何年か前の「埼玉グリーンアドバイザーの会」の
総会で講演した曳地トシさんが東京新聞(2013年12月21日・朝刊)の発言欄にある「ミラー」に載っていましたの紹介します。
「沈黙は金」ではない。
戦争招く沈黙と無関心
オーガニック植木業
曳地 トシ 55
1914(大正3)年生まれの父が生きていたら、来年で百歳になる。父は太平洋戦争のときビルマ(現ミャンマー)へ徴用され、乗っていたトラックが地雷を踏んだにもかかわらず、九死に一生を得たという。
父が戦地から戻って後に第一子である私の姉が生まれた。薬が手に入らない中で風邪をこじらせ肺炎となり、私が生まれた時には既にこの世にはいなかった。父は買ってきたわずかばかりのおもちゃを、泣きながら海に捨てたという。
その父に「なぜ戦争に反対しなかったのか」と問うと、「戦争になってからでは反対はできない。その前に情報や人権を著しく統制する法ができるから、気をつけた方がいい」と話していた。
特定秘密保護法はテロ情報漏えいを取り締まるというが、戦前の治安維持法も共産主義者を取り締まると言いながら、一般市民を監視した。そのことを思う時、反ナチ運動の指導者であったマルティン・ニーメラー牧師の詩を想い出す。
「彼らが最初共産主義者を攻撃したとき、私は声をあげなかった
私は共産主義者ではなかったから
社会民主主義者が牢獄(ろうごく)に入れられたとき、私は声をあげなかった
私は社会民主主義者ではなかったから
(中略)
そして、彼らが私を攻撃したとき
私のために声をあげる者は、誰一人残っていなかった」
沈黙と無関心が戦争を招き入れる。今声をあげなければ再び私たちの口はふさがれて、若い命を戦場に送ることになる。