6月6日、昼に母を訪ねた。
ハイ状態の夜は、どれほどぐっすり寝たのかと思いきや、上体を起こすたびに反応するセンサーが鳴っていたとのこと。
午前中に入浴をさせてもらったという。
そんなこともあってか、昼食をテーブルに並べたまま、車椅子で居眠りをしていた。
起こそうとすると「うるさい」と拒否されるので、届け物を部屋に置きそのまま退散した。
あんな調子で、朝食も、昼食も、あまり口にしなかったのではないかと思う。
さて、その後は所用をすませ、はやめの夕飯を終えて、6時半頃に再び施設を訪ねた。
やはり夕食は、進んでいなかった。
それでも私のことを認識してくれて、目も醒めている状態で穏やかな対応をしてくれた。
食事時間は6時から8時までの二時間とってある。
「2時間は長い」
そう思っていたが、入居者が時間的にもまちまちの食べ方をするので、ユニット10名弱の人の面倒をみている。
たったひとりの男性が、食事の世話から、食事を終えた人から薬を飲ませ、トイレの介助をし、就寝の手伝いをし、上手にこなしていることに驚愕した。
「ほら、かいがいしく世話をしてくれるでしょ」
他の人へのお世話を見ていた母が、私に話しかける。
耳は遠くなっているが、目はしっかりしていて観察力が衰えていない。
見ると母の前の席のおばあさんは、ひとりで食べようとしない。そこでおばあさんの口に食べ物を運び、彼女がモグモグと噛んでいる間に、他の人のさまざまな世話を、次々と交互にこなしていく。
いやいや神業である。
自然に身に付いたことだとしても、大変な仕事である。
私は食事をちゃんとしない母に付き添いながらも、メールを打ったり、途中で部屋の様子を見に行ったり、7時半で食事を切り上げて、居室に戻してもらうことにした。
トイレに連れて行き、おむつ交換とパジャマのズボンに交換するという。
「みさお」
トイレから、私の名前を呼んでいる。
介助の男性が「どうぞ」と促してくれたので、すこしだけ手をさしのべた。
それから居室に戻して歯磨きをすませる様子を遠くから、近くから見守っていた。
上下ともしっかり着替えを終えた母を車椅子に座らせたまま、私がベッドに腰掛けて足をマッサージしながら8時まで過ごして部屋をあとにした。
傘のかかった月を眺めながら、私がこの3年〜5年間、母にして来たことは間違っていなかったし、よくやったなぁ〜と自分で自分を褒めてしまった。
「でも、もう限界だわ」
そのことがわかっているのか、薄々感じているのか、母はひとことも帰りたいとは言わなかった。
早くも諦めてしまったのか。
それとも無言の最後の抵抗が、食事をあまりとらない行為なのか!?
「お腹がすかない」
そういいながら少しだけ、箸でつまんで口に入れている様子を思い出しながら、なんともやるせなく複雑であった。
いずれにしても施設の方々はよくやってくれている。
頭が下がる。
ただ、人手不足は否めない。
高齢化社会の現実を目の当たりにした。
何も出来ないのに、思うことばかり多し!
母の入居二日目の夜は、こうして更けていった。
ハイ状態の夜は、どれほどぐっすり寝たのかと思いきや、上体を起こすたびに反応するセンサーが鳴っていたとのこと。
午前中に入浴をさせてもらったという。
そんなこともあってか、昼食をテーブルに並べたまま、車椅子で居眠りをしていた。
起こそうとすると「うるさい」と拒否されるので、届け物を部屋に置きそのまま退散した。
あんな調子で、朝食も、昼食も、あまり口にしなかったのではないかと思う。
さて、その後は所用をすませ、はやめの夕飯を終えて、6時半頃に再び施設を訪ねた。
やはり夕食は、進んでいなかった。
それでも私のことを認識してくれて、目も醒めている状態で穏やかな対応をしてくれた。
食事時間は6時から8時までの二時間とってある。
「2時間は長い」
そう思っていたが、入居者が時間的にもまちまちの食べ方をするので、ユニット10名弱の人の面倒をみている。
たったひとりの男性が、食事の世話から、食事を終えた人から薬を飲ませ、トイレの介助をし、就寝の手伝いをし、上手にこなしていることに驚愕した。
「ほら、かいがいしく世話をしてくれるでしょ」
他の人へのお世話を見ていた母が、私に話しかける。
耳は遠くなっているが、目はしっかりしていて観察力が衰えていない。
見ると母の前の席のおばあさんは、ひとりで食べようとしない。そこでおばあさんの口に食べ物を運び、彼女がモグモグと噛んでいる間に、他の人のさまざまな世話を、次々と交互にこなしていく。
いやいや神業である。
自然に身に付いたことだとしても、大変な仕事である。
私は食事をちゃんとしない母に付き添いながらも、メールを打ったり、途中で部屋の様子を見に行ったり、7時半で食事を切り上げて、居室に戻してもらうことにした。
トイレに連れて行き、おむつ交換とパジャマのズボンに交換するという。
「みさお」
トイレから、私の名前を呼んでいる。
介助の男性が「どうぞ」と促してくれたので、すこしだけ手をさしのべた。
それから居室に戻して歯磨きをすませる様子を遠くから、近くから見守っていた。
上下ともしっかり着替えを終えた母を車椅子に座らせたまま、私がベッドに腰掛けて足をマッサージしながら8時まで過ごして部屋をあとにした。
傘のかかった月を眺めながら、私がこの3年〜5年間、母にして来たことは間違っていなかったし、よくやったなぁ〜と自分で自分を褒めてしまった。
「でも、もう限界だわ」
そのことがわかっているのか、薄々感じているのか、母はひとことも帰りたいとは言わなかった。
早くも諦めてしまったのか。
それとも無言の最後の抵抗が、食事をあまりとらない行為なのか!?
「お腹がすかない」
そういいながら少しだけ、箸でつまんで口に入れている様子を思い出しながら、なんともやるせなく複雑であった。
いずれにしても施設の方々はよくやってくれている。
頭が下がる。
ただ、人手不足は否めない。
高齢化社会の現実を目の当たりにした。
何も出来ないのに、思うことばかり多し!
母の入居二日目の夜は、こうして更けていった。