すばるに恋して∞に堕ちて

新たに。また1から始めてみようかと。

STORY.46 あのこと。

2014-09-08 22:36:18 | 小説

えっと。

とにかく、自分で自分を思い切り慰めてみました。

それだけのための、お話です。

先回は深夜に置き逃げしましたが。
今回は、開き直りました(笑)

イタかろうがなんだろうが、かまっちゃいられません。

とりあえず。
「愛されたかった」わけで(笑)

きょうから始まった、例のメール申し込みに向き合うためにも。

ここは、やっぱし。
決着つけとかないと( • ̀ω•́ )キリッ✧

ということで。

なんのこっちゃ?と思われるかもしれませんが。

おつきあいくださる方は続きから。

もうええわ。というかたはこれにて。
ごめんくださいませ。




STORY. あのこと。




「オトナでいるって、難しいわね・・・」

うつむいた彼女の口から。
こぼれだした言葉。

俺は、その背中からそっと腕をまわして、彼女を抱きしめた。

俺よりも。
比べ物にならないくらい、人生ってやつを知ってる彼女に。
かける言葉なんか、もってなくて。

「気にしてんの?」

なに言うてんねやろ。
愚問、や。

「あほやな」

いや、違う。
ほんまにあほなんは、俺や。

「わかってるやろ」

彼女の髪の香りと、首筋から立ち上る彼女自身のにおいが、
俺にまとわりついてくる。

何も『今』分かったってわけでもなくて。

それは最初から『分かってて』始まったことで。

お互い、承知の上やったはずやのに。

せやのに。

あのこと以来。

時折、こんなふうに寂しげな彼女を見せつけられると、
どことなく、なんとなく、棘が刺さったような痛みが走る。

俺かて、もうちゃんとした男やし。

どうにもならんときには、他に気を回すことかてあるし。

ちょっとのつもりが、結構、気に入るときやって。
正直、ないとはいわへんし。

大体。
それを言い始めたら。
彼女の方にだって抜き差しならん現実はあるわけで。
もともとは、
それが問題やったともいえるんやし。

しゃあないやん。

どうにもならんもん、
あれこれ言うてみたところで。

しゃあないやんか。

・・・・・・せやろ?

ほんでも。
これは、絶対に口に出したらアカンやつやんな?

彼女を。
追い詰めるだけやもんな。

「俺のこと、信じてへんの?」

ずるいな、俺は。

「貴女を好きって気持ちは、変わらへんよ?」

責められんように、
責めにくいように、

彼女の身体の、
彼女が好きな場所を。

彼女が好きな速度で、
彼女が好きな強さで、

言葉が足りない分を、ごまかそうとしてる。

未来のない『今』を、二人が選んでる以上。

俺にも。
彼女にも、それぞれ。

捨てるに捨てられない、
逃げるに逃げられない、
現実があって。

彼女は俺を、
俺は彼女を、
唯一、と選びきれない『今』がある。

愛し合うために、時間をやり繰りして。
この一瞬を得る。

ただ、お互いを求め合う刹那を。
感じあうために。

そのために。
引き換えにせんならんもんかて、ある、よな?

「ねえ、まだ私を、愛してる?」

「そんなあたりまえのこと、聞かんとわからへんか?」

そんなせつないセリフ、言わせたいんとちゃうのにな。

「聞きたいときだって、あるわ。確かめたいの」

消えていく言葉に、
形のないものに縋り付きたがる彼女が、
たまらなく可愛くて、愛おしくて。

「まだ、なんて言うな。ずっと、や」

「ずっと?」

「せや。どんな女も貴女の替わりでしかない」

「うそつき、ね」

「嘘、ちゃうよ。俺が本当に欲しいのは、貴女だけなんやから」

そう。
嘘なんかやあらへん。
嘘なんかであるものか。

「貴女だから、俺はいま、俺でいられるのに」

この腕の中に、しだいに寄りかかってくる重みのぬくもり。

「愛してる」

彼女が望むだけ、いくらだって打ち込んでやる。

だから、なぁ。

欲しがっても、ええか?

のぼりつめてゆく快感が、解き放たれる瞬間の、

「愛してるわ」を。

俺はただ無性に貴方の「愛してるわ」に救われたいんだ。

あのことで、あなたを傷つけた自分を嫌いになりそうやったから。

許されたいんだ。

せやから、なぁ。
言うてや。





FIN.