9月27日の草加市議会で、市民共同議員団の斉藤雄二議員に対する懲罰が賛成多数(記事の一番最後に掲載)により可決され、斉藤議員の陳謝がおこなわれました。多くの議員が「よく分からない」と言いながら、共産党までもが賛同してまともな審査もなく重たい処分を課した議会の良識を疑います。
[1]問題の発端と懲罰までの経緯
・発端は9月14日に、斉藤雄二議員が市長の政治姿勢について一般質問をおこなったことに始まります。この質問により、浅井昌志草加市長が2018年12月25日まで取締役をつとめていた保険事務所に佐々木洋一議員がスタッフとして所属している事実などが明らかとなりました。➔詳細はコチラ
・9月17日に、佐々木洋一議員が、斉藤議員の質問で自身が侮辱を受けたとして処分要求書(下参照)を議長に提出しました。
・この処分要求書を受けて、9月22日に懲罰委員会が設置され、斉藤議員が弁明を行った後に委員会審査がおこなわれました。
・9月27日の市議会閉会日に、市民共同議員団の石田恵子議員が懲罰の反対討論をおこないましたが、賛成多数で懲罰が可決。直後に、斉藤議員は本会議場で陳謝させられました。
処分要求書の原本
[2]斉藤議員の弁明
斉藤議員は、懲罰委員会で主に次の3点について弁明しました。
①佐々木議員は処分要求で「浅井市長は市長就任後に会社の取締役を辞任しており、浅井市長と私の間には雇用等の関係はない」としたが、これは、取締役であれば雇用関係にあるとの認識を自ら認めた文書だ。少なくとも2018年10月の市長就任から、取締役を辞任する2018年12月までの2か月間は、雇用関係にあったことを自ら認めただけであり、指摘にすら当たらない。
②佐々木議員は「明らかに必要な限度を超えた人身攻撃」と言うが、私(斉藤議員)の質問は、市長自身が認めた通り「政治倫理の確立のための草加市長の資産等の公開に関する条例」に基づく誤りを議会で明らかにし、二元代表制のチェックアンドバランスの関係性における疑義をただしたもの。佐々木議員のプライベートまで立ち入った質問は行っておらず、問題の本質は、市政全体への信頼が崩れかねない問題を究明することにあり、指摘は当たらない。
③「怪文書」とのご指摘については、佐々木議員がおっしゃる通り私が言い過ぎたものであり、この点について反省し、この場をお借りして謝罪させていただく。
[3]まともな懲罰根拠なき委員会審査
懲罰委員会では、懲罰を課すべき根拠がほぼ示されませんでした。
唯一、広田丈夫議員から理由が2点述べられました。1点目は、斉藤議員の質問が「限度越えている」「関係者の正常な感情を反発する言葉がある」との理由。2点目は、斉藤議員が弁明で謝罪したことについて、「あれは謝ってないと思います」「あれで許していたら、絶対思っていないですから、やはり懲罰に値する」と説明しました。
つまり、この点のみが懲罰委員会として懲罰を決めた理由です。懲罰委員会は、客観的かつ公平・公正な議論と判断が求められることは言うまでもありません。懲罰を課す根拠がすべて感情・主観である今回の懲罰はあきらかに不当なものです。
石田恵子議員が懲罰の反対討論で指摘した通り、すでに謝罪している議員に、謝り方が納得いかないから懲罰しろ、本会議で陳謝しろという論調は非常に危険です。これが先例となれば、今後は、どのような謝罪をしたか、謝罪が良かったか悪かったかまで懲罰を課す正当な理由になってしまいます。それは、広田議員自身やすべての議員に降りかかってきます。まさに議会の良識を疑います。
[4]発言削除も求めず、いきなり処分の矛盾
難しい話ですが、処分要求をおこなった佐々木議員はなぜ、議会の基本である発言の削除を議長に一切求めなかったのか疑問です。なぜなら、懲罰をおこなっても、斉藤議員の発言は消えないため会議録に残り続けるからです。
言論の府である議会では、議員の発言は最大限保証されるべきです。そのもとで、不適切な発言があれば発言の削除を求めることができます。今回の発言も、納得いかなければ発言の削除を求めるのが当然です。それでも解決しないような場合にはじめて懲罰の話しが出てくるべきです。
結局、発言を削除できる期限だった議会閉会までに、佐々木議員から発言の削除要求は一回もありませんでした。(発言は公式記録として残り続けることが確定)
はじめから懲罰目的だったことを自ら証明したものに他なりません。
[5]問題の本質が解消されるわけではない
そして、斉藤議員への懲罰が実施されたからと言っても、そもそもの疑惑が解消された訳ではありません。
斉藤議員が弁明で述べた通り、少なくとも2か月間は、市長と議員が雇用関係にあった疑惑が真実として裏付けられました。
二元代表制に係る問題は、議会全体が背負うべき問題です。石田恵子議員が懲罰の反対討論で指摘した通り、もし本当に懲罰に値するような発言があるならば、議会として真実を解明すべきです。虚偽発言かどうか、100条委員会(特別委員会)を設置して徹底的に真相を究明すべきです。
■懲罰に対する賛否
【賛成】16人
佐々木洋一(公明党)、飯塚恭代(公明党)、石川祐一(公明党)、金井俊治(公明党)、広田丈夫(公明党)、
切敷光雄(草加新政)、新井貞夫(草加新政)、鈴木由和(草加新政)、関一幸(草加新政)、中野修(草加新政)、
白石孝雄(草加自民)、松井優美子(草加自民)、
佐藤利器(そうか市民)、井手大喜(そうか市民)、吉岡健(そうか市民)、
大里陽子(無所属 ※共産党議員)
【反対】8人
小川利八(草加自民)、芝野勝利(草加自民)、田中宣光(草加自民)、
石田恵子(市民共同)、佐藤憲和(市民共同)、
菊地慶太(立憲民主)、矢部正平(立憲民主)、
吉沢哲夫(無所属)
※西沢可祝議員は議長のため採決に加わらず。斉藤雄二議員も対象者のため採決に加わらず。
[1]問題の発端と懲罰までの経緯
・発端は9月14日に、斉藤雄二議員が市長の政治姿勢について一般質問をおこなったことに始まります。この質問により、浅井昌志草加市長が2018年12月25日まで取締役をつとめていた保険事務所に佐々木洋一議員がスタッフとして所属している事実などが明らかとなりました。➔詳細はコチラ
・9月17日に、佐々木洋一議員が、斉藤議員の質問で自身が侮辱を受けたとして処分要求書(下参照)を議長に提出しました。
・この処分要求書を受けて、9月22日に懲罰委員会が設置され、斉藤議員が弁明を行った後に委員会審査がおこなわれました。
・9月27日の市議会閉会日に、市民共同議員団の石田恵子議員が懲罰の反対討論をおこないましたが、賛成多数で懲罰が可決。直後に、斉藤議員は本会議場で陳謝させられました。
処分要求書の原本
[2]斉藤議員の弁明
斉藤議員は、懲罰委員会で主に次の3点について弁明しました。
①佐々木議員は処分要求で「浅井市長は市長就任後に会社の取締役を辞任しており、浅井市長と私の間には雇用等の関係はない」としたが、これは、取締役であれば雇用関係にあるとの認識を自ら認めた文書だ。少なくとも2018年10月の市長就任から、取締役を辞任する2018年12月までの2か月間は、雇用関係にあったことを自ら認めただけであり、指摘にすら当たらない。
②佐々木議員は「明らかに必要な限度を超えた人身攻撃」と言うが、私(斉藤議員)の質問は、市長自身が認めた通り「政治倫理の確立のための草加市長の資産等の公開に関する条例」に基づく誤りを議会で明らかにし、二元代表制のチェックアンドバランスの関係性における疑義をただしたもの。佐々木議員のプライベートまで立ち入った質問は行っておらず、問題の本質は、市政全体への信頼が崩れかねない問題を究明することにあり、指摘は当たらない。
③「怪文書」とのご指摘については、佐々木議員がおっしゃる通り私が言い過ぎたものであり、この点について反省し、この場をお借りして謝罪させていただく。
[3]まともな懲罰根拠なき委員会審査
懲罰委員会では、懲罰を課すべき根拠がほぼ示されませんでした。
唯一、広田丈夫議員から理由が2点述べられました。1点目は、斉藤議員の質問が「限度越えている」「関係者の正常な感情を反発する言葉がある」との理由。2点目は、斉藤議員が弁明で謝罪したことについて、「あれは謝ってないと思います」「あれで許していたら、絶対思っていないですから、やはり懲罰に値する」と説明しました。
つまり、この点のみが懲罰委員会として懲罰を決めた理由です。懲罰委員会は、客観的かつ公平・公正な議論と判断が求められることは言うまでもありません。懲罰を課す根拠がすべて感情・主観である今回の懲罰はあきらかに不当なものです。
石田恵子議員が懲罰の反対討論で指摘した通り、すでに謝罪している議員に、謝り方が納得いかないから懲罰しろ、本会議で陳謝しろという論調は非常に危険です。これが先例となれば、今後は、どのような謝罪をしたか、謝罪が良かったか悪かったかまで懲罰を課す正当な理由になってしまいます。それは、広田議員自身やすべての議員に降りかかってきます。まさに議会の良識を疑います。
[4]発言削除も求めず、いきなり処分の矛盾
難しい話ですが、処分要求をおこなった佐々木議員はなぜ、議会の基本である発言の削除を議長に一切求めなかったのか疑問です。なぜなら、懲罰をおこなっても、斉藤議員の発言は消えないため会議録に残り続けるからです。
言論の府である議会では、議員の発言は最大限保証されるべきです。そのもとで、不適切な発言があれば発言の削除を求めることができます。今回の発言も、納得いかなければ発言の削除を求めるのが当然です。それでも解決しないような場合にはじめて懲罰の話しが出てくるべきです。
結局、発言を削除できる期限だった議会閉会までに、佐々木議員から発言の削除要求は一回もありませんでした。(発言は公式記録として残り続けることが確定)
はじめから懲罰目的だったことを自ら証明したものに他なりません。
[5]問題の本質が解消されるわけではない
そして、斉藤議員への懲罰が実施されたからと言っても、そもそもの疑惑が解消された訳ではありません。
斉藤議員が弁明で述べた通り、少なくとも2か月間は、市長と議員が雇用関係にあった疑惑が真実として裏付けられました。
二元代表制に係る問題は、議会全体が背負うべき問題です。石田恵子議員が懲罰の反対討論で指摘した通り、もし本当に懲罰に値するような発言があるならば、議会として真実を解明すべきです。虚偽発言かどうか、100条委員会(特別委員会)を設置して徹底的に真相を究明すべきです。
■懲罰に対する賛否
【賛成】16人
佐々木洋一(公明党)、飯塚恭代(公明党)、石川祐一(公明党)、金井俊治(公明党)、広田丈夫(公明党)、
切敷光雄(草加新政)、新井貞夫(草加新政)、鈴木由和(草加新政)、関一幸(草加新政)、中野修(草加新政)、
白石孝雄(草加自民)、松井優美子(草加自民)、
佐藤利器(そうか市民)、井手大喜(そうか市民)、吉岡健(そうか市民)、
大里陽子(無所属 ※共産党議員)
【反対】8人
小川利八(草加自民)、芝野勝利(草加自民)、田中宣光(草加自民)、
石田恵子(市民共同)、佐藤憲和(市民共同)、
菊地慶太(立憲民主)、矢部正平(立憲民主)、
吉沢哲夫(無所属)
※西沢可祝議員は議長のため採決に加わらず。斉藤雄二議員も対象者のため採決に加わらず。