曖昧批評

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日本シリーズ第3戦の感想

2015-10-27 23:41:24 | スポーツ

ホークスの先発は中田賢。スワローズは杉浦。1回表、一死二三塁の大ピンチを何とか凌ぐと、その裏山田に待望の一発が出て2点先制。しかし、直後の2回表、杉浦の暴投と福田のタイムリーであっという間に追いつかれた。3回裏、また山田のソロが出て勝ち越すも、直後の4回表に今宮のソロを食らってまた同点。さらに明石にもソロを打たれて、ついに勝ち越しを許す。ところが5回裏、川端が四球で歩くと工藤監督は千賀にスイッチ。その千賀から山田が日本シリーズ史上初となる1試合3本目の本塁打を放って再逆転。その後はリリーフが大過なくイニングを進めた。8回裏、4人目の五十嵐が山田に勝負を挑んできて三振に斬って取られたが、続く畠山が2号ソロを左翼席にぶち込んで6ー4。雄平のシリーズ初安打、中村のタイムリーも飛び出し、ようやく「セ界の火ヤク庫」らしい攻撃。最終的には8ー4と点差を広げ、最後はバーネットが相手のバットを二本折る完璧な投球で締めた。

勝敗の分岐点は、もちろん山田の3本目。パリーグのホークス以外ファンからは、とにかく千賀は凄い、千賀が出てきたら終了だから、出てくる前に勝ち越せといわれていた。あのCSの鬼と言われた千葉ロッテマリーンズが手も足も出なかったというのだ。実際、出てきてみると、150キロ超のストレートはベースの前でさらに加速して浮き上がるようにも見え、これは無理だと思った。山田も初球は完全に振り遅れた。それでも緊張からか制球が不安定でボールが先行。3ボール1ストライクからの5球目の内角ストレートを上手く回転して左翼席に持っていった。

おそらく、工藤監督はじめ、ホークスナインも千賀は絶対に打たれないと思っていただろう。今日は山田がすごかっただけで、明日出てきたら山田以外は打てないと思うが、やられたほうは、そんな風に客観的に考えられない。山田の凄さを実体以上に感じたのではないか。日曜まで投打ともに圧倒してきたホークスが、初めて自分たちより凄いやつが相手にいるということを意識しただろう(実際にそうかどうかはともかく、印象として)。それまでの生き生きとした打撃が影を潜め、ミスショットや見逃しストライクが急激に増えた。あれだけ打ちまくっていたのに、6回以降2安打である。山田が3本目でホークスに与えたダメージは非常に大きい。

それだけだとありきたりなので、もうひとつ捻ったターニングポイントを挙げる。それはイ・デホの交代だ。

イ・デホは5回表に杉浦から左肘に死球を受けて出塁したが、代走の長谷川と交代してベンチに下がった。寝違えて打撃練習もできなかったということだが、第2戦まで絶好調だった彼がいなくなったことで、スワローズはかなり気が楽になった。代わりがかつての首位打者長谷川なので、解説の小久保は「遜色ない。選手層が厚い」と言ってたが、完全に空中戦になったこの試合で長距離打者が消えるのは非常に楽だし、遜色ないなら何で長谷川は今年レギュラーじゃないんだよって言いたい。聞けば今年は絶不調だったようで、今日の試合でも特に何もしなかった。

それだけではない。左の長谷川が4番に入ったことで、1~4番が全部左打者になり、左殺しの久古が回跨ぎで連続的に対応することができた。左のリリーフが1枚しかいないスワローズにとって、これはありがたかった。

選手起用については、千賀のリリーフがそもそも疑問。次の回、7番から始まるから、9番に代打を出すなら千賀は1イニングしか投げられない。第2先発として出てきて中盤を完全に抑えられると恐れていたのだが。

そこで僕の推測。回跨ぎの予定だったのかもしれないが、あのタイミングで出したのは、山田を討ち取って実力の違いを見せ付けようとしたのだ。まだ流れはホークスだったが、あそこで山田をねじ伏せることで、やっぱりかなわない、と言う雰囲気を取り戻そうとしたのだ。僕だったら、カウントが悪くなったら四球でもいいと指示しただろう。畠山は今日スイッチ切れてるし、雄平とバレンティンは壊れた扇風機だ。何も山田でアウトを取る必要はない。後ろに自動アウト軍団が待機している。でも、おそらく工藤はあの場面、ねじ伏せろと指示したに違いない。

五十嵐のところもそうだ。山田とは真っ向勝負して勝ったが、後ろの畠山には致命的な一発を浴びた。五十嵐本人もそうだが、工藤は強敵は迂回して結果的に勝つという思考がない。絶対的な戦力を持っているのだから、それで全然問題ないのだが、スワローズとしては、敵のそういう思考の硬直性を突いていきたい。

投打ともに、主力は全員何か活躍して、ようやく揃ってきた。あとはバレンティンだけだ。今のところは警戒すらされない本当の置物と化しているが、バレンティンが爆発してようやく五分の火力だと僕は思っている。明日は今のバレンティンでも振り遅れないかもしれない摂津が先発予想だ。打席では白けたような表情も見せたが、試合後はニコニコしていた。何気に一番優勝したがっていたのはバレンティンであり、自分が打てなくてもチームが勝てば彼は機嫌がいいのだ。明日からは自分のバットでチームを勝利に導いてもらいたい。いや、導いてくださいお願いします。

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