「コンボイクイズ」とは、解答者がそれぞれ走る複数のコンボイ(超大型トラック)に乗って、トメさんがヘリコプターで並走し、クイズを出題。正解すると、前のコンボイを追い抜く事が出来、コンボイ軍団の先頭で正解すると勝ち抜け。
「複数のコンボイ」を使ってやる大掛かりなクイズ。
上下二車線、一台の車も走らない状態で、長距離の道を封鎖して行わなければならない。
さらに、クイズが行われる沿道の全ての家に「収録当日、車を使わない様に」と伝える。
何故なら、「コンボイ」の間に、他の車が入って来てはクイズが成立しないからだ。
これはアメリカのコーディネーターの仕切りが素晴らしく上手かった。
「『コンボイクイズ』でいちばん大変なのは『音声さん』ですよね?」と僕。
「そうなんです。よく分かりましたね」とSさん。
トメさんの喋り、そしてクイズを出題する音声を、動く複数のコンボイに乗った解答者に聞かせる事。
解答者の喋り、そしてクイズの答えがトメさんに聞こえる事。
もちろん、トメさんと解答者のやり取り全てが、基地にいるディレクターにも聞こえる事。
しかも、ヘリコプターとコンボイとディレクターの3点を繋ぐのは全てワイアレスで行わなければならない。
この技術は半端ない。
「アメリカ横断ウルトラクイズ」、早押しクイズの撮影。
正面から解答者全員を押さえていて、「ウルトラハット」の「?マーク」が立ち上がったら、瞬時にその人に寄るメインのカメラマンKさん。手持ちカメラで寄っても一切ブレない。
そして、サブのカメラマンが解答者の横からそれぞれの解答者の表情を狙う。
この二人のカメラマンの「匠の技」によって、「ウルトラクイズ」は成り立っていたのだ。
「収録したVTRはどうやって日本に持ち帰っていたんですか?」
紛失してはいけない収録済みな大切なVTR。決勝の地、ニューヨークまで全てを持って行けない。
「それぞれのチェックポイントの敗者を日本まで送り届けるスタッフが東京の編集室まで運ぶんです」
「なるほど!」
小さなスーツケース1つしか持って行けない「ウルトラクイズ」のスタッフ。
毎日、着る服はどうしていたんだろう?
その疑問をSさんにぶつけた。
服装は基本、Tシャツと短パン。ホテルの乾燥機付きランドリーで洗う。
寒い所のロケは、洗わないで済む「ウルトラクイズ」特製のジャンバーをスタッフ全員羽織っていた。
Sさんと過ごした池袋の夜。泉の様に湧き出るお話を聞いていると、時間の経つのはあっという間。
二人で蕎麦屋を出た。
外気が少し肌寒かった。
そして、またの再会を約束した。
「壮大な人間ドキュメンタリー」、「アメリカ横断ウルトラクイズ」が終わって、四半世紀。
その裏側にも、もう一つ、「スタッフの、想像を超えたドキュメンタリー」があった。
僕は帰路、心の中でスキップしていた。
Sさんにたくさんのエネルギーをもらった。
生まれて来て、見たテレビの中で、僕のいちばん大好きな番組は、「アメリカ横断ウルトラクイズ」だ!
史上最大の木曜日 クイズっ子たちの青春記1980-1989 | 戸部田誠(てれびのスキマ) |本 | 通販 | Amazon
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます