草加市議会6月定例会で、ペットの災害対策について質問しました。
犬や猫などのペットとの同行避難は、災害が起きた際に飼い主がペットと一緒に避難所へ安全に避難することです。避難所では、ペット専用のスペースを設けるなどの対応が想定されています。ペットが心配で飼い主が逃げ遅れたり、取り残されたペットの野生化や繁殖にともなう課題などを未然に防ぐ効果がペットの同行避難にあるとされ、近年見直されてきています。草加市もペットの同行避難、避難所の受け入れについての見直しが進められてきているところであり、現状と課題について質問しました。以下、その主な内容です。(Qは私の質問、Aは市の答弁)
【Q1】ペット避難に関するこれまでの草加市の経緯は?
【A1】草加市のペット同行避難についての経緯は次の通りです。
➡平成21年度:策定した避難所運営マニュアルで、ペットは避難者の居住スペースとは別の屋外にペットハウスを設け、飼い主が全責任を持って飼育することを定めました。
➡平成30年度:屋内外を問わずペットスペースを確保することのほか、飼い主が飼育場所の管理、清掃等を行う責任、必要があることなどを定めました。
➡令和元年度:草加市を襲った台風19号における対応の際に、一時的に避難をする場所として避難所を開設したことから、こうした際にペットは、排せつ物、食餌等に係る室内環境を整えた上で御自宅に残していただき、避難所にお越しいただくようお願いした経緯があります。
➡現在:避難所でのペットは、動物が苦手な方や鳴き声や臭いなどを懸念する方がいる一方、近年では、ペットも家族の一員であるとの認識も一般的になってきており、一時的な避難であったとしてもペットと同行避難が可能となるような改善を求める声もいただいております。こうした要望を受け、現在は、長期的・一時的な避難にかかわらず、全ての小中学校および公民館・文化センターにペットスペースを設けています。
【Q2】ペット同行避難のメリットや課題は?
【A2】メリット:全国的な過去の災害においては、避難所においてペットの受け入れを拒否された飼い主の方が車での避難を余儀なくされた結果エコノミー症候群となった事例ですとか、同行避難せず、残されたペットが放浪状態となって野生化し、人に危害を及ぼすようなことも考えられます。同行避難を行うことでこのような事態を避けられると考えています。また、避難者の心のケアの観点からも、ペットの同行避難の重要性も指摘されています。
課題:動物が苦手な方や動物アレルギーをお持ちの方も避難者の中におられることや、鳴き声や臭いなどに対する苦情が生じる可能性も否定できませんので、ペットを適正に飼育するためのルールづくりとその運用が課題と考えています。
【Q3】ペットの受け入れが可能な指定避難所と、そうでない避難所は?
【A3】現在、市内54か所の指定避難所のうち、ペットとの同行避難が可能な避難所は、全小中学校32か所と、公民館・文化センター6か所の合計38か所です。
【Q4】指定避難所のペット用スペースはどこ?どのような考え方で選定しているの?
【A4】各避難所におけるペットスペースの設置場所は、昇降口など清掃がしやすい場所を基本に選定しています。選定に当たっては、一般避難者の居住場所から離れた場所とすることや、避難終了後に臭いや汚れが残るなどの状態になりにくい場所を選定することとしています。
※なお、避難所ごとに具体的なペットスペースが設定されています。詳細について調査でき次第、ブログにまとめる予定です。
【Q5】避難所では「夜吠えしてしまうためペットと一緒に寝れないか」などの要望も想定されます。ペットとの共同生活が可能なスペースを設ける自治体もあります。草加市ではどのように想定されているの?
【A5】避難したペットが慣れない場所や狭いスペースで過ごすことで、飼い主の皆様からは、避難者のスペースで一緒に過ごしたいと要望を受けることは、十分に想定をするところです。しかしながら、現状は、避難者とペットが同じスペースで過ごすことは、スペースの確保ができないことから難しいものと考えており、今後の課題として捉えています。そのため、まずは飼い主の方々が心配されることがないよう、避難したペットが少しでも落ち着いて過ごすことができる環境づくりを飼い主自身で取り組むルールをつくっていただくこと、そうした対応をしていきたいと考えています。
【Q6】避難所では飼い主の責任が非常に重要。ルールや責任など草加市ではどうなっているの?
【A6】ペットの世話は、飼い主が責任を持って行うことが基本と考えています。避難所運営マニュアルで示したルール例で、ペットは避難者と別に、指定された場所で必ずケージに入れるかリードによりつなぎとめて飼育することや、飼育場所や施設を飼い主が常に清潔にし、必要に応じて消毒を行うこと、また、ペットの苦情及び危害防止に努めること、ペットの排せつ等は飼い主の管理のもとで指定された場所排便させ、片づけを必ず行うことなどを定めています。
(画像)草加市ハザードマップより抜粋
【Q7】ペットを好きな人もいれば、そうでない方もいます。トラブル回避などの目的で同行避難者による組織づくりが重要とされていますが、市の考えは?
【A7】避難所運営マニュアルでは、飼い主がペットスペースの設営を行うなど、ペットの世話は飼い主自身の責任で実施することとしています。また、鳴き声や臭いなどに対する苦情が生じることも想定し、ペットを適正に飼育するためのルールづくりが必要なものと考えています。
一方、避難生活が長期化した場合、避難所から仕事に向かう方や避難所にとどまる方など、避難者によって生活パターンが多様化することも考えられます。詳細なルールが決められていることで、飼い主によっては対応できないケースも想定されます。このような場合、飼い主同士でともに助け合う仕組みができれば、飼い主の負担軽減にもつながりますので、この共助の仕組みとしてペット同行者による組織づくりも有効なものであると考えています。
【Q8】同行避難者による組織づくりと、避難所運営組織との連絡協議体制は?
【A8】避難所運営マニュアルで、ペット同行者への対応は「衛生班」が担当するよう定めています。また、ペット飼育のルール例では、飼育が困難な場合やトラブルが生じた場合は衛生班に相談するよう定めています。避難所でペットと同行避難をする場合、避難所運営組織と密に連携を図りながら対応することが必要なものと考えています。
【Q9】被災住宅から逃げ出したペットや飼育不明のペットも、保護されて避難所に来るケースなどが想定されます。保護できなければ、ペットの野生化や繁殖といった地域全体の課題に広がりかねません。草加市での対応は?
【A9】被災住宅から逃げ出したペットや飼育不明のペットなど、被災動物の救護体制は、獣医師会による動物救護所が設置され対応することを想定しています。草加市では、設置された動物救護所において、埼玉県に設置されている動物救護本部や草加保健所等関係機関との調整や動物相談窓口設置に伴う調整、小動物・飼い主不明動物などの保護、さらには被災のため一時的に飼育できなくなった動物の一時預かりに係る調整などの役割について地域防災計画に定めています。
【Q10】ペットにかかわる避難所運営について、各避難所で分かっている人がいなければ混乱の原因になりかねません。誰が認識して対応する想定となっているか?
【A10】実際に発災した場合、ペットと同行避難される方を含めて避難所の対応は、各避難所に組織される避難所運営委員会、もしくは市の地区参集職員が対応することになります。避難所では、避難されてきた方々に受付で避難者名簿に記入をしていただきますが、飼い主と共に避難してきたペットも、ペットの種類や数などについてペット登録台帳へ登録することとしており、避難所の運営組織において避難所の円滑な運営に必要となる情報を把握することとしています。
【Q11】毎年おこなう狂犬病注射や各種ワクチン接種の際に、医療機関などから飼い主に、同行避難などについてのパンフレットやお知らせを渡していただくのはいかがか。同行避難に対する理解や周知を広げていくべき。草加市の見解は?
【A11】ペットとの同行避難は、飼い主に対し事前に情報提供し、防災に対する心構えやペットのしつけ等を意識してもらうことが、発災直後の不要な混乱を少しでも避けることにつながりますので、事前の周知が大変重要なものと考えています。現在、ペットとの同行避難を確実に実施できるよう、小中学校および公民館・文化センターであらかじめペットスペースを定めるほか、ハザードマップやホームページなどを通じてペットとの同行避難について周知に努めています。
一方、ハザードマップは全戸配布をしていますが、内容まで全てお知らせできているとは限りません。今後、ご提案のありました狂犬病ワクチン接種などの機会を捉えて同行避難に対する理解や周知に努めてまいりたいと考えています。