NHKテレビなんかで懐かしい昭和の歌などの番組があると、
なるべく見るか、録画するかして、見逃さないようにしている。
歌謡曲はいいなぁ。昔から大好きだ。
小学6年の時、橋幸夫がデビューし、僕は全曲を覚えるほどこの歌手に凝った。
大人たちの前で「潮来笠」や「沓掛時次郎」を歌詞の意味もわからず歌っていた。
もちろんそのころは、カラオケなどカゲもカタチもなかった時代である。
中学生の時にデビューした舟木一夫にも、夢中になった。
たぶん、僕の長いカラオケ人生でも、最も多く歌ったのが、
この人のデビュー曲「高校三年生」だったろうな~と思う。
職場で1泊旅行などへ行き、宴席でカラオケタイムになると、
いきなり「高校三年生」が流れてきて、「お~い、出番やでぇ」
などと同僚に囃し立てられ、あわててマイクを持つような調子だ。
歌うとも言っていないのに、誰かが勝手にこの曲をかけるのだ。
まあ、そんなことであるが…
最近は僕がテレビで昔の歌番組を見ていると、6歳のモミィが、
テーブルでお絵かきなどしながら、それをチラチラっと見る。
先日、僕の好きな山口百恵の 「プレイバックPartⅡ」 のシーンが映った。
僕があまりにも熱心にテレビを見ているものだから、モミィは
「ねぇねぇ、この人だれ…?」と聞いてくる。
「ヤマグチモモエちゃん。昔の歌手やけど、大好きやったんやで~」
「ふ~ん」
わかっているのかいないのか…モミィはまたお絵かきのほうに戻る。
きりりと引き締まった表情で、一点を見据えて歌う山口百恵。
♪ 交差点では隣の車が ミラーをこすった
怒鳴っているから 私もついつい大声になる
馬鹿にしないでよ そっちのせいよ
ちょっと待って Play back Play back
今の言葉 Play back Play back
馬鹿にしないでよ そっちのせいよ ……
詩・阿木燿子と、曲・宇崎竜童の夫婦コンビが生んだ名曲。
昭和53年に大ヒットした。
テレビの映像にうっとり見とれ、歌に聴き惚れる。
♪ 気分次第で抱くだけ抱いて 女はいつも待ってるなんて
坊や いったい何を教わって来たの
私だって 私だって 疲れるわ~
ここの歌詞も、とても印象深い。
山口百恵が終わり、次に尾崎紀世彦の「また逢う日まで」が始まった。
そのとき、ふと見ると、モミィが下を向いて鼻をほじくっている。
「やめなさい。鼻が痛くなるよ」 僕がそう言うと、
モミィは顔を上げ、こちらを見てニィ~っと笑い…
「馬鹿にしないでよ~」 と言った。
ぎゃふん。