草加市が進めている水道管の耐震化状況をまとめました。
2024年度末において、草加市の水道管の総延長(管路延長)56万7318mに対する耐震管路延長は24万955mとなる見通しです。前年度より1845m耐震化が進められます。耐震化率は、前年度比0.3ポイント増の42.5%となる予定です。
基幹管路耐震化事業をはじめる前の2016年度の耐震化率37.2%からは、5.3ポイント増の進捗となります。
■避難所など基幹管路の耐震化は約4割
草加市の水道事業は、老朽化する水道施設の更新等が喫緊の課題となっていました。とくに、基幹管路は水道水の供給を支える重要なインフラであり、その老朽化は市民生活への影響が大きいことから、草加市は2015年度に「基幹管路実施計画」を策定。避難所など66か所の重要給水施設への安定供給や更新費用の最適化、長期的な財政計画などの目的を達成することを目指した10カ年計画として運用されています。
この計画にもとづき、2017年度から基幹管路の耐震化事業がはじまりました。草加市の管路全体の約8%(4万4280m)を基幹管路と位置づけ、15カ年事業として耐震化を進めています。2024年度末の耐震菅延長は1万8092mで、耐震化率が40.9%となる見通しです。
■中根浄水場の耐震化
2020年度からの11カ年計画で、中根浄水場の耐震化事業が進められています。
現在は、2022年度からはじまった配水ポンプ棟などの建設工事や場内の配管布設工事が施工されています。この工事は2024年度中に完了する見通しで、2024年度末の工事進捗率は46.3%を見込んでいます。(計画事業費約80億円に対する予算額累計37億円見込み)
草加市は長期に渡り水道耐震化を進めてきましたが、依然として半数以上の管路が耐震化されていません。計画に基づいた継続的な取り組みが必要です。また、耐震化には多額の費用がかかるため、安定的な財源の確保が課題となりますが、一方で市民の命や生活に直結する水道料金とのバランスも重要です。今後も、市民生活の安定と安全な水供給を確保するため、市民への情報共有を強化しながら耐震化事業を推進していくことが求められます。
草加市は、森林面積が少なく市街化が進んでいる地域でありながら、森林環境譲与税を交付されています。これは、人口といった要素が配分基準に含まれているためです。しかし、森林整備への直接的な活用が難しいという現状もあり、その使い道や制度の見直しについて議論が求められています。
■6年で1億2942万円が配分される
森林整備などの目的税として、2024年度から森林環境税が始まりました。年間1人1千円が住民税に上乗せされます。国で集めた森林環境税は、全国の自治体に森林整備などの財源「森林環境贈与税」として配られます。
森林環境税の導入に先立ち、2019年度より国から自治体に森林環境譲与税の配分が始まっています。
これまで、草加市に交付された森林環境贈与税は、2019年度の約932万円から年々増えて、2024年度(予算)は2840万円が交付される見込みです。6年間で合計1億2942万円にもなります。
また、草加市では森林環境贈与税基金を創設し、2022年度までの交付合計7505万円をすべて基金に積み立てました。
■備品購入などが主な使い道
積み立てた森林環境贈与税の使い道として、2023年度は1803万円(決算見込み)を、子育て情報スポットプチみっけのおもちゃ、松原児童青少年交流センターミラトンのベンチ製作原材料費、家庭児童相談室や児童発達支援センターあおば学園の備品購入などに活用しました。
2024年度は、基金取り崩しなどにより合計5692万円を、SDGs啓発関係費用や小山児童クラブ建設(うち木材活用部分)、吉町五丁目緑地整備、奥日光自然の家運営・維持管理費として使う見込みです。
これにより、2024年度末の森林環境贈与税基金残高は5447万円となる見通しです。
■森林環境税の実態と課題
森林環境贈与税の配分額は、①私有林・人工林の面積、②林業就業者数、③人口の3つの割合から算出されます。
そのため、草加市のように面積の9割が市街化区域の自治体でも、人口25万人都市として森林環境贈与税が国から配分されています。山林なども無い草加市では、その使い道も森林整備への直接的な活用とは言えない状況です。
財政状況が厳しい草加市にとって、もらえるならありがたいです。しかし、日本全体の森林整備への直接的な活用という大きな視点ではやはり違和感があります。
国として、林業の人手不足など根本的な課題への施策や、森林環境税・森林環境贈与税の制度の見直し、そして、自治体での効果的な活用方法や森林整備、市民参加型の事業の推進など、さらなる改善の余地があります。
埼玉県が公表した2024年(令和6年)4月1日現在の保育所等待機児童数について、埼玉県内63市町村を多い順にまとめました。
■草加市は前年比3人増で3位に悪化
待機児童数が最も多いワースト1位は、白岡市の36人でした。2位は北本市の32人、3位は八潮市と草加市が同数の24人でした。草加市は、前年度の21人から3人増加し、順位もワースト6位から3位に悪化しました。
9市町で待機児童数が増加している一方、13市町で減少しています。待機児童数ゼロの市町村は、前年から2増えて42市町村となりました。
- 増加:9市町
- 減少:13市町
- ゼロ:42市町村
■県内全体の待機児童数は106人減少
埼玉県全体の保育所等の待機児童数は、合計241人でした。前年の347人から106人減少しました。
埼玉県によると、就学前児童数は29万7385人で、前年より1万379人減少しています。一方、保育所等への入所申込者数は前年より1873人増の14万3486人に増加しています。
埼玉県では、就学前のこどもの人数は減少傾向にありますが、保育園のニーズは増加傾向にあります。
■年齢別では低年齢児に集中
埼玉県内63市町村の待機児童数について年齢別の内訳をみると、最多は1歳児の152人で全体の63.1%を占めています。また、2歳児以下が合計227人で、全体の94.2%を占めています。待機児童は低年齢児に集中しています。
自治体間で比較できるこの待機児童数は、国の定義に基づき算出された待機児童数です。
草加市が独自に公表している保留児童数(待機児童総数)などのように希望するすべての待機児童や潜在的な待機児童を含めたものではありません。そのため、この公表値だけでなく各自治体の実態を把握した上での個々の待機児童対策が求められます。
●埼玉県63市町村の待機児童ワースト順位と推移
市町村名 | 2022 | 2023 | 2024 | |
1位 | 白岡市 | 19 | 28 | 36 |
2位 | 北本市 | 23 | 33 | 32 |
3位 | 八潮市 | 14 | 39 | 24 |
3位 | 草加市 | 13 | 21 | 24 |
5位 | 朝霞市 | 21 | 9 | 17 |
6位 | 狭山市 | 12 | 7 | 16 |
7位 | 春日部市 | 21 | 13 | 11 |
8位 | 川口市 | 19 | 10 | 10 |
8位 | 川越市 | 8 | 8 | 10 |
10位 | 蓮田市 | 5 | 6 | 9 |
11位 | 新座市 | 5 | 5 | 8 |
11位 | 富士見市 | 21 | 18 | 8 |
11位 | 入間市 | 7 | 14 | 8 |
14位 | 所沢市 | 33 | 53 | 6 |
14位 | 上尾市 | 9 | 26 | 6 |
16位 | 越谷市 | 1 | 4 | 4 |
16位 | 志木市 | 8 | 4 | 4 |
18位 | 和光市 | 10 | 9 | 3 |
19位 | 吉川市 | 9 | 9 | 2 |
19位 | ふじみ野市 | 3 | 0 | 2 |
21位 | 毛呂山町 | 0 | 0 | 1 |
22位 | 東松山市 | 0 | 20 | 0 |
22位 | 三郷市 | 22 | 9 | 0 |
22位 | 蕨市 | 0 | 1 | 0 |
22位 | 伊奈町 | 1 | 1 | 0 |
22位 | 羽生市 | 0 | 0 | 0 |
22位 | さいたま市 | 0 | 0 | 0 |
22位 | 桶川市 | 0 | 0 | 0 |
22位 | 加須市 | 0 | 0 | 0 |
22位 | 久喜市 | 0 | 0 | 0 |
22位 | 熊谷市 | 0 | 0 | 0 |
22位 | 戸田市 | 0 | 0 | 0 |
22位 | 幸手市 | 0 | 0 | 0 |
22位 | 行田市 | 0 | 0 | 0 |
22位 | 鴻巣市 | 0 | 0 | 0 |
22位 | 坂戸市 | 1 | 0 | 0 |
22位 | 秩父市 | 0 | 0 | 0 |
22位 | 鶴ヶ島市 | 0 | 0 | 0 |
22位 | 日高市 | 0 | 0 | 0 |
22位 | 本庄市 | 0 | 0 | 0 |
22位 | 飯能市 | 0 | 0 | 0 |
22位 | 深谷市 | 0 | 0 | 0 |
22位 | ときがわ町 | 0 | 0 | 0 |
22位 | 越生町 | 0 | 0 | 0 |
22位 | 横瀬町 | 0 | 0 | 0 |
22位 | 皆野町 | 0 | 0 | 0 |
22位 | 滑川町 | 0 | 0 | 0 |
22位 | 寄居町 | 1 | 0 | 0 |
22位 | 吉見町 | 0 | 0 | 0 |
22位 | 宮代町 | 3 | 0 | 0 |
22位 | 三芳町 | 4 | 0 | 0 |
22位 | 小鹿野町 | 0 | 0 | 0 |
22位 | 小川町 | 0 | 0 | 0 |
22位 | 松伏町 | 0 | 0 | 0 |
22位 | 上里町 | 0 | 0 | 0 |
22位 | 神川町 | 0 | 0 | 0 |
22位 | 杉戸町 | 3 | 0 | 0 |
22位 | 川島町 | 0 | 0 | 0 |
22位 | 長瀞町 | 0 | 0 | 0 |
22位 | 鳩山町 | 0 | 0 | 0 |
22位 | 美里町 | 0 | 0 | 0 |
22位 | 嵐山町 | 0 | 0 | 0 |
22位 | 東秩父村 | 0 | 0 | 0 |
合計 | 296 | 347 | 241 |
※埼玉県の公表データをもとに佐藤が作成。各年度4月1日時点における国基準の待機児童数。
草加市における生活保護の相談件数と受給開始件数について、草加市生活支援課に確認した状況をまとめました。
新型コロナウイルス感染症の拡大前までは減少傾向にあった生活保護ですが、コロナ拡大後の2022年から増加傾向に転じました。その後、2022年をピークに相談・開始件数とも減少に転じていますが、依然としてコロナ前の水準には戻っていません。
■相談件数
- 2024年上期:496件
- 前年同期比:97件減
■受給開始件数
- 2024年上期:209件
- 前年同期比:35件減
2024年上期(1月~6月)における生活保護の相談件数は496件となり、前年同期比97件減少しました。受給開始件数は209件となり、前年同期比35件減少しました。
新型コロナウイルス感染症の影響による経済的な困窮が落ち着きつつあることを示唆していると考えられます。しかし、依然としてコロナ前の水準(2019年上期:相談470件、開始146件)には戻っておらず、生活困窮状態にある潜在的な相談者が存在する可能性も懸念されます。
2024年3月末時点の生活保護率は1.60%と依然として高水準であり、継続的な支援と自立に向けたサポートが必要です。