
そうした兄弟・異母兄弟関係の雄猫ばかりが4匹は育っている。
餌の縄張り争いや近親交配を避けるかのように、以前ならいつの間にかいなくなっていた野良猫が少なくなって、地域猫として生き残っているようだ。
命を真実全うすることの意味が複雑になってしまったのは、人間だけではなく現代の生きものたちのすべてに共通することになってしまった。
ここにも、年間、三万人以上の自殺者を出す日本の陰画と陽画が見えてくるようだ。