いくらなんでも30キロまでは先頭集団に入っているだろうと思った。
いくらなんでも2時間30分は切るだろうと思った。
いくらなんでもテレビ中継中にはゴールするだろうと思った。
それが…。
5キロの給水のときに自分のドリンクを取るのに失敗した。
水を取って飲みにくそうに口に運んでいた高橋を見て、変だな、と思った。
民放のマラソン中継は、やたらとCMが入るのでわずらわしい。
特にレースがまだ動かない(と予想される)前半は、CMを入れまくる。
サッカー中継では試合中はCMを入れないのに、マラソンではお構いなく入れる。
マラソンだって、中断されず見続けたいと思うのに、前半はCMだらけだ。
本当に、レースに割って入るCMはイヤだなぁ…と思っていた矢先である。
そのCM中に、高橋が遅れた。
だから、彼女が遅れていく瞬間は、見ることができなかった。
CMが終わったあと、アナウンサーが「大変なことが起こりました」と絶叫。
「高橋が遅れ始めました…」だと。
映像は、すでに先頭から数10メートル遅れた高橋を映し出していた。
9キロ地点から早々と遅れた高橋だが、あれでよく最後まで走ったと思う。
普通、これほどの選手なら、棄権するところであろう。
ここは、心から拍手を送りたい。
昨日の朝、実は高橋が楽しみ…というより心配な気持ちの方が強かった。
昨日も書いたけれど、
「どこか、身体に故障を隠しているのではないか?」
…という心配が、僕のどこかにあった。
レース前の彼女のインタビューにも、何かを含んだような空気が感じられた。
去年、膝の手術をしたことが、レース後に明かされた。
スタミナは回復したが、スピード練習が間に合わなかった、という。
レースは21歳の中村が初マラソンVをなしとげた。
2位の尾崎も同じく初マラソンだった。
時代の流れや世代交代をというものを、ひしひしと感じさせるレースだった。
レース後の記者会見。
高橋の、いつもと変わらぬ笑顔が、かえって痛々しく見えた。
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