昨日の歯痛。
ロキソニン飲んで一眠りしたあとは、ズキズキした痛みは引いたのですが。
まだなんとなく噛むと違和感というか鈍痛というかが残っているので。
今日明日にでも歯医者の予約を取らねば、と思っております。
一眠りしてしまったせいで。
痛みとはうらはら、眠気がスッキリ飛んでしまって。
寝るに寝れない事態に。
いつでもどこでも一瞬で寝れる私にしたら、珍しいパターン(笑)
仕方ないので、
書き始めたまま放ってある妄想小説でも、と思って筆を進めたものの。
詰まる詰まる(笑)
しかも時刻は丑三つ時。
出てくる妄想は、欲望の塊だったりしました。
相当なリハビリが必要だな、こりゃ。
夜明け頃には、どうにか形になりましたので。
ひとまず、UPさせます。
冷静に読み返すと、なんじゃ?ってなお話でございますので。
それでも読みたい方だけ、続きからどうぞ。
注意事項としては。
毎度のことながら。
モデルとなっている人物は実在する赤い人ですが、
今回はさほどの赤感は無いように思います。
物語はまったくのフィクションですので、
出来の悪さに石などお投げにならぬよう。
それでは。
STORY.41 紫煙
ぼんやりとした薄明かりの部屋。
溶けていく煙の向こう側で、
不安げな顔して彼女が俺を覗き込む。
「なん?」
俺は、彼女の顔にかからないように煙を吐き出す。
こんな時の彼女のセリフは、いっつも決まってる。
『煙草、のどに悪いわ』
歌うたいが生業の俺にとって、
喉は商売道具で。
「ああ、そやな。分かってるて」
彼女が諦めたように微笑う、その表情を見るのが。
なんとなく。
少し、
ほんの少し。
楽しかったりすんのは、なんでやろな。
ただただ忙しいだけの日々を乗り越えて。
会えたり、会えんかったりするんも、文句ひとつ言わんと。
せやのに。
俺の煙草だけには、いっつも嫌そうな顔をする。
俺は、そばにあった灰皿に煙草を押し当て、
空いた手で、彼女を引き寄せる。
待ってたかのように。
彼女は力を抜き。
俺に身体を預けてくる。
ほんのいっとき前。
この腕の中でしなやかにうねった肌が、
柔らかに形を変えはじめる瞬間。
吐息が絡み合い。
彼女から立ちのぼる香りの中に、埋没していく。
香水でもない、
石鹸でもない、
彼女だけが放つ、この香りに包まれるのが。
なにより、俺は好きなんやな。
緩やかに首筋を這う、温もり。
彼が吐き出した紫煙の残り香が、体中を流れていく。
苦くて、
せつない。
この香りは、彼自身。
好きだけど。
大好きだけど。
だけど、嫌い。
彼が、歌う間。
歌の仕事が続くあいだは。
会いたくて、
会えなくて。
頼りない時間だけが、私の上を流れていく。
この香りが、彼につながるたったひとつの記憶になる。
だから。
嫌い。
この香りは、嫌い。
だけど。
どこかで、この香りを求め続けてる。
『苦い・・・』
息が触れる。
彼女が恥ずかしそうに小さく呟く。
俺の腕の中で。
目を伏せ、消え入りそうな声で。
「嫌か・・・?」
俺は彼女の応えを待たず。
幾度となく、彼女の体に刻印を打つ。
髪に、頬に、首に。
ほのかに咲く紅。
苦い香りが染み込み。
遅れて。
すべてを包み込むように、漂う香り。
交じり合う匂いが、
俺の中に戻ってきて、俺自身を掻き立てる。
まだ、だ。
まだ。
溶け合う瞬間は、まだもう少し先だ。
そんな俺に抗うように。
小さくかぶりを振った彼女が。
うわごとのように啼く。
『も・・・っと』
やがて鮮やかな光が、脳裏を突き抜け。
彼女の指が、瞬間、動きを止める。
そしてゆるやかに、堕ちていく。
どこまでも。
深く。
静かな。
闇の波間に。
ふたりで。
それだけでいいと、思った。
この瞬間があるだけで。
二つのの香りが、混じり合い。
強い芳香を放ち、再び深く互いに刻まれる瞬間があるだけで。
言葉もなく、想いを交わせる。
「愛してる」
それだけを彼女に伝えるために。
「愛してる」
それだけを受け取るために。
俺は紫煙をくゆらし続ける。
Fin.
いつもブログ拝見させて頂いています。
久し振りの小説、とっても嬉しくてドキドキしながら読ませて頂きました。
Redさんを想いながら読んでいて、何だか切ないような、キュンとするような……(上手く表現が出来なくてごめんなさい)
やっぱりのゆさんの小説が大好きです!
(舞音ちゃんのお話も本当に大好きで、何度も読み返しています♪)
のゆさんのペースで…
また新しいお話しを楽しみにしていますね!
いつものゆさんのブログにお邪魔しては、エイトごとやその他のことでも共感したり、色々な事を教えて頂いたりしています。
いつも本当にありがとうございます。
今日は岐阜でも朝から雪が降っています。
まだまだ寒い日が続くかと思いますが、くれぐれもご自愛下さいね。
(まとまりのない文章で長々と失礼しました。ごめんなさい。)