僕のほそ道   ~ のん日記 ~

  
これと言ったテーマはなく、話はバラバラです。 つい昔の思い出話が多くなるのは年のせい? 

初めての東野圭吾 

2011年06月11日 | 読書

は~い、皆さん 「幸せのレシピ」は、いかがでしたか…?
キャサリン・ゼタ・ジョーンズの魅力が満載でしたね~
相手役のアーロン・エッカートも、やさしくてカッコよかったですね~。
それでは皆さん、さよなら、さよなら、さよなら。
(まだ始まったばっかりやがな)

ところで、昨日(10日)の午後9時からの新聞のテレビ欄を見ると、
金曜ロードショー「幸せのレシピ」と同時刻に、隣のチャンネルで、
「東野圭吾・3週連続スペシャル第一弾『11文字の殺人』」というのがあった。 

昨日は見なかったけれど、面白そうなので録画をしておいた。

東野圭吾といえば、今年の新春ドラマで「赤い指」というのがあったのを思い出す。
阿部寛が主人公の刑事役を演じ、なかなか見ごたえのあるドラマだった。

僕はその時、まだ東野圭吾という人の作品を読んだことがなかった。
「とうの」と読んでいたが、実は「ひがしの」だったことも最近に知った。

書店へ行くと、彼の作品群が目立った場所にズラ~っと並んでいる。
多くの作品が映画化・テレビドラマ化され、いま人気絶頂の感がある。

きっと人をひきつけるものがあるのだろう。 何冊か読んでみよう。
…と、最初に手に取ったのが「容疑者Xの献身」だった。

天才数学者がひそかに慕う女性が、執拗につきまとう元夫を、娘と2人で殺してしまう。
彼は、自首しようとするその母子を思いとどまらせ、自分の指示通りに動くように言う。
そうすることによって、彼はその女性に寄せる恋慕の情を
成就させたいと考えたのだ。

そして、母子のアリバイ工作をし、得意の緻密な思考で完全犯罪を企てる…。

久しぶりに密度の濃いミステリを読みながら、ハラハラドキドキの感覚を味わった。
小説は犯人の側から描かれているので、妙に共感し、つい犯人を応援したくなった。

しかし、途中から湯川という物理学者が登場し、事件の謎を解明していく。
彼が、テレビで福山雅治演じた探偵ガリレオであることは、妻から聞いた。
僕はテレビのガリレオ・シリーズを見ていないので、それを知らなかった。

小説は、天才数学者が完全犯罪まであと一歩というところで頓挫し、終わる。

こういうことを言ってはなんだけど、この本を読む前に、
山村美紗 の「百人一首殺人事件」というのを読んだのだが、
小説の醍醐味や、スリル・緊迫感など、まったく比較にならなかった。
直木賞や本格ミステリ大賞を受賞し、年間ミステリベスト1に選ばれたのも頷ける。
僕はこの一作で、すっかり東野圭吾のファンになった。

続けて「トキオ」、「レイクサイド」の2作を読んだ。
でも「容疑者Xの献身」からすると、いずれも読後感は「いまいち」だった。
期待が大きすぎたのであろう。 それでも、楽しんで読むことはできた。

「トキオ」は、トキオという名の息子が過去の世界にタイムスリップして、
若き日の自分の父親と出会い、いろいろアドバイスをしてやるという話だ。
なんだか「バック・トゥ・ザ・フューチャー」みたいだ。

それに「トキオ」といえば、沢田研二に同名のヒット曲がある。
「トキオが空を飛ぶ~」という歌だ。
その曲とこの小説と何か関係があるのかな? と思いながら読んでいたが、
結局そこに触れられないまま終わりかけたので、あぁ、関係なかったのか~
と思ったとたん、小説の最後の最後の一行に、ひょこっと沢田研二が登場し、
テレビの中で「トキオ」を歌っているところで、この物語は終わった。

また筋とは無関係だが、トキオが若き日の父とこんな会話をかわす場面がある。

父の偏った食生活を心配したトキオが「コレステロールが増えるよ」と忠告する。
トキオはさらに続けて「コレステロールって、知ってるだろ?」と訊く。
父は「知ってるさ。 電話代を受けた側が支払うアレだろ」
「それはコレクトコールやがな」

父がボケでトキオが突っ込みの、大阪漫才みたいだ。

そういえば、東野圭吾は大阪の人である。

父とトキオの2人は、犯罪がらみのいざこざに巻き込まれていくのだが、
クライマックスでは、「松原市の古いパン工場」で乱闘が繰り広げられる。
僕が長年勤めてきた松原市が、この小説の最後に出てきたのでびっくりした。
こういうのって、作者が大阪の出身の人でなければ出てこないだろうと思う。

もう1冊の「レイクサイド」も、読んでいて退屈はしなかったが、
ラストで明かされるあまりにも意外な犯人に、少し違和感を覚えた。
な~んとなく、無理があるような、そんな感じだ。
それでも、上質のミステリーとしての鑑賞には堪えうると思われる。

最近また、東野圭吾の文庫本を2冊買った。 「白夜行」と「秘密」だ。
2作ともかなり以前の作品だが、読んでいなければ古いも新しいもない。

そのうち、「白夜行」は、文庫で850ページもあるチョー分厚い本だった。
(本が重過ぎて、夜、ベッドに寝転んで読むには不向きですけど)

その850ページを、3日ほどで読み終えた。
実は、一昨日にこれを読み終えたばかりで、今も余韻が抜けきらない。

これは読み始めたら、ほんと、もうやめられない、止まらない。
読めども読めども、厚い残りページはなかなか薄くなってくれず、
いつ終わるのかと読み急ぐのだけれど、やがて残り少なくなると、
今度は一気に読み終えるのがもったいない気がしてくるのである。

なにせ850ページである。
最初の殺人事件が起こって、それが結末を迎えるまで、19年の歳月が流れる。
そこにはさまざまな人物が登場し、多くの事件が起こる。

物語の中心は大阪で、僕に馴染み深い地名もわんさと出てきて楽しい。

しかし歳とともに記憶力が減退する僕には、この小説はちょっと厳しくもあった。

主人公というものが存在しないので、誰に感情移入していいのかわからない。
章が変わるたびに新しい人物が登場し、新しい事件が起こる。
それぞれ別個の短編小説を読んでいるような気分になるが、
それがまた、過去の人物、事件などと密接に関係しており、
なかなか精緻にして複雑多岐をきわめる。
登場人物を書きとめながら読めばよかったな~と途中で思った。

それでも、一昨日はラストまでの400ページほどを一気に読み終え、
久しぶりにミステリ小説から伝わってくる快い感覚に酔った。

圧倒された…という言葉が、この本の感想に最もふさわしいかも知れない。

本作は、1999年の夏に刊行された作品だというから、ずいぶん時が経つ。
なのに、今年に入ってからこの単行本が書店でやたらに目に付いたのは、
今年の1月に映画化され、大々的な宣伝が行き届いていたからだろう。
本のオビに、ヒロイン雪穂の役を演じる堀北真希が写っていたもんね。

僕が「白夜行」を読み終えたとき、
「それ、だいぶ前にテレビドラマで見たじゃない」 と妻が言った。

話を聞いて記憶をたぐると、思い当たった。
へぇ…?。あっ、あれか…? あれが「白夜行」だったんだ。

そのドラマは、言われてみれば僕も見たことがある。5~6年前だ。
妻が主役の山田孝之の大ファンで、僕も妻の横でテレビを見ていた。
雪穂役の綾瀬はるかを見たのは、それが初めてだったような気がする。

あのドラマのオープニングはあまりに衝撃的だったので、それは覚えている。
でも、毎週見ていたようだけど、次回以降のストーリーはよく覚えていない。
たぶん、それ以降、ビールを飲みながら、ぼんやり眺めていたのに違いない。
だから小説を読んでいても、それがあのドラマの原作とは気がつかなかった。

小説の最後に、ドラマの冒頭と同じ場面が出てきて、初めて2つが重なった。
つまり、テレビドラマのオープニングシーンは、小説のラストシーンだった。

「あぁ、忘れていてよかった~」と心から思った。
ドラマをしっかり覚えていたら、この本の興味は半減していただろう。
まったくストーリーがわからないまま読んでこそ、夢中になれる。

ドラマや映画を見てから小説を読むと、かえって支障が生じるものだ。
第一、犯人や結末がわかっていて読むミステリなんて、面白くもない。

東野圭吾は、これからもいろんな作品を読んでみたい。 
それから言えば、テレビの「東野圭吾・3週連続スペシャル」っていうのも、
うかつには見ないほうがいいかもな~、なんて、今、思ったりしている。

昨晩から東野作品5冊目の「秘密」 を読み始めている。

浅田次郎さんが言ったとおり、酒を飲まないと、本が沢山読める。

 

 

 

 

コメント (8)
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