成熟したセミヨン種、リースリング種などの、果皮の薄い白ぶどうの表面に貴腐菌が繁殖すると、果皮の表面のロウ質が溶かされ、そこから果実の水分が蒸発します。すると、ぶどうはエキス分(糖分)だけが凝縮した状態の、糖度の非常に高い干しぶどうのような状態になります。これが貴腐ぶどうです。貴腐ぶどうから造られるワインは糖度が高いため発酵は長い時間をかけてゆっくりと進みます。また、ボトリティス・シネレア菌によってグリセリン、グルクロン酸など、さまざまな物質がつくられ、複雑な風味が生まれます。貴腐ぶどうから造られたワイン、貴腐ワインは、極甘口(ごくあまくち)、濃厚でコクと旨味のある、芳香豊かなワインです。特にデザートワインとして珍重されています。貴腐ぶどうを使ったワイン造りが最も盛んに行われているのが、ドイツのライン地方とモーゼル地方(主にリースリング種)フランスのボルドー地方ソーテルヌ地区(セミヨン種、ソーヴィニヨン・ブラン種)ハンガリーのトカイ地方(主にフルミント種)などです。ドイツのトロッケンベーレンアウスレーゼ、フランスのソーテルヌ、ハンガリーのトカイは、世界三大貴腐ワインと呼ばれています。
どんな味がするのだろう。
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